政策の方向性です。但し、このまま実現していくわけではありません。

地域医療構想
(検討課題)
団塊の世代が後期高齢者になり始める2022年、すべて後期高齢者となる2025年に向けて、地域医療構想に沿って、高度急性期・急性期から回復期や在宅医療等に大幅な医療機能の転換を進めていく必要。今後、個別の病院名や転換する病床数等の具体的転換方針の速やかな策定に向けて、各地域において2年間程度で(来年半ばまで)集中的な検討を促進することとされている。

進捗に応じた財政支援(保険者努力支援制度地域医療介護総合確保基金)
保険者努力支援制度(平成30年度〜)及び地域医療介護総合確保基金の配分において、地域医療構想の進捗に応じた配分を行う仕組みを導入すべき。
病床機能報告における定量的基準の策定
地域医療構想の進捗を毎年評価する「病床機能報告制度」は、医療機関による医療機能の判断基準が定性的で、客観性に乏しい。看護人員配置等ではなく、地域医療構想と同様に実際に提供された医療の中身に応じて医療機能を判断し、病床機能を報告できる定量的な基準を来年までに設定するべき。

地域医療構想が医療費適正化につながっているかどうかの検証
地域医療構想の進捗評価に際して、病床の転換等によって実際に医療適正化につながったかどうかを検証し、これにより評価することとすべき(KPIの設定等)
慢性期病床の地域差縮減等と受け皿整備の整合性確保
慢性期病床を受け皿(在宅医療や介護施設等)に転換していくにあたり、都道府県や市町村が連携し、医療・介護を通じて慢性期病床の地域差縮減と受け皿の整備が整合的に進む枠組みとしていくべき。

急性期病棟の適正化
診療報酬上、急性期を念頭に高い報酬設定がなされている「7:1入院基本料」を算定する病床が、導入(平成18年度)以降、 急増し、最多となっており、これまでの累次の見直しでも、十分に減少してこなかった。
(注)26改定においては、要件見直しにより「9万床」の7:1病床を転換するものとされていた。
今回の診療報酬改定により、入院基本料の名称を変更し、(旧)7:1入院基本料を算定する際の基準の変更などが実施されたが、急性期に係る入院医療費がどの程度効率化されるのかは明らかではない。
【改革の方向性】(案)
今回の診療報酬改定が、全体としてどの程度地域医療構想に沿った病床の再編・急性期入院医療費の削減につながっていくかについて、適切なKPIを設定したうえで、進捗を評価し、必要に応じて更なる要件厳格化等を次期改定において実施すべき。

 

地域医療構想を踏まえた介護療養病床等の転換
【論点】
平成30年度から新設されることとなった介護医療院への25対1医療療養病床や介護療養病床からの転換に際しては地域医療構想の趣旨を踏まえ、提供体制全体として医療費・介護費が効率化されることが重要。
【改革の方向性】(案)
転換状況を逐次把握し分析するとともに、今後の転換促進にあたっては、1患者の状態像にそぐわずに単価の高い医療療養病床へ転換することの防止、2工程表に基づき、多床室の室料負担の見直しを確実に実施するとともに、転換が進まない場合の介護療養病床等の報酬水準を検討すること、3サービス付き高齢者住宅など、高齢者住まいへの転換も含めた幅広いダウンサイジングの方針を策定すること、などの政策を着実に進めていく必要。

 

今後の医療・介護提供体制のあり方
【論点】
地域医療構想や基準病床制度により、病床については一定の規制を行う仕組みが整備されつつある。一方、診療所や医師の配置、 高額医療機器への設備投資、介護の在宅サービスについては、提供体制をコントロールする仕組みがない。
このうち外来医療に関しては、高齢化に伴い複数疾患をもつ患者等を総合的・継続的に診療する専門的知見・能力が重要となるが、こうした観点からの医師養成は進んでいない。
【改革の方向性】(案)
診療所や医師数、高額医療機器など病床以外の医療資源に関しても、医療費の増加を抑制しつつ、診療科や地域ごとの偏在を是正し、限られた医療資源の中で適切かつ効率的な医療提供体制を構築していく観点から、その配置に係る実効的なコントロールが必要であり、その在り方について早期に議論を進めるべき。
来年度以降養成が開始される「総合診療専門医」について、必要な養成数を確保し、速やかな養成を進めるべき。

 

医療費適正化に向けた地域別の診療報酬の設定
【論点】
高齢者医療確保法第14条においては、医療費適正化の観点から地域ごとの診療報酬の定めを行いうることが規定されているが、平成18年の法律改正で規定されて以来、これまで実施例はない。どのような内容の診療報酬の定めが可能かについて都道府県に具体的に示されてもいない。
平成30年度からの国保改革により、都道府県が、県内の医療費の水準や見通しを踏まえた保険料設定と住⺠への説明責任を負うこととなり、県内の医療提供体制の在り方と一体的な検討を行うこととなる。
国保の都道府県単位化を機に、地域別診療報酬の活用を検討するなど医療費適正化に向けて積極的に取り組もうという都道府県も現れている。
【改革の方向性】(案)
都道府県における医療費適正化の取組みに資する実効的な手段を付与し、都道府県のガバナンスを強化する観点も踏まえ、医療費適正化に向けた地域別の診療報酬の具体的に活用可能なメニューを国として示すとともに、今年度から開始する第三期医療費適正化計画の達成に向けても柔軟に活用していくための枠組みを整備すべき。