8月2日のセミナーのはじめ部分です。

社会福祉法人の変遷

1970年モデル

社会福祉法人は、大きな岐路に立っている。昭和26年、公益法人の特別法によって始まった社会福祉法人は、1970年以降、日本人の平均寿命の伸び等による高齢者層の急増、日本経済の高度成長、安定した働き手の確保を背景に、1970年度 約 6000億円程度であった福祉に関わる支出が、1980年度 3兆6000億円、1990年度 4兆8000億円、2000年度 11兆円、2010年度 19兆円、2018年度 25兆円と膨張して来た。 そして、この世界に類をみない、激増する社会保障ニーズに対応するため、国は、ひたすら福祉事業のプレイヤーを増やすための努力を絶え間なく行って来た。そのための政策を1970年モデルという。

 1970年モデル例:1989年に高齢者対策強化の目的で策定された施策計画がゴールドプラン(高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略)。市町村における在宅福祉対策の緊急実施、施設の緊急整備が図られ、特別養護老人ホーム・デイサービス・ショートステイなどの施設の緊急整備、ホームヘルパーの養成などによる在宅福祉の推進など柱として掲げられた。

 介護保険以前に福祉事業にをはじめた法人は、このゴールドプランや新ゴールドプランの政策に乗り、多額の補助金を元に、社会福祉法人格を取り、福祉に参入に、その多くが成功をして行く。社会福祉法人の中には、厚労省の政策に沿いながらも独自の戦略を展開し、その規模を拡大して行くこととなる。

 

2025年モデル

時代は流れ、ジャパン・アズ・NO.1と言われた時代を終わり、後に失われた20年と言われる厳しい経済情勢が訪れた。企業は、嘗(かつ)て、企業に果実をもたらせて付加価値を得る源泉の競争力が失われて行く。また、時代は世界経済を牽引するものとして、日本が得意とした自動車、家電、不動産などから、情報通信技術や金融などに変わってゆく。結果、日本は大きく国際競争力を失って行った。そして、経済の停滞に追い討ちをかけるように超少子高齢化社会が訪れる。

日本は、1990年の頃から、社会保障費の負担に苦しむようになる。国の想定を超えて、65歳以上、75歳以上人口が増えて行く。高齢者は、医療費と介護に関わる支出を増大させて行く。加えて、核家族化した社会は、家では暮らせない介護を必要とする人を増やして行く。国は、増え続ける医療、介護のニーズに対応するため介護保険制度を創設する。

 

続く、、、