21日から始まる「働き方改革・同一労働同一賃金」セミナーのレジメの冒頭です。

はじめに

 働き方改革・同一労働同一賃金が、それぞれ、2019年4月、2020年4月から施行された。法人経営には、大きな影響を与える法律であり、それぞれの法人での法対応が迫られている。法人によっては、働き方改革のため、サービス残業の常態化を根本から見直すことになる法人もあれば、同一労働同一賃金のため、このまま放置すると、1年後の2020年4月から年間に1億円以上の人件費増が見込まれる法人もある。

 

 この法律の始まりは、大手広告代理店勤務の女性(当時24歳)の過労による自殺からだと言われている。日本人は、元々働き者の国民である。しかし、よく働くは、限度なく働くということではなく、上司がその地位の優位性を使って、本人の意思や健康状態に関わらず、勤務を強制することを指すものではない。日本では、戦後これまで、長時間労働が常態化し、2013年には国連から、多くの労働者が長時間労働に従事していること。過労死、ハラスメントによる自殺が多く発生していることを問題にし、是正することを強く望むとメッセージが示されている。また、長時間労働は、日本の最も大きな問題である出生率の低下にも影響を与えているとの指摘がされている。

 

 今回の法律は、長く日本人の中にある価値観を変えることに挑戦した法律とも言える。今回、特別条項はあるものの、原則、残業時間を1か月45時間。1年間360時間としました。また、年次有給休暇5日間の取得が義務付けられた。

 

 では、この法律は、国にとって、国民にとって、業界にとって、法人にとって悪いものなのだろうか? 私は、日本には、必要な法律であり、業務、医療法人、社会福祉法人、民間介護事業者にとって、有益な法律だと考えている。

 

 これから日本は、結婚する機会を増やす必要がある。働くながら子供を育てる環境整備が急がれる。女性の社会進出を促す必要がある。多くの国に人が日本で働く時代になる。例えば、これから就職を考える若者が、医療、福祉の業界を選んでくれるためには、働きやすい環境を提供することは、業界全体の問題ではないだろうか?今後、外国人が本格的に日本の労働力にしなければならない時、世界で働ける今の時代の中で、外国人から日本で働くことを選んでくれるだろうか? 子育てしながら働きたいという希望を持っている夫婦に、自法人は選ばれるのだろうか?

 

 また、同一労働同一賃金制度がしっかりしていれば、多くのパートタイム労働を必要とする医療、福祉業界には、大きな果実をもたらすことになるのではないだろうか。

 

 WJUは、以上のような考えを持って、働き方改革・同一労働同一賃金への対応をすることが法人のサステナビリティーを担保し、ゴーイングコンサーンの重要な要件であると理解し、法人の人事制度・人事考課制度と働き方改革・同一労働同一賃金制度をリンクさせるための企画をすることとしました。ご参加の皆様の法人経営に資する人事制度づくりに貢献することができれば幸いです。