特定施設入居者生活介護、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院の議論 最後の方に少しだけ介護医療院の話が出てます。

○鈴木老人保健課長 それでは、定刻となりましたので、第144回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして、まことにありがとうございます。

 本日の委員の出席状況ですが、伊藤彰久委員にかわり、小林司参考人、及川ゆりこ委員にかわり、石本淳也参考人、福田富一委員にかわり、福田貢参考人、本多伸行委員にかわり、松本義幸参考人に御出席いただいております。まだ若干おくれている先生がいらっしゃいますが、以上、本日は21名の委員に御出席いただく予定になっておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。

 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。撤収方、よろしくお願いいたします。

(カメラ退室)

○鈴木老人保健課長 では、以降の進行につきまして、田中分科会長にお願いいたします。

○田中分科会長 皆さん、こんにちは。

 本日は、「平成30年度介護報酬改定に向けて」、「特定施設入居者生活介護」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」及び「介護医療院」を議題として議論いただきます。

 事務局より資料の確認をお願いします。

○鈴木老人保健課長 お手元の資料の確認をさせていただきます。

 まず、議事次第と委員名簿がございます。

 その後ろに、資料1「特定施設入居者生活介護」、資料2「介護老人保健施設」、資料3「介護療養型医療施設及び介護医療院」の3つの資料があります。また、参考資料といたしまして、参考資料1「特定施設入居者生活介護(参考資料)」、参考資料2「介護老人保健施設(参考資料)」、参考資料3「介護療養型医療施設及び介護医療院(参考資料)」、それと参考資料4といたしまして、厚労大臣へ全老健のほうから上げられました要望書がございます。

 資料の不足等がございましたら、事務局のほうにお申しつけください。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 早速、議事次第に沿って進めてまいります。ただし、前々回と前回の介護給付費分科会においては、時間内に全ての議題を終了することができませんでした。一部の議題について繰り越しになっています。そのため、重ねてのお願いですが、事務局は資料説明を簡単に行ってください。また、各委員の皆様も論点に沿って簡潔に御発言いただくなど、会議の円滑な進行に御協力をお願いいたします。私の経験でも、簡潔に発言したほうが影響力がありますから、要点をつかんで発言をお願いいたします。

 では、議題1のうち「特定施設入居者生活介護」について、初めに議論を行います。本議題については、前回の給付費分科会において資料の説明が行われています。そこで、論点のみ、改めて確認のため、事務局から御発言をお願いします。

○武井高齢者支援課長 高齢者支援課長でございます。

 お手元に資料1、参考資料1の御用意をお願いいたします。

 資料1の4ページ目をお開きください。こちらは、特定施設入居者生活介護の論点、2点でございます。読み上げさせていただきます。

 1点目、特定施設入居者生活介護は、幅広い状態の入居者を受け入れられる住まいサービスであり、要支援から中重度の要介護者や、医療ニーズがある方、看取り対応が必要な方まで様々な状態の利用者を受け入れている実態を踏まえ、特定施設入居者生活介護における介護報酬上の評価のあり方について、どのように考えるか。

 2点目、特定施設入居者生活介護における短期利用(ショートステイ)について、有効なサービス利用を図るために、「短期利用の入居者の数は、特定施設入居者生活介護の入居定員の10%以下」としている要件のあり方について、どのように考えるか。

 以上でございます。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 では、ただいまの論点を中心に皆様方からの議論を伺います。御質問、御意見、どうぞ。

 鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 それでは、4ページの論点について、お話しをさせていただきます。

 まず、1つ目の○でございますが、参考資料1の7ページをご覧いただきますと、特定施設入居者生活介護には自立の方が10%強、入居されていることがわかります。その中には、一定の介護が必要な方も含まれている可能性があると思いますが、その介護を誰が行っているのか確認する必要があると思います。もし施設職員が行っているのであれば、その分の介護報酬は減額する必要があると考えます。

 次に、前回も申し上げましたけれども、介護施設にも、医師と看護師の配置と夜間対応の状況による機能分化、さらに医療機関との役割分担が必要であると考えます。特定施設入居者生活介護の場合、医師の配置がなく、看護師の配置も特養より少ないようでありますので、特定施設入居者生活介護では、医療ニーズの少ない老衰型の看取りには対応可能であると思いますが、24時間喀痰吸引が必要な方の対応は困難であると思います。

 また、サ高住や住宅型有料老人ホームは、特定施設となっても外部サービス利用型の場合で、過度なサービス提供とならないように、これも前回もお話ししておりますけれども、上限の設定が必要であると思います。

 2つ目の○でございます。参考資料の14ページを見ますと、特定施設入居者生活介護の入居率は、平均87%と高くなっております。一方、短期利用特定施設入居者生活介護の届け出は25.4%と低くなっており、合計利用日数もゼロ日が36.4%と低い状況にありますので、現行の定員の10%以内で十分であると考えられます。特定施設入居者生活介護は、サ高住などとダブる部分もあるわけですけれども、地域では玉石混交の感じがいたします。閉鎖的なイメージもあるところもございますので、まず、地域のかかりつけ医や医師会との連携を強化して、地域から信頼される開かれた施設になる必要があると考えます。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 ありがとうございます。

 参考資料の13ページでございますが、今回の特定施設でお亡くなりになる前2週間における悪化した症状及び行ったケアについての記載がございます。悪化した症状のトップに口腔内乾燥という項目がございますが、これに対する必要なケアはどのようなことか。食事介助ということになるのか。いわゆる口腔ケアは、口腔内乾燥に有用だと言われていますが、食べられるだけにかかわらず、口腔ケアの必要性を考えた際に、どういう設問に対して、どういう答えが出てくるかということも十分御検討が必要ではないかと思っております。

○田中分科会長 御指摘ありがとうございました。

 では、安部委員、お願いします。

○安部委員 特定施設入居者生活介護を担う施設では、地域の多様な医療機能と連携することで、幅広い状況や医療ニーズのある利用者を受け入れている。今後、地域包括ケア推進という観点から見ても、在宅医療・介護連携推進事業等を通じ、その地域の市区町村、医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会等と、これらの施設が、その地域において顔の見える連携を基盤として、過不足のない、適切な医療提供が可能となるような体制を進めていくことが必要だと感じております。

 以上であります。

○田中分科会長 小林参考人、どうぞ。

○小林参考人 2つ目の論点について一言申し上げます。

 論点に書かれてありますとおり、有効なサービス利用という観点を全く否定するものではございませんけれども、利用者の立場からすれば、本来的な利用者の方々が優先されるべきではないかと考えますので、そういった方々の利用が妨げられることのないように留意して議論することが必要だと思っております。

 以上です。

○田中分科会長 武久委員、お願いします。

○武久委員 参考資料13ページを見たら、今、佐藤委員から御指摘あったように、口腔内乾燥をしたら、普通は口腔内清拭をしたりすると思うんですけれども、これを見ても、亡くなる1週間前はターミナルと思っていらっしゃるどうか知りませんが、お熱があったり、褥瘡があったり、呼吸が苦しかったり。もし看取られるのであれば、苦しくないようにQOLをちゃんと保ちながらターミナルを迎えられるのでいいんですけれども、このような症状が明らかになっているということは、何らかのQOLを改善するような処置は要るんじゃないかと思います。

 この特定施設でターミナルを迎えるということもあり得ると思いますけれども、何らかの医療的な処置もしてさしあげるような症状だと思いますけれども、こういうことについては何か方針がございますでしょうか、ちょっとお聞きしたいと思います。

○田中分科会長 お答えいただけますか。

○武井高齢者支援課長 高齢者支援課長でございます。

 特定施設は、利用者の状態像など、自立の方から要介護度5の方まで様々いらっしゃいますし、施設によって、その方々の割合も異なってございますので、一律に申し上げることは難しいものでございますけれども、看取りというものについて熱心に取り組んでいらっしゃる施設も増えてきておりますので、そういった方々の取組も注視しながら、今後どのような対応をすべきなのかということについて検討を進めてまいりたいと思っております。

○田中分科会長 瀬戸委員、東委員の順でお願いします。

○瀬戸委員 まず、論点1についてですが、特定においての看取りへの対応というのは、今、課長のお話にもありましたように、重要になってきますので、さらなる評価というのは今後必要になってくると思います。

 2つ目の論点についてですが、ショートステイの10%制限はこのまま残したほうがいいと思います。撤廃してしまえば、特定施設、住まいとして提供されている意味合いがなくなってしまうのではないかなと思います。

 それから、論点ではないのですが、利用者の安心とか重度の受け入れを考えたときに、夜勤体制ということも必要になってくるのではないかと思います。現に夜勤でやっている施設もありますので、夜勤体制をとっている配置に関しての評価というものあっていいのではないかと思っています。

 以上です。

○東委員 ありがとうございます。

 論点の○の1番目に関連しますが、参考資料1の10ページ「退去の状況」のグラフを見ますと、死亡による契約終了が54.1%と半分以上あります。しかも、その下のグラフ「死亡による契約終了の状況」を見ますと、居室で亡くなられる方が半分以上ということで、特定施設入居者生活介護では結構な数の看取りがその施設で行われているというのがわかると思います。また、参考資料1の13ページ「亡くなる前2週間に悪化した症状/行なったケア」を見ますと、行ったケアの中に、「点滴」、「頻回のたんの吸引」、「緩和ケア」等もあります。前回の特養の議論のところでも申し上げましたが、例えば無床診療所のかかりつけ医なのか、それとも有床診療所の在宅療養支援診療所なのか、もしくは中小の医療機関なのかなど、どの医療機関がこのような特定施設入居者生活介護の医療を担っているのかというデータをきちんと出した上で議論しないと、ターミナルの質の担保の議論ができないと思います。ぜひそういうデータも出していただければと思います。

○田中分科会長 田部井委員、どうぞ。

○田部井委員 間違っているといけませんので、初歩的で恐縮ですけれども、教えていただきたいんですけれどもね。

 参考資料1の3、4ページを見ますと、有料老人ホームの定員数は45万8,000人あると。それから、有料老人ホームのうち介護付きの定員数は23万人ある。参考資料の1ページを見ますと、特定施設入居者生活介護受給者は21万3,000人いる。今回の議論というのは、特定施設入居者生活介護受給者21万3,000人の人に提供されているケアについて、看取りとか、そういうものをどう評価したらいいのかということでよろしいのでしょうか、確認と。

 もう一つ、特に参考資料の7ページ、ほかの施設では今まで出てきたことがなかった、要介護度別だけではなくて、認知症の自立度別のデータも示されていますので、とても貴重な資料だと思うんですけれどもね。もともとサービス付き高齢者住宅のうち、特定施設入居者生活介護対象になっているのはどれぐらいあるのか。有料老人ホームということで考えると、サービス付き高齢者住宅の95%ぐらいがそうなっていると伺っているんですけれども、その辺がどうなっているのか。

 サービス付き高齢者住宅を取り上げてきちんと議論するのは、介護報酬と直接リンクしないので難しいだろうと思うんですけれども、サービス付き高齢者住宅に、どういう介護度の人が、あるいはどういう認知症自立度の人が、どういうサービスを利用していて、どのような課題があるのかというのをきちんと把握した上で議論しなければいけないと思います。

 参考資料7ページの自立度のデータですと、高齢者向け住まいという言い方で括られているんですけれども、サービス付き高齢者住宅ではどうか、もしそういう資料があるのであれば示していただいて、それに基づいて、それがどういう役割を果たしているかということを議論していく必要があるんじゃないかと思いますので、その辺の資料がありましたらお願いしたいと思います。

○田中分科会長 高齢者支援課長、よろしく。

○武井高齢者支援課長 高齢者支援課長でございます。

 1点目にお尋ねの特定施設入居者生活介護の議論の対象でございますけれども、特定施設入居者生活介護は、対象となる施設類型が、有料老人ホーム、軽費老人ホーム、養護老人ホームの3種類ございます。そういう意味では、今、申し上げました施設類型の中で、特定施設入居者生活介護の指定を受けているものについて議論をお願いしたいというのが今回のテーマでございます。

 サービス付き高齢者向け住宅にお住まいの方の状態像ということでございますけれども、こちらに関しては、介護サービスの提供は在宅サービスで行われておりますので、その方々の状態像がどうかということは、どういった資料がお出しできるのか、どういったデータがあるのかということについて、改めて検討させていただきたいと思っております。

○田中分科会長 鈴木委員。

○鈴木委員 関連ですけれども、これは居住系施設の話だから、サ高住は違うということなのでしょうけれども、在宅サービスの話の中で、その対象としてサ高住は十分議論ができると思います。そこで資料を出して議論をしたらいいと思います。ぜひよろしくお願いします。

○田中分科会長 松本参考人。

○松本参考人 ありがとうございます。

 論点2について申し上げます。短期利用については、限られた資源の有効利用や効率化という観点からの論点だと思います。平成27年度の介護報酬改定において、特定施設入居者生活介護の短期利用については、特定施設入居者の数が入居率の80%以上を確保するという要件が撤廃され、今回はさらに短期利用の入居者の数は特定施設入居者生活介護の入居者定員の10%以下としている要件を緩和するということを検討していると受け取っています。しかし、利用者の短期利用のニーズや短期利用の届け出を出していない事業者の理由等、要件緩和の必要性がわかるような資料を提示していただき、その上で検討すべきだと考えます。

 もう一点、これはお願いですが、介護保険サービスは非常に種類が多くてわかりづらいという意見がございます。今年の4月26日の第137回介護給付費分科会の資料2で、各介護サービスについて23の項目が出され、それぞれのパートについて議論されているわけです。それぞれのパートというのは、森で言えば木ですが、森全体がどんな形をしているのかよくわからないので、それぞれのサービスについて、どれぐらいの方が利用され、財政的にどれぐらいシェアを占めているのか、森の形がわかるような資料を今後出していただければと思います。

 以上です。

○田中分科会長 石本参考人、お願いします。

○石本参考人 ありがとうございます。

 先ほど課長がお答えいただいた件で、もう一つ確認ですが、特定の種類の中に、さらに一般型と外部利用型、養護から特定に転換したときに外部利用型から入るというのがありますが、これも引っくるめてトータル的にこれを議論するという解釈でよろしいですね。

○武井高齢者支援課長 今、御指摘のように、特定施設入居者生活介護全般について御議論いただきたいということでございますので、2つ挙げてくださった型のどちらかということではございません。

○石本参考人 済みません、確認でした。ありがとうございます。

○田中分科会長 小原委員、どうぞ。

○小原委員 論点の2つ目についてですけれども、有効活用という観点から意見を述べさせていただきます。

 参考資料14ページから、入居率が87%、平均の定員が62.8人と書いてございますけれども、約8室が空床状態であるということが読みとれると思います。各施設によって取組はさまざまのようですが、在宅生活を支えていく上で、あるいは介護者とか家族の負担軽減のために、ショートステイというのはとても有効な資源でございますので、それがフレキシブルに活用できるということはとても有用だと思いますし、特定施設本来の目的はございますが、ショートステイの機能を柔軟に運用することで、ショートステイの地域差はあると思いますけれども、例えば都市部でのショートステイの受け入れ先の確保等につながっていくのではないかと思いますし、在宅生活を支える資源としても有用であると思います。

 以上でございます。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 稲葉委員。

○稲葉委員 論点に沿いまして2点、申し上げます。

 まず、1つ目の論点、特定施設入居者生活介護は、幅広い状態の入居者を受け入れられる住まいサービスであり、要支援から中重度の要介護者や医療ニーズのある方、看取り対応が必要な方まで、さまざまな状態の利用者を受け入れている実態を踏まえて、特定施設入居者生活介護における介護報酬上の評価の在り方についての考えということが示されております。

 ここにありますように、自宅での生活が困難な方の受け皿としては、もはや実態としては欠かせない存在に現場ではなっております。自立支援や重度化防止、医療・介護の連携なども徐々に進んでおります。したがって、報酬を考えるときには、特別養護老人ホームなどの施設との現状における機能の差や費用の差などを踏まえた上で、実態を評価していただいて、それに見合う報酬体系が維持されるべきだと考えております。

 2点目です。論点の2つ目の短期利用の入居者の数を入居定員の10%以下としている要件のあり方についてですが、これは緩和してもよいのではないかと考えます。空き部屋を利用して行うということが実態の流れとなることですので、特定施設入居者の生活に何か影響を与えたり、そちらの利用が控えられたりということにはつながらないと考えます。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 井上委員、どうぞ。

○井上委員 論点の2つ目ですけれども、資源の有効活用という面からはメリットがあるかもしれませんけれども、片や本来の目的に照らしてどうなのかというところがあります。いただいた資料では、そのメリットとデメリットがまだ明らかになっていないような気がしますので、次のステップではそのあたりのメリット、デメリットをもう少し整理した形で示していただいた上で、議論させていただきたいと思います。

○田中分科会長 特定施設について、ほかに御意見、御質問ございますか。

 ないようでしたら、次の議題に移ります。次は、議題1のうち「介護老人保健施設」を取り上げます。事務局から説明をお願いします。

○鈴木老人保健課長 老人保健課長でございます。それでは、介護老人保健施設についての説明をさせていただきます。資料2をごらんください。

 まず、1ページ目でございます。1.介護老人保健施設の現状です。

 介護老人保健施設について、一番最初に定義を示させていただいていますが、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対して、施設サービス計画に基づいて、介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うということでございまして、今回の法改正におきまして、いわゆる在宅支援というところが明確化されているところでございます。

 2ポツにありますが、現状の請求事業所数につきましては4,201事業所で、利用者については35.9万人に増加しているところでございます。

24年改定におきましては、この在宅復帰の状況ですとかベッドの回転率等を指標といたしまして、いわゆる在宅復帰のところと在宅支援を強化した、いわゆる在宅強化型とか加算型というものを導入しておりまして、これらを算定している割合につきましては、平成28年10月現在で約43%まで増加しているところでございます。

 ただし、一番下のポツになりますが、介護老人保健施設について、在宅復帰率が高いほど、いわゆるリハビリテーション専門職とか、その他職種が多く配置されていること。それから、退所前カンファレンスの実施が多く行われていること。積極的に施設内の看取りを行っているという傾向が見られますが、同時に、ベッドの稼働率が低くなる傾向も見られているところでございます。

 続きまして、2ページになります。介護老人保健施設におけますリハビリテーションについてでございますが、平成21年の改定におきまして、いわゆるリハビリテーションマネジメント加算というものがこれまでありましたが、それについて本体報酬の中に包括したという経緯がございます。

 また、27年は、老健が行っております通所と訪問リハビリテーションにつきまして、活動と参加に焦点を当てました新しいリハビリテーションマネジメントというものを評価したところでございます。

 老健そのもののリハビリテーションマネジメントの実施についてでございますが、在宅強化型においては、他の類型に比べて「入所前後訪問指導の実施」ですとか、「入退所前後以外における自宅等への訪問の実施」等が非常に多くなっているということ。ただし、「入所前後訪問指導」の実施率については、1割未満の施設が約4割と、低調になっているところがございます。

 最後の○になりますけれども、老人保健施設におけますリハビリテーションの平均実施時間についてですが、これは1週間当たりになりますけれども、在宅強化型では124.1分、加算型で78.6分、従来型で66.1分となっているところでございます。

 続きまして、3ページになります。老人保健施設におけます医療についてでございます。

 1ポツ目には、医療機関と特養の長所を兼ね備えた中間施設として創設された医療提供施設というのが老健の性格になっております。

 平成24年度改定におきまして、特に退所先に医療機関が多いことがありましたので、その中の特に肺炎、尿路感染症などの疾病を発症した場合に、施設内でも対応していただくということで、医療機関に搬送しないような状況になっていたので、所定疾患施設療養費というものを設けたところでございます。

 こういったものを設けましたが、次のポツにありますが、医療機関への搬送が少なくなったんですけれども、中には原則、施設内で治療しないことを対応方針とする施設が一定程度存在しているという事実もあります。

 また、老健で行われている医療処置についてですけれども、喀痰吸引や経管栄養の実施率につきましては、それぞれ5.8%、8.9%という状況になっております。

 4マル目で、薬剤も含めた、かかりつけ医との連携ですが、2行目、退所時にかかりつけ医と特に連携していないとする老健施設は全体の21.2%。さらに、薬剤を中止・変更する場合にかかりつけ医と連携がとれていないところが84%ということでありまして、かかりつけ医との連携は必ずしも十分な状態ではないというデータが出てきているところでございます。

 なお、介護療養病床から転換した介護老人保健施設については、次の介護療養型医療施設及び介護医療院のほうで御説明させていただきます。

 4ページ、論点でございますが、3つ挙げさせていただいております。

 第1に、介護老人保健施設における在宅復帰・在宅療養支援の役割機能をより強化していく観点から、報酬体系の簡素化にも配慮しつつ、その機能の評価の在り方について、どのように考えるのか。

 2点目が、通所・訪問リハビリテーションにおいて、心身機能へのアプローチのみならず、活動・参加にも着目したリハビリテーションを推進する観点から、リハビリテーションマネジメントの強化を評価していることを踏まえ、介護老人保健施設で提供されるリハビリテーションの在り方について、どのように考えるか。

 3点目が、かかりつけ医との連携を含め、介護老人保健施設で提供される医療について、どのように考えるか。

 以上でございます。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 では、ただいまの説明に関して、質問、御意見ありましたら、お願いします。

 東委員からお願いします。

○東委員 参考資料で提出した要望書は、今、説明させていただいてもよろしいでしょうか。

○田中分科会長 どうぞ。簡潔にお願いします。

○東委員 では、簡潔に。参考資料4をご覧ください。4点要望しております。

 1番目は、今回、改正介護保険法で規定されました「在宅支援」機能の取り組みを適切に評価していただきたいということです。これは、参考資料2の18ページにもございますが、強化型は、頑張れば頑張るほど稼働率が落ちていて、経営が大変厳しいという声が上がってきております。

 2番目は医療提供についてです。所定疾患施設療養費は、参考資料2の41ページから44ページに挙がっておりますが、これが創設されて以来、施設の中でなるべく治療しようということになっているのは明らかでございます。現場としましては、蜂窩織炎、感染性胃腸炎等も対象に加えていただきたいという声が多く上がっております。

 薬剤の適正化に関しましては、老健とかかりつけ医との連携がまだよくできていないところは大変反省しているところでございます。かかりつけ医との連携をより深めて、ポリファーマシーというところにきちんと対応していきたいと思っております。

 3番目はケアの質の向上でございます。インフルエンザとかノロウイルスは、通常の病態ではないものですから、本来は所定疾患施設療養費で診ていただきたいところでございます。しかし、むしろこれらに関しましては、予防するという観点から施設内パンデミックを防ぎ、感染が起こったとしても施設内パンデミックにならないというリスクマネジメントを評価してはどうかという提案でございます。

 最後の4番目は老健のリハビリでございます。論点にもございますが、通所リハビリでは活動・参加に着目した報酬改定が行われました。しかし、入所に関しましては、活動・参加に着目したものがまだ薄いように思っておりますので、そこは重点的に全老健としても指導していきたいと思います。参考資料2の33~35ページに出ておりますが、老健の場合はチーム・アプローチ・リハビリテーション、いわゆる多職種でリハビリを計画し、提供するというのが老健のリハビリです。リハビリ専門職が提供するリハビリだけではなくて、多職種で切れ目のないリハビリを提供しているというところをきちんと評価していただきたいと考えております。

 以上でございます。

○田中分科会長 要望の説明、ありがとうございました。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 それでは、4ページの論点に沿って、お話させていただきます。

 まず最初の○でございますが、今回の介護保険法の改正により、老健には、在宅復帰だけでなく、在宅療養支援の役割も求められることになりました。現在、老健は、在宅復帰率などにより、強化型、加算型、従来型に分かれておりますけれども、今後、在宅療養支援の取組をより明確に評価することが求められると思います。現状を見ますと、加算型よりも従来型で一杯にしておいたほうが収益が多いというデータもあるようですので、加算に加算を重ねるのではなくて、簡素化にも配慮した上できめ細かい評価を行う必要があると思います。

 2つ目の○でございます。老健はリハビリを提供して、機能維持や改善の役割を担う施設でもありますが、参考資料の25ページにあるように、強化型でも入所前後の訪問指導の実施率1割未満が4割と、まだ十分ではないと考えられます。老健では、医師がしっかり関与したリハビリとリハマネジメントを強化する必要があると思います。

 3つ目の○でございますが、老健で提供される医療については、介護医療院も含めた介護施設の機能分化と医療機関との役割分担を踏まえた上で連携を図る必要があると思います。また、老健は、地域包括ケアシステムの中でかかりつけ医との連携を強化する必要があると思います。資料にも示されておりますけれども、入退所時の情報提供は、まだ退所時が十分ではないとか、あるいはかかりつけ医と連携した薬剤の減量なども考えられると思いますけれども、その辺も十分ではないと思います。お互いが納得できる形で進める必要があると思います。我々としては、老健施設の施設長、医師の方だと思いますけれども、医師会の入会もぜひ期待したいと思います。

 ところで、老健でも看取りが行われているわけですが、前回、特養での看取りの話が出ました。現在、厚労省が取りまとめているICTを利用した死亡診断等に関するガイドラインについてでございますけれども、死亡の最終診断は医師が行うことが大前提で策定されていると理解しております。そもそも特養では、配置医師のほかに、あらかじめ協力医療機関を定めておくことが運営基準にも規定されておりますので、日頃より配置医師や協力医療機関と連携を密にして、入所者の急変時においても医師が対応できるような体制を整備しておくことが必要であると考えます。

 その上で、医師による速やかな診断が困難な場合については、ガイドラインにICTを利用した死亡診断等を行うための要件が示されております。既に厚労省では、全例を把握して適切に実施されているかを検証するとしておりますので、日本医師会といたしましても運用状況についてはしっかりと注視していきたいと考えております。

 以上です。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤(訓)委員 老人保健施設の在宅復帰・在宅療養支援の機能評価につきましては、従来型がもう少し「在宅強化型」「加算型」に移行できるように、何らかのインセンティブが必要だと考えています。特に、在宅復帰率というアウトカム指標は大変明快なのですが、今回の資料で復帰率の高いところに特徴的なこととして、「退所前のカンファレンスの実施」や、「リハ専門職、支援相談員の数」というものが挙がっておりますので、こうした取組を「プロセス評価」の一環として評価していくことで、老健施設の中のメリハリが少しついてくるのではないかと考えています。

 それから、2点目のリハビリテーションについて。先ほど東委員から多職種共働のチームでアプローチしているというご指摘がありましたが、チームアプローチの中でも特に、私は在宅復帰に向けては「排泄の自立」が大変鍵になるだろうと思っております。実際に、「食べる」ケアについては経口維持加算等がありますが、在宅に帰れるか帰れないかのメルクマールは排泄自立によるものだと思っております。

 ですので、このリハビリの中でも、チームケアで「おむつを外す」とか、「トイレに行く」とか、「姿勢をただしてトイレに座れる」といった一連のリハビリにつきましては、ぜひ多職種共働の取組として評価していただいて、なるべく在宅にお帰りになれるような体制を整えていく方向に持っていければ、と思っております。

 それから、かかりつけ医との連携につきましては、老健施設はそもそも医師もおりますし、看護職員も介護施設の中では比較的多いことを考えれば、老健施設内で提供可能な医療については、実態を踏まえた上で評価していく方向でよろしいのではないかと思っております。

 また、多剤投与につきましては、老人保健施設協会からの要望にもありましたように、薬剤師等も含めた多職種でのアセスメントで薬剤の多剤投与や重複投与についての適正化を図っていく取組については、評価していくべきではないかと思います。

○田中分科会長 齊藤委員、どうぞ。

○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。

 1に関することだと思いますが、在宅強化型や加算型が徐々にふえているということは、非常に心強い、在宅復帰が進んでいるということで、利用者にとってもありがたいことだなと思っております。

 一方、今回、気になる資料だなと思って見たのが19、20ページであります。これは、老健施設における入所前の居場所について問うたものでありまして、強化型、加算型、従来型と比較すると、在宅復帰を強化しているところに本人の家からの入居が多い。また、20ページでは、在宅復帰の状況が高ければ高いほど本人の家からということになっている。これは、在宅復帰率を高めるために、その可能性の高い利用者を選別することがないかという懸念がかねて出されていたわけでありますが、このデータで全てがわかるわけではないのですが、その可能性を否定できないデータになっているのではないかということを懸念いたします。

 今後、この点に着目した追加の調査をしていただいて、疑念が払拭されるような結果になることを期待したいと思います。

○田中分科会長 順番に参ります。佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 参考資料の46ページの介護老人保健施設とかかりつけ医の連携についての出典が平成28年の検証調査でございまして、この検証調査につきましては、歯科との関連項目も調べられていました。例えば、口腔衛生管理については、口腔衛生管理とは関係ないものも含まれているのではないかなということで、調査項目に対しては、今後御留意いただければなと考えております。また、何よりも、今後の調査の際には、かかりつけ歯科医との連携という部分についても、あわせて調査していただきたいと要望いたします。

○田中分科会長 小原委員、どうぞ。

○小原委員 論点の1つ目についてですが、参考資料の15ページから、在宅復帰率は退所前カンファレンスの実施が40%を超えると差異が出てくるように見えます。一方で、カンファレンス実施が10%未満でも、約4割は在宅復帰率81%から100%ということについては、どういう状況なのかが気になりました。

 次に、参考資料18ページより、在宅復帰率が高いほど稼働率が低下する傾向にありまして、入退所を含めて居宅サービス等との連携が求められることや、回転率の点からも、1ベッド当たりの利用人数が年間1人の場合と4人が利用する場合では、アセスメントやカンファレンス等も含めて、ケアプランの作成や調整に係る時間が必要になることは当然だと思います。ですので、老健の在宅復帰・在宅療養支援機能といった機能分化の視点からも、強化型老健における連携や調整については、適切に評価されるべきだと思います。

 論点の2つ目ですが、参考資料の27ページ、28ページの退所先の想定が特にないものが3割程度あります。リハビリテーションや支援を行う上で、退所先の見通しというのはとても重要なものだと思いますので、リハビリテーションマネジメントとか入所前後の訪問や退所前カンファレンス、あとは退所後の通所リハ等でのリハマネジメントなど、多職種共同で総合的な取組を行っている施設の評価は今後も重要だと思います。

 以上でございます。

○田中分科会長 井上委員、どうぞ。

○井上委員 論点の1つ目ですけれども、在宅復帰・在宅療養支援の役割機能の強化、これは当然のことでして、ぜひさらに強化していっていただきたいと思います。一方で、在宅強化型、加算型、従来型の中で評価にめり張りをよりつけて、在宅復帰機能というものを強化していくべきではないかと考えております。

 また、論点の3つ目で、かかりつけ医との連携ですけれども、こちらも当然のことながら進めてほしいということであります。医療提供施設ということでもございますので、評価ということよりも前に、連携を進める手だては何かないものかという点も検討すべきではないかと思います。

 以上でございます。

○田中分科会長 石本参考人、お願いします。

○石本参考人 ありがとうございます。

 老健から退所して在宅にとイメージしまして、先ほど来出ておりますが、多職種連携というのは非常に大事でありまして、環境の整った施設から家に帰る、暮らしを支えるというのは、また非常に大きい変化があるものでございますので、コメディカルを初めとした専門職はもちろんのことですが、福祉職・介護職も取り込んだ多職種連携をしっかりやっていただいて、大きい変化がないようなスムーズな在宅移行というプロセスをしっかり評価していただく。さっき、齋藤委員がおっしゃいました排泄などは、在宅だと非常に大きい問題だろうと思いますので、そういったところを評価していただけるようにしていただけるとありがたいなと思います。

 以上です。

○田中分科会長 近いほうからでよろしいでしょうか。小林参考人から順番に。

○小林参考人 ありがとうございます。

 まず、先ほども言及がありましたが、法改正におきまして在宅療養支援、在宅復帰、リハビリテーションを提供する機能維持・改善の役割、ということで機能がきちんと明文化されたということで、それにのっとった報酬改定を進めていくことが必要だと思っております。ある意味、さらなる機能分化といいますか、きちんとやっているところ、やっていないところをよく見て機能分化を進めていくことが好ましいのではないかと思っております。

 以上です。

○田中分科会長 石田委員、お願いします。

○石田委員 論点の2つ目と3つ目について。

 まず、2つ目の訪問リハのところですけれども、入所前後の訪問指導の実施及び入退所前後以外における自宅等への訪問の実施が余り進んでいないということは、利用者にとってはちょっと心細いというか、不安に思うところでございまして、なぜこれが余り進んでいないかという理由が知りたいなと思います。訪問ですから、時間もマンパワーも非常にかかることが問題かなと思いますけれども、その部分についての対応策・対策というのが実際に今、講じられているのかどうかという点をちょっと確認したいなというのが1点。

 それから、3つ目のかかりつけ医との連携等のお話ですけれども、先ほど鈴木委員からもありました、地域包括ケアシステムの構築の中でこういった連携が強化されていくということは、理屈では非常によくわかるんですが、具体的に、今、どこで、誰が、どのようにやっているかというのがなかなか見えにくい。そうすると、例えば市町村にしてみても、医療の方々と連携を組んでいく、情報を交換していくという方法は、皆さん、(加筆→)どのような方法を取っていったらいいのか、非常に迷って困っているところではないかと思います。理屈ではわかっていても、実際にそれが動いている姿がなかなか見えにくいので、これについてはぜひとも具体的なモデルみたいなものが数多く提示されることを希望いたします。

 以上です。

○田中分科会長 第1点は御質問ですか。御要望でしょうか。

○石田委員 現在、対応策のようなものがもし具体的に何か講じられているのであれば、教えていただきたいということです。

○田中分科会長 事務局ですか、東委員に。どちらに。

○石田委員 東委員に。

○田中分科会長 東委員、お答えください。

○東委員 ありがとうございます。

 老健入退所時の在宅への訪問をやらなくては、本当の在宅復帰支援につながらないものでございます。これをやらずに在宅復帰率だけ上げているという老健があれば、これは戒めるべきであって、強化型であっても、加算型であっても、きちんと訪問するということはしっかりと指導していきたいと思っています。

 それから、かかりつけ医との連携につきましては、私ども老健というのは外部広報が非常に下手でございまして、かかりつけ医の先生、医師会の先生方からも老健をなかなか認知していただいていないところがございます。そこのところは私どもの努力不足もあり、医師会と老健との連携というのが今までは非常に薄かったと思います。地域のかかりつけ医の先生方から老健をもっと認知していただいて、老健に御紹介いただくとか相談いただくということも、これからはなくてはいけないかなと思っております。そこは日本医師会と私ども全老健できちんと連携していきたいと思います。

○田中分科会長 決意表明でしたね。

 安部委員、どうぞ。

○安部委員 論点3つ目でありますが、今、各委員から連携について進めるべきだというお話が多々ありました。その中で、薬剤に関しても連携すべきことがあるということ、東委員のほうからポリファーマシーのお話もしていただきました。外来で複数医療機関にかかっているような場合には、その一元的な情報を把握するのは大変負担感があるという調査もございますので、そういった意味では、かかりつけ機能を推進している薬局・薬剤師がその一元化した情報を既に持っておりますので、かかりつけ医の先生、それから老健の医師の先生とより効率的に漏れのない情報を提供することも可能かと思います。

 例えば、薬の手帳には薬の情報と薬剤師名が書いてございますので、そういったところを起点にして連携をより効率的に進めることができるかと思いますので、御議論の中でそういう話もしていただきたいと思っております。

 以上です。

○田中分科会長 左のほうから参ります。瀬戸委員、どうぞ。

○瀬戸委員 論点の1つ目ですが、老健施設はもともとの機能として在宅復帰がうたわれていますので、その役割が非常に重要ですから、これまでと同様にこの役割を高めていく観点での評価が必要だと思います。

 一方で、参考資料23ページにあるのですが、入所元と退所先の医療機関の割合が比較的高くなっておりまして、中には状態の急変というのも当然あるでしょうけれども、ここが高くなっている理由を少し分析する必要があると思いますし、その上で是正すべきものは是正する必要があると思います。

 論点の3つ目ですが、本体資料3ページの4つ目の○で、薬剤を中止・変更する際に中止・変更前にかかりつけ医等に説明していない、全くしていない、余りしないが合わせると84%となっています。今も議論が出ていましたけれども、在宅での生活を送るために適切な薬剤管理が必要ですので、今、安部委員がおっしゃられたような服薬調整を行っている際にも、その取組が在宅でもできるような適切な情報提供・連携を求める対策が必要だと思います。

 以上です。

○田中分科会長 田部井委員。

○田部井委員 論点1についてですけれども、在宅復帰率が高くなれば稼働率が下がるのは必然的な結果ではないかと思います。そのことが長期的に続いてしまうとすれば、せっかく流れとしてできてきている在宅復帰ということが阻害されかねないと思いますので、何らかの形でそれを是正する必要があるだろう。しなければいけないなと利用者としても考えます。

 それから、従来型が努力しなければ得するということになってしまってはいけないと思うんですけれども、例えば一生懸命家に帰ってもらおうとする施設は、16ページにありますように、一旦退所してからの状況確認も9割近くはされているわけですけれども、従来型ですと3割ぐらいで非常に落差があるわけですけれども、在宅復帰に関心が深いところは、家に帰ってからどうなっているんだろうということについても関心を持つだろうし、そうでないところはそこが弱いと、単純に考えるとそう思うんですけれども、そのような理解でよろしいのか、教えていただきたいと思います。

 それと、家族としますと、老健からどこに戻ったかということがすごく大きな関心で、例えば住宅型老人ホームも一つの住まいでありますけれども、本人の家、自宅に帰るというのが一つの理想ではないかと思いますので、23ページに本人の家等という形で示されているんですけれども、本当に本人の家に帰った人がどれぐらいいるのか。住宅型に行った人、あるいは介護付きに行った人がどれぐらいなのかという資料がもしあれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

 もう一つ、リハビリテーションとの関係ですけれども、参考資料の30、31ページに日常生活自立度の変化についての資料が示されています。それによりますと、変化なしが一番高いわけです。6割近くを占めていることになるんですけれども、高齢者の場合、変化なしということは、ある意味成果が上がっているとも言える。とりわけ認知症の人にとってみれば、変化がなければこんなにいいことはない。そういう意味で、変化なしというのをどういうふうに評価するかというのは、リハビリの評価として非常に別れ道になるんじゃないかと思うんですね。

 この審議会でも、どちらかというと変化なしは悪者扱いされている雰囲気がありまして、サービスもターミナルを続けられているということがありますけれども、自立支援とは何なのかとか、それから成果とは何なのかということも、共通理解のもとでどうやっていくかということを確認しておく必要があるのではないかと思います。場面、場面で変わるのではなくて、こういう場合にはこういう評価で、変化なしはこういう評価にしようという形での共通理解というのは必要だと思うんですけれども、その辺について、もしお考えがありましたら、ちょっといただけるとありがたいと思います。

○田中分科会長 では、課長、お答えいただけますか。

○鈴木老人保健課長 まず、1点目のお話でございますが、先ほどの家庭に戻っているところと、有料老人ホームと本人の家等の中で、本人の家だけで統計をとっているのかということにつきましては、済みません、改めてまた、もう少し詳しいデータを出させていただければと思っております。

 それから、2点目のいわゆる変化なしというところをどういうふうに評価するのかということになると思いますが、おっしゃっていただいているとおり、機能訓練等々につきまして、リハビリテーション等ですが、改善されたというところが非常に重要なファクターでございますが、一方で、田部井委員がおっしゃっていただいたとおり、変化なしということについても、高齢化でどんどん状態が悪くなっていく中での変化がないという評価でございますので、それについても非常に重要な評価だと考えているところでございます。

 ただ、これをどこで、どういうふうなもので、例えば改善したというだけで評価するのか、それとも改善、プラス変化なしだけで評価するのかということについては、それぞれの行っていただいていますケアの内容ですとかやり方の方法論の中でも、何を評価軸にするかが変わってくると思いますので、一概に今、ここで両方とも入れますとか、片方だけで評価しますということは言えないと思っているところでございます。

○田中分科会長 松本参考人、どうぞ。

○松本参考人 ありがとうございます。

 論点1について意見を申し上げます。介護老人保健施設の在宅復帰・在宅療養支援の役割機能を強化していくべきであると思いますが、平成27年5月20日の介護給付費分科会で資料として出された、平成24年度改定時の介護老人保健施設の在宅復帰に関する調査研究事業によりますと、本人が在宅を希望しても、家族の事情で受け入れてもらえないことが多いという結果が出ています。

 今日配られました参考資料25ページを見ますと、在宅強化型であっても、入所前後訪問指導の実施率が1割未満の施設が約4割となっていますが、本人の意向に沿って在宅復帰が行われ、家族が安心して在宅介護が実施できるようにするためには、入所者の家族に対して、在宅復帰や在宅療養支援に関する説明が早期に実施されるよう、要件を見直すことの検討が必要であると思います。

 あと、もう一点ですが、参考資料18ページに、介護老人保健施設では在宅復帰率が高いほどベッド稼働率が低くなる傾向が見られたとございます。他の委員から当然だという御意見もございましたが、在宅強化型施設の約4割のベッド稼働率が90%以上であるということですので、在宅復帰への積極的な取組がベッド稼働率低下の要因なのか、しっかり分析してもらいたいと思います。また、医療機関と併設している施設の場合と、そうでない場合でベッドの稼働率の違いがあるのではないかということも考えられますことから、より詳細な分析を行った上で介護老人保健施設の在宅復帰の在り方が検討されるべきではないかと考えています。

 以上です。

○田中分科会長 武久委員、どうぞ。

○武久委員 論点1に関係することですけれども、小さなまちで病院や特養がほかにないような場合は、老健が1つあると、その老健にみんな集中して、その老健が病院の役割もし、特養の役割もするということになると思います。そうすると、老健は全部在宅復帰施設で、それ以外は認めないとなると、地域住民は大変困りますので、100ベッドぐらいの老健が多いわけですから、一部は特養的にずっと最期までいてもいい。看取る場合もある。一部はどんどん帰るという選択性というか、老健内の機能別というのが私はこれから必要かなと思っております。

 参考資料19ページにありますように、私、これを見て非常に驚いたんですけれども、自宅から直接老健に来る方が非常に多くなっています。今までは、どちらかというとよその病院から老健に紹介入所というのが多かったわけですけれども、このように地域で老健として医療機関なりと認めていただいて、直接入所する。そして、直接帰るという機能が地域に非常に評価されているということで、私は非常にいいことではないかと思います。逆に言うと、その地域の中でそういう役割もあれば、ずっと預かってくれというニーズも出てくるというので、老健の多様性ということで、私は老健が成長したあかしではないかと思います。

 一方で、41ページのように、肺炎の場合に、20年のときには医療機関に紹介していたのが多かったのに、24年のときには老健内で対応することが多くなっているということは、それなりに老健の医療機能が強化されたことだと思いますけれども、ここに肺炎と書いてあります。私、医師になって大分になるので、昔から聴診器で聞いて打診して、肺炎かどうかというのを診断した経験がありますけれども、気管支炎というのは病状が気管支だけにとどまっている場合であって、肺炎というのは肺臓にまで感染巣が広がっている場合です。この差を区別するのはめちゃくちゃ難しい。これは、レントゲンで撮らないと、呼吸器科の専門医でも多分なかなか難しいんじゃないか。

 この診断根拠ですね。肺炎と書いてあるんですけれども、これはレントゲンを撮ったんでしょうか。この老健は、レントゲンを置くなという都道府県もあるんですね。置くなというのはおかしい。置いてもいいけれども、勝手にしろというのはわかるけれども、置いてはいけない。これは誰が指示したのかなと思います。今どき、肺炎ですと家族に言うときに、どこがと必ず言われるんです。ここがと写真で言わないと納得してくれない家族が非常に多いのに、いまだにこのような老健における医療提供に障壁を設けている。老健ができてから、もう何十年にもなりますけれども、医療がどんどん進んでいるのに、文明の利器の利用、機械を使ってはいけないというのも、我々としては非常に厳しい。

 だから、この統計の中で、かなり急性気管支炎が占めているのではないか。肺炎はこんなにもないだろうと思いますので、その辺のところを、現状と、これからどういうふうに持っていきたいかということを老健担当者にお聞きしたいと思います。

 以上です。

○田中分科会長 御質問ですね。お答えください。

○鈴木老人保健課長 まず、41ページの中で肺炎と言われている人たちが、肺炎なのか気管支炎なのかというところについてですけれども、そこまでの細かいデータは実際のところはとっておりませんで、肺炎と診断されたという事実でしかわからないのが現状でございます。

 また、武久委員からおっしゃっていただいたような、老健のほうで肺炎と気管支炎をきちんと分けるためのレントゲンとか、その他機器の関係ということも含めてですけれども、そういったものにつきましては、現状で申しますと、老健の施設の中で肺炎の疑いがある方々につきましては、医療機関の外来で写真を撮っていただいて、そこで判断することがされていると認識しております。ただし、それで全てやっていくわけではないと思っていますし、また自治体の判断が違うというのもあると承知しておりますが、ここにおいては、そもそも肺炎の方々はその中できちんと対応していただくことが重要であると考えてございますので、それは今後とも進めていきたいと考えているところでございます。

○田中分科会長 どうぞ。

○武久委員 老健の中で治療しろということで、3日間で5,000とか、7日間で幾らと点数がついているんですね。だから、そこで治療しろと言っているのに、診断は外へ行ってしろ。ちょっと矛盾していませんか。

○鈴木老人保健課長 診断につきましては、もともと老人保健施設と医療機関におけます給付調整の中で、老人保健施設で行っている施設・設備等を勘案して、老健が行うもの、もしくは医療機関が行って、医療機関が診療報酬で算定できるものを分けているという状況になっておりますので、そうしますと、今後、そこをもう少し考慮しなければいけないという話になります。そういったお話があるのであれば、今後、課内できちんと議論したいと思っております。

○田中分科会長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 今の話は、肺炎か気管支炎かという医学的な診断の話になるわけですけれども、肺炎とここに書いてありますけれども、実際には気管支炎も含まれているのではないかと考えると、レントゲン写真を撮らないといけないということになります。これについては、介護施設の機能分化と医療機関との連携もありますから、全てレントゲン写真を老健で撮らなければいけないということにはならないと思います。実際には診断が少し曖昧になることがわかるようにされたほうが現実的ではないかと思います。

○田中分科会長 老健については、ほかによろしゅうございますか。きょうは、皆さん、簡潔にお話しいただき、予定より早く進みました。

 もう一つの議題が残っています。ちょっと早いですが、ここで15分休憩しましょう。エネルギーを蓄えて、次に。

 

(休  憩)

 

○田中分科会長 では、再開いたします。

 次に、議題1のうち「介護療養型医療施設及び介護医療院」について議論を行います。事務局から資料の説明をお願いします。

○鈴木老人保健課長 それでは、資料を説明させていただきます。資料につきましては、資料3「介護療養型医療施設及び介護医療院」の資料になります。

 あけていただきまして、1ページ目になります。

 一番最初は療養病床の定義になりますが、主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるものであり、医療保険の医療療養病床、これは医療保険財源になります。それと、介護保険の介護療養病床、これは介護保険財源になります。この2つがあるということになります。

 それから、2番目、介護療養型医療施設は、病院・診療所のうち、1つは、療養病床は介護療養病床としてやっておりますが、療養病床以外、特に精神病床の関係につきましては、老人認知症疾患療養病棟として、報酬上評価されているところでございます。平成28年4月時点で、事業所数は1,320事業所、うち介護療養病床は約5.9万床、老人性認知症疾患療養病棟の病床数は約2,000床ということで、合計で5.9万人の方が利用されておるところでございます。介護療養病床の推移につきましては、現在、平成28年3月時点で5.9万床と減少が進んでいる状況になっております。

 一番下のポツになりますが、介護療養型医療施設の指定の単位は他の施設とちょっと変わっておりまして、各医療機関の看護体制の1単位であります「病棟」を原則としており、例外的に、療養病棟を2病棟以下しか持たない病院・診療所におきましては、病室単位で指定することが可能となっているところでございます。

 あけて、2ページ目になります。

 続きになりますが、介護療養型医療施設につきましては、現在、空床を利用した短期入所療養介護、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション等を行うことができることになっております。これらの入所者に対しまして、喀痰吸引・経管栄養等の医療処置を行うことが、他の介護保険施設よりもかなり実施されていること。それに加えまして、尿検査、血液検査、生化学検査、心電図、単純エックス線撮影等も実施されているという状況になっております。

 先ほどの老人性認知症疾患療養病棟の関係でございますが、約70%の患者さんの入院形態が精神保健福祉法におきます医療保護入院という形で入院されているということです。それから、約49%の方々にBPSDに対する薬物療法等が行われているという状況になります。

 それから、平成27年度の介護報酬改定におきましては、入所者の重度者の割合ですとか医療処置の割合等を新たな要件として、療養機能強化型A・Bというものを新たに設置したということになっております。

 平成28年10月時点で、療養機能強化型A又はBを算定している施設は約46%あります。また、これらの療養機能型A又はBを算定している施設におきましては、ターミナルケア提供者がその他の施設に比べて多い。または、経管栄養や喀痰吸引などの治療が多く実施されている状況になっております。

 あけていただきまして、3ページからです。

 介護療養型医療施設の議論の経緯ということで、まず、平成18年の医療制度改革から平成23年改正までの経緯でございますが、平成18年の医療保険制度改革におきまして、療養病床につきましては、医療と介護の役割を明確化する観点から、医療の必要性の高い方は医療療養病床で、介護の必要性が高い方は老人保健施設等で対応することとしまして、介護療養病床につきましては平成23年度末で廃止することとされました。

 しかしながら、平成23年改正におきまして、これらの療養病床からの転換が進んでいない等の理由によりまして、設置期限を平成29年度末まで延長する。ただし、その際の附帯決議によりまして、実態調査を行った上で、必要な見直しを検討することとなったところでございます。

 平成23年度以降でございますが、平成26年度調査結果におきまして、医療区分が低い方々が介護療養病床に入っているという状況はあるものの、医療処置あるいはターミナルケア等の医療が他の介護保険施設では対応できないということで、平成27年介護報酬改定におきまして、先ほどの療養機能強化型というものを新たにつくった経緯がございます。

 その後、附帯決議に基づきまして、今後の医療・介護サービスの提供体制について、「療養病床の在り方等に関する検討会」または「療養病床の在り方等に関する特別部会」というものを設置させていただきまして、それぞれにおいて審議を行っております。この審議の結果におきまして、今後の高齢化の進展により増加が見込まれます慢性期の医療と介護のニーズを併せ持つ高齢者に対応するために、新たな施設類型を創設するべきだとされたところでございます。

 4ページになりますが、療養病床の在り方等に関する特別部会の議論の整理ということで、この特別部会におきましては、医療を内包した新たな施設の基本設計について、以下のとおり整理されているところでございます。参考資料につきましては、36、37ページに出ておりますが、簡単に御説明させていただきますと、まずは、主な利用者像、施設基準。この施設基準は、最低基準の施設基準でございます。

 主な利用者像につきましては、地域の実情に応じた柔軟な対応を可能とする観点から、1つは、介護療養病床相当、いわゆる先ほどの療養病床の機能強化AB相当の方々。もう一つは、老人保健施設相当以上。この主な利用者像につきましては、上記よりも比較的容体が安定した方。こういった方々を受け入れられる機能を持つ施設を、2つの類型でつくるべきということが言われたところでございます。

 それから、1人当たりの床面積につきましてですけれども、今回の新たな施設の類型につきましては、具体的には、1室当たり定員4名以下、かつ、入所者1人当たり8m2以上とすることが適当である。また、プライバシーに配慮した療養環境を整備すべきであるということが言われたところでございます。また、これらにつきまして、生活施設としての機能を併せ持ったものであるということを踏まえまして、個室等の生活環境を改善する取組を、より手厚く評価。または、身体抑制廃止の取組等を推進していく。こういうことにつきましても適切な評価を検討すべきであるとされたところでございます。

 続きまして、5ページでありますが、これらを転換させるための転換支援策といたしましては、これまで介護療養病床及び医療療養病床からの転換について、前の介護療養型老人保健施設の取り扱いになりますけれども、年度ごとのサービス量は見込むものの、必要入所(利用)定員総数は設定しないという取り扱いをしているところでございまして、この取り扱いについては引き続き継続するということと、これ以外の転換支援策も継続していくべきであるということがまとまったところでございます。

 また、介護療養型老人保健施設からの今回の新しい施設への転換につきましては、いわゆる介護療養病床と同様とするということが言われたところでございます。

 6ページになりますが、そのほかにも有床診療所の問題ですとか、先ほど少し御説明させていただきました老人性認知症疾患療養病棟につきましては、これらの病棟に入っている方々については、新たな施設類型に求められる機能とは大きく異なることを踏まえ、現在、老人性認知症疾患療養病棟に入院している認知症高齢者に対し、引き続き適切な精神科専門医療が提供できるよう、配慮すべきであるとされたところでございます。

 7ページになります。

 こういった議論を踏まえまして、今回、介護医療院というものを創設させていただきました。介護医療院につきましては、今回の介護保険法改正におきまして、「日常的な医学管理」や「看取り・ターミナルケア」等の医療機能と「生活施設」としての機能、この2つの機能を兼ね備えた施設として「介護医療院」を創設するということで、平成30年4月1日に施行予定となっております。あわせまして、現行の介護療養病床につきましては、経過措置期間として6年間延長することとしているところでございます。

 一番最後のポツになりますが、「経済財政運営と改革の基本方針2017」におきましては、介護医療院について、介護療養病床等からの早期転換を促進するための報酬体系・施設基準を設定するとされているところでございます。

 8ページが、介護療養病床から転換した介護老人保健施設についてでございます。

 平成18年医療保険制度改正以降、療養病床から介護老人保健施設等への転換を進めてきましたが、平成20年5月に、今度は介護療養病床から転換した介護老人保健施設を、いわゆる「介護療養型老人保健施設」として位置づけて、このような施設につきましては、入所者等のうち喀痰吸引若しくは経管栄養が実施された者が15%以上であること等を要件として、その機能を評価することとしたところでございます。

 あわせまして、この介護療養型老人保健施設の介護職員につきましては、6対1を介護報酬上評価することをしておりましたが、一方で、介護療養型医療施設におきましては、多くの施設で介護職員が4対1配置という現状であったことから、当分の間、介護職員の4対1配置についても、療養体制維持特別加算として介護報酬上評価することになったところでございます。

 しかしながら、この転換が十分に進んでいなかったということを踏まえまして、介護療養型老人保健施設への転換期間を平成30年3月31日まで延長するとともに、療養体制維持特別加算につきましても、算定期限を延長して平成30年3月31日までに限り、算定できるものとしたところでございます。

 9ページにありますが、論点といたしまして5つ挙げさせていただいております。

 まず1つ目は、介護医療院の創設を踏まえまして、介護療養型医療施設、これにつきましては、介護療養病床及び老人性認知症疾患療養病棟の両方でございますが、その在り方について、どのように考えるかというのが1点目です。

 2点目が、介護医療院に求められる機能、病院・診療所及び介護老人保健施設の開設に関する規定や人員・設備、報酬体系等を踏まえまして、介護医療院のこれらの在り方について、どのように考えるか。

 3点目が、介護医療院等への転換について、円滑かつ早期に行うことを可能とする観点から、どのように考えるか。

 4点目が、介護療養型老人保健施設のこれまでの経緯や、療養体制維持特別加算の期限が迫っていることに加え、今般、介護医療院が創設されることを踏まえ、介護療養型老人保健施設の在り方について、どのように考えるか。

 最後が、「居住スペースと医療機関の併設型」への転換については、例えば「特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)と医療機関の併設型」への転換が考えられるが、その際の特定施設入居者生活介護の要件について、どのように考えるか。

 以上でございます。

○田中分科会長 ありがとうございます。

 では、ただいま説明のありました事項について、質問、御意見があれば、お願いします。

 鈴木委員。

○鈴木委員 それでは、9ページの論点に沿って、お話しをさせていただきます。

 まず最初の○でございます。介護療養型医療施設については、設置期限が6年間延長されたことに伴い、従来述べておりますけれども、魅力ある選択肢をつくって、介護医療院への転換を希望するところが自主的に転換を判断できるようにすべきであり、追い込むような対応はすべきではありません。また、老人性認知症疾患療養病棟については、介護医療院への転換も可能でありますが、引き続き適切な精神科専門医療を提供するために、医療保険の認知症治療病棟への移行を希望するところに対しては、円滑に移行できるようにすべきであると考えます。

 2つ目の○でございます。介護医療院は、介護プラス医療プラス生活の機能をあわせ持つ介護保険施設として、介護プラス生活の特養や、介護プラスリハビリの老健と機能分化を図る必要があります。介護医療院の施設基準については、1が介護療養病床相当、2が転換型老健相当が考えられますが、転換を促進するためには、基本的に現状の病棟単位でのサービス提供を維持し、1室当たり4人以下、1人当たり8m2以上となっておりますが、既存の6.4m2の4人室が廊下幅やX線装置などの設備や構造も含めて、建て替えまではそのまま転換できるようにするとともに、併設医療機関からの支援が円滑に行われるような人員配置基準の要件緩和が必要です。

 なお、小病院や有床診療所については、病室単位での転換を認める必要があります。

 また、介護医療院の開設主体は、医療的な観点からも介護老人保健施設と並びにすべきであり、もちろん補足給付の対象とすることが必要です。

 3つ目の○でございます。介護医療院への転換を円滑かつ早期に行うためには、魅力的な選択肢をつくるとともに、既存の設備や構造がそのまま使えることが必須であり、地域医療介護総合確保基金や病床転換助成事業が使えるようにするとともに、来年度からの第7期介護保険事業計画では、運用上、介護療養病床を優先した上で、療養病床のみの転換を認めるようにすべきであり、次の第8期でも、その1年前に転用した療養病床を優先すべきであると考えます。

 なお、新設については、医療機関の機能分化の観点から、急性期の大病院は認めるべきではありません。

 4つ目の○でございます。これまで介護療養型老健への転換が進まなかったことを教訓として、魅力的な選択肢をつくって介護医療院への再転換を認めるとともに、平成30年3月31日までとなっている療養体制維持特別加算を6年間延長して、再転換が円滑に進むようにする必要があります。

 それから、最後の○についてでありますが、これは質問でございますけれども、医療外付け型については、建て替えまでは個室であれば面積は問わないとされておりますが、4人室の特定施設入居者生活介護の有料老人ホームも存在すると聞いておりますので、それが事実かどうか確認したいと思います。

 以上、意見と質問です。

○田中分科会長 意見、ありがとうございます。

 質問について、お答えください。

○武井高齢者支援課長 高齢者支援課長でございます。

 今、お尋ねのございました多床室といいましょうか、定員4人以下の特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設があるかどうかということかと思います。介護保険制度がスタートした平成12年の基準では、個室または1の居室ごとに定員4人以下のものとすることというルールでございました。その後、平成18年の改正におきまして、施設基準で原則個室というルールを置きました。ただし、その時点で、既存の指定特定施設で定員4人以下の居室については、個室に関する規定は適用しないということでございます。ですので、実際に存在するということでございます。

○田中分科会長 鈴木委員。

○鈴木委員 そのような事実があるのであれば、特に大都市部では、建て替えまでの間は現実的な対応が必要ではないかと思います。

 以上です。

○田中分科会長 稲葉委員、どうぞ。

○稲葉委員 質問を1点お願いします。

 新たな施設類型として介護医療院を創設することになっておりますが、参考資料の30ページを見ると、介護ニーズに対応すると記載されております。そこで、ケアマネジメントの仕組みといったものはどのようになるのか。現時点の考えなどでも結構ですので、お話しいただきたいと思います。

○田中分科会長 老人保健課長、お願いします。

○鈴木老人保健課長 30ページのイメージを見ていただいて、今、転換先として、案1-1、案1-2、案2というものがあると考えております。こういった介護ニーズにどうやって対応していくかということになりますが、施設内包型につきましては、施設サービス計画というもので、これまでも介護療養病床のみならず、老健・特養でも行っておりますので、そういった施設のサービス計画を作成していただいて施設サービスを提供するということになると思います。

 また、案2のほうの外付けということにつきましては、今回、特定施設入居者生活介護を例に挙げさせていただいておりますが、特定施設入居者生活介護自体は、いわゆるケアマネのケアプランにのっとってサービスが提供されることになりますので、そういった方針になると考えているところでございます。

○田中分科会長 大西委員、どうぞ。

○大西委員 ありがとうございます。

 高齢化がどんどん進んでおりまして、特に慢性期の患者が非常に増加しているというのが現実でございます。そういう中で、新たに介護医療院というものが位置づけられているわけでございますので、ぜひともこの施設が地域にとりまして必要かつ重要な施設として位置づけられますように、特に、転換をする事業者にとりまして、今後、持続可能なものとして、きっちり運営していけるような施設であるようにしておく必要があると思っております。

 そういう意味で、そういった観点を踏まえて、施設の基準とか報酬体系について、他の施設との違いあるいは存在意義がはっきりわかるような位置づけを考えて、検討していく必要があろうかと思っております。 それから、論点1でございますけれども、介護医療院の創設を踏まえて、介護療養病床等の在り方について検討するに当たりましては、介護療養病床から介護医療院へ来るというのは介護保険の中での移行になりますけれども、新たに医療病床のほうから機能別分化によりまして介護医療院のほうへ転換というものも見込まれるということでございます。

 そうなりますと、介護保険のサービス量が相対的に増加していくことが見込まれるわけでございまして、保険料なり財政負担というものも重くなってくるわけでございますけれども、これをできるだけ増大しないような形で円滑な移行が図られるように、その辺につきまして、自治体でありますとか医療機関等の意見を十分尊重していただきながら、次期介護保険事業計画期間での移行を、ぜひとも円滑に進めていただきたいと思っております。

 我々基礎自治体、市町村におきましては、介護保険事業の第7期計画以降におきまして、医療計画との整合性も図りながら、今後、介護保険サービスの整備目標や見込み量を設定していかなければなりません。国のほうである程度の見通しというのは出していただいているようですが、それはあくまで2次医療圏単位の見通しだと聞いておりまして、個々の市町村にそれが直接的に落ちるわけでもございませんし、あくまで見通しですので、現実にそれに沿って、うまく移行するのかどうか。かなり不安な部分がございます。

 そういう意味で、ある程度国が見通しを示すのであれば、それに沿って円滑に転換とか介護医療院の創設がきちんと行われるような、何らかのインセンティブが働くような制度を構築していただきたいと思っているところでございます。ある程度の見通しをはっきりさせた上で、それに沿った形で有効な転換支援策というものを講じていただきたいということをお願いいたしたいと思います。

 最後に、参考資料32ページの一番下に補足給付の対象というのが明確に位置づけられております。介護医療院につきましては補足給付の対象であると理解いたしておりますが、その具体的な検討に当たりまして、低所得者の負担感に十分配慮していただきたい。そのことをお願いいたしたいと思います。

 以上でございます。

○田中分科会長 ありがとうございました。

 小原委員。

○小原委員 参考資料の32ページの法的根拠のところにも、生活施設としての機能を重視とあります。また、在宅でも、医療機関からの退院者とか、在宅生活者の中にも医療依存度の高い要介護高齢者が多くなっておりますので、介護力が低下しているケースも多いことから、適切な療養環境とか、あるいは生活施設なわけですので、ケアマネジメントが担保される必要はあると思いますので、我々ケアマネジャーも介護医療院の機能及び特性を熟知することによって、利用者の状態に応じた長期療養生活を送るにふさわしい支援に努めていきたいと思っているところです。

○田中分科会長 安部委員、どうぞ。

○安部委員 論点の2つ目の○で人員・設備という記載がございます。参考資料の32ページを見ますと、一定の施設基準が載っております。薬剤師は載っておりませんが、Iが150対1、IIが300対1となっていると思います。現在、医薬・生活衛生局のほうで高齢者医薬品適正使用検討会が行われております。高齢者、特にポリファーマシーの適正化に関する議論が進んでいると認識しておりますし、具体的な対策に資するような適正ガイドラインもこれからつくられると聞いてございます。

 その検討会で、日本慢性期医療協会さんで資料をお出しになります。これはアンケート調査の結果でございますが、現在でも、療養病床においては、6割程度の医療機関で服用薬剤を必要最小限にする取組が何らか行われているという資料が示されてございます。そういった意味では、今回、新たな介護医療院においても、対象となる患者さんは入院している高齢者が主でありますので、ポリファーマシー対策に対する不断の取組というのは、継続または向上させなければいけないと思っております。

 そういった意味でも、それを実施する薬物利用に関連する医師・薬剤師・看護師の人員というのは、少なくとも現在、32ページに示されているような機能を維持できるような体制で考えないと、今後、新しいガイドライン等によって薬物療法の最適化ということを進めるには人員が必要でございますので、そういったところも検討していただきたいと考えます。

 以上です。

○田中分科会長 松本参考人、どうぞ。

○松本参考人 ありがとうございます。

 論点1についてですが、介護療養型医療施設は、あくまで経過措置として平成35年度末まで延長されただけで、さらには医療部会で、平成35年度時点の介護療養病床は全て介護医療院に転換することを見込むとの考え方が了承されたことから、介護療養型医療施設の報酬には手をつける必要はないのではないかと考えています。

 次に、論点2の介護医療院の人員・設備、報酬体系の在り方についてです。地域医療構想を確実に実現していくという観点からも、介護医療院への転換を円滑かつ早期に進めていくべきだと考えています。

 次の論点3にも関連しますが、施設基準については、個室化やユニット化を進めるなど、プライバシーに配慮し、快適で安心できる療養生活が送れるような住まいの機能を兼ね備える必要がありますが、あまり水準を高く設定すると、円滑な転換を阻害する可能性もあるため、実態を踏まえた設定が必要になると考えています。

 次に、論点3、介護医療院への円滑な転換を早期に行うことについてですが、これまで介護療養病床の転換が進まなかった経緯等を踏まえ、できるだけ短期間で転換が進むよう、早期の転換を促進するためのインセンティブを講じることが必要ですが、入所されている方や保険財政への影響というものを考慮しつつ、基準や報酬が設定されるべきであると考えています。また、円滑な転換が実施されるよう転換計画書を作成してもらうことや、介護療養病床の事業者に対して、今であれば地域医療介護総合確保基金の利用が可能であるなど、利点を国がわかりやすく示していただくことも大切ではないかと思います。

 以上です。

○田中分科会長 小林委員、どうぞ。

○小林委員 本日は初回の議論なので、総論的な意見になりますが、先般成立した介護保険法で、介護療養病床の経過措置期間が6年間延長されましたが、今回の介護報酬改定も十分活用して、この6年間の期間内のできる限り早い時期に転換が進むよう検討していくべきだと思います。

 参考資料の32ページにありますが、介護医療院の中でも重篤な身体疾患を有する患者などを対象とする類型と、それと比べて容態が比較的安定した方を対象とする類型が考えられます。それぞれ人員や施設基準については、現行の基準も踏まえて、現場の混乱が生じないよう検討するとともに、必要があれば移行促進のための基準緩和なども検討していくべきだと思いますが、報酬については、現行の水準をスライドさせるのではなく、その果たす役割や機能を踏まえてメリハリをつけていくことが必要と考えます。

 また、早期に転換を促進していくためには、この分科会での議論の範囲を超えてしまうかもしれませんが、施設改修に係る地域医療介護総合確保基金の活用や、税制上の優遇措置の検討など、報酬だけでなく、トータルで対策を検討していくべきだと思います。

 以上です。

○田中分科会長 東委員、どうぞ。

○東委員 資料3の9ページ「介護療養型医療施設及び介護医療院」の論点の○の1つ目と3つ目にかかわることだと思います。

 総論的なことでございますが、今日の議論は、介護療養型医療施設(介護療養病床及び老人性認知症疾患療養病棟)の転換ということだと思います。これは現在、医療保険で算定されている25対1の医療療養病床からの介護医療院への転換というものが、今後、もし進むようならば、先ほど大西委員からもご懸念がございましたが、介護保険財政に大変大きな影響があると、とても心配をしております。鈴木委員もおっしゃっていましたが、まずはこの介護療養病床の転換ということを優先的に進めていただきたい。医療保険で見ているところよりも、そちらのほうをぜひ優先していただいて、保険財政の激変ということは避けるようにお願いしたいと思います。

 次に論点の○の4つ目でございます。全老健にも介護療養型老人保健施設の方が当協会の会員として加入されております。今後、この介護医療院ができますと、機能分化というものがより進んでくると思いますが、先ほど鈴木委員もおっしゃった療養体制維持特別加算が平成30年3月31日で直ちに廃止ということになりますと、介護療養型老人保健施設の現場では、大変な混乱が生じると思います。そこのところは御配慮をお願いしたいと思います。

 同時に、介護療養型老人保健施設の会員から2つの声が届いております。1つは、将来的に新しい介護医療院に移行したい。これはもっともでございますが、一方、少数ではございますが、本来の介護老人保健施設への移行というものを考えていらっしゃる転換型老健の施設もございます。介護療養型老人保健施設につきましては、どちらにも行きやすいような施策をきちんと考えていただきたいと思います。

 以上でございます。

○田中分科会長 田部井委員、どうぞ。

○田部井委員 介護療養型につきましては、これがなくなるという話題が出たときに、家族の会としましては、都道府県によっては、療養型病床は非常に大きな役割を果たしていただいている都道府県がありまして、そんなことをされては大変だ、受け皿がなくなるということで大きな心配をしたわけですね。でも、何とか続いて今日まで来たということですけれども、まず、老人性認知症疾患療養病棟もなくなるという説明を受けまして、療養病床がなくなると聞いたときと同じようなショックを私どもとしては受けました。私も35年ほど認知症のあれに携わってきて、保護入院を利用せざるを得なかった家族のあれを何度か経験しておりますけれども、そういう必要がどうしてもあるケースが避けられない。

 昨今は、初期の認知症の姿が認知症の本来の姿だという形になってきていますけれども、それはそのとおりではあるんですけれども、一方で非常に困難な状況に陥らざるを得ないということもありますので、それをきちんと同等の形でフォローしていただく場所を確保していただきたい。幸い特別部会でもそのように意見をいただいているので、ぜひそれをお願いしたい。それで、厚生労働省として、それにかわるものとして、こんな形が考えられるという腹案がもしあるようでしたら示していただけると、より安心できるかなと思いますので、お願いしたいと思います。

 それから、介護医療院につきましては、療養病床の議論は難しくてよくわかりません。国会の参考人意見で出たときにも、議員さんから介護医療院について、どう思いますかと聞かれたときに、私は率直にわかりませんと。そんな参考人、今までいなかったという顔をされましたけれども、答えざるを得ませんでした。

 それで、本当に初歩的なあれで伺いたいんですけれども、今まで延長、延長という形で来て、今度、介護医療院という形のものができるということで、これでこの間の議論が終止符を打てるのかという肝がもしあるとすれば、これが肝で、この間の議論はこれで解決するんですという肝がありましたら、示していただけるとすっきりとわかるかなと思いますので、もしありましたら教えていただきたいと思います。

 それから、せっかく新しいあれができるわけですけれども、参考資料の34ページで、病院あるいは診療所から形が変わった場合には、引き続き今までの名前を使うことができるというあれもあるんですけれども、実務的なことなのかもしれないですけれども、せっかく新しいものでいいものができるということであれば、むしろ積極的にすることのほうに意味があるのではないかと思いますけれども、こういう形で措置が講じられることにはどんな意味があるのか、教えていただければと思います。

 それから、これからどういうふうに介護保険の給付に影響していくのかとか、在宅サービスと施設サービスの比重をどういうふうに考えたらいいのかということについて、これだけ緊迫している給付削減がある中で、どのように厚生労働省としては考えておられるのか、今の時点で結構ですので、お考えがありましたら示していただきたいと思います。

○田中分科会長 質問が4点ございましたね。お願いします。

○鈴木老人保健課長 済みません、漏れたら申しわけございませんが、まず第1点目の関係でございますが、老人性認知症疾患療養病棟の今後の考え方になると思いますが、これにつきましては特別部会でも御議論がありまして、これまで医療保護入院等の患者さんもきちんと受けていたという機能を担保すべきということで、それにつきましては介護保険の中で何ができるか、もしくは医療保険の中で何ができるかということについて議論しているところでございます。認知症疾患療養病棟につきましては、基本的には介護療養病床の中の報酬上の1類型になりますので、今回、介護療養病床等々と同じような取り扱いとなると考えているところでございます。

 それから、2点目の関係が、今回、介護医療院の肝は何かというお話でございますが、これまでの介護療養病床につきましては転換ということですが、附帯決議の中で、これまでの介護療養病床の機能をきちんと考えて、今後の新しい施設を検討すべきということで、これまで行っていただいておりました介護療養病床の2つ機能、医療的機能と生活施設の機能といったものを踏まえるということが言われておりますが、一方で、療養病床からの転換という枠だけではなくて、今後、我が国におきましては高齢化が進み、医療と介護をあわせ持つ患者さんが非常にふえてくるという状況もあります。

 そういうことを総合的に勘案して、今回、介護医療院というものを新たに創設しているということでございますので、肝になるかどうかはちょっと不明ではございますが、その議論の流れの中で、今後、介護医療院という新しい施設は、転換という枠組みだけではなくて、今回つくらせていただいているところでございます。

 あと、名称につきましては、これまで特別部会でも言われておりましたが、これまで地域においてなじみのある名称をそのまま引き続き使えるようにという観点から、今回、こういった取り扱いをさせていただいているところでございます。

 済みません、もう一点、もし何かあれば。

○田中分科会長 報酬の影響はどうか。

○鈴木老人保健課長 全体的な報酬の影響ということになりますが、そもそもこの報酬がどうなるかによっても全然変わってきますので、今の段階で報酬の見通しというのは特段立てていないというのが現状でございます。

○田中分科会長 よろしいですか。

 瀬戸委員、どうぞ。

○瀬戸委員 論点の3つ目の転換に関してですが、今回、介護医療院は本則に位置づけられましたので、新設も可能というのが原則だと思いますが、現在まで転換ができなかったことを踏まえれば、経過措置期間の6年間については原則転換のみということが必要なんじゃないかなと思います。

 それから、論点の2つ目に戻りますけれども、参考資料32ページを皆さん、使われていましたので、これについてお話ししますけれども、案のIについては介護療養病床相当、案のIIが老健相当という整理でいいと思います。報酬に関しましても、Iに関しては機能強化型のA・B相当と利用者像がなっていますので、それをきっちり守る限り、同等の報酬にするということで構わないと思います。逆に、それに満たさなければ減算みたいな形での報酬になると思います。

 案のIIに関しましては、介護療養強化型老健相当ということになりますので、話題になっていました療養体制特別加算に関しましても、それを本体報酬に含んだ形での報酬設定も考えられるかなと思います。

 それから、身体拘束に関しましても、これは本体資料の4ページの特別部会の報告でも指摘されていますので、身体拘束の未実施減算の仕組みもしっかりと考えていきたいと思います。

 なお、補足給付の対象ということになっていますので、費用額の算定に当たっての調査で各介護保険施設類型別に平均額を出した上で、介護医療院の設定額を出すべきだと思います。

 それから、5つ目の論点に関してですが、医療を外から提供する居住スペースの関係ですけれども、居住スペースに関しましては、有料老人ホームの基準を適用することが大事だと思いますので、原則個室ということを守ってもらいたいと思っております。

 以上です。

○田中分科会長 小林参考人。

○小林参考人 ありがとうございます。

 介護医療院について意見を申し上げます。今回、生活の場としての機能がきちんと位置づけられたことが非常に大切だと思っておりまして、イメージ図としては、参考資料30ページにあります案1-1、1-2、案2のイメージを前提に申し上げますけれども、特別部会の報告の中にも書かれましたとおり、プライバシーに配慮した療養環境をきちんと整備すべきということと、入所者1人当たり8m2以上ということについては守っていくべきと考えております。そのための転換支援策などを検討して、なるべく前倒しで転換が図られるようにということを要望しておきたいと思います。

 以上です。

○田中分科会長 武久委員。

○武久委員 論点の4番目、5番目ですけれども、これは転換老健と言いまして、1万床以下しかありません。かといって、疎かに扱うわけではございませんが、全般的にどなたかおっしゃっていたように、慢性期がふえてきた。確かによく考えると、急性期と思われていた一般病床の中にもいっぱい慢性期がいることで、慢性期に入っているところが非常にふえています。したがって、慢性期の中での機能分別というものも非常に重要になってまいります。

 転換老健ですけれども、我々のところで6年前と去年とで調べましたところ、転換老健は転換した年には、医療区分等で言いますと、非常に重症な方が入っていたんです。それが5年過ぎたら、入所者が普通の老健とほとんど変わらなくなったということで、順調に老健化が進んでいるんじゃないかと思います。

 上3つのことでございますけれども、病床を転換して介護医療院なりになっていくことは当然のことでありまして、日本は病院数が人口に対して世界の中でも多いほうだと思いますが、多くても対象者が多ければいいんですけれども、田舎のほうに行きますと、もう既に高齢者自身が減少している地域もございまして、地域の病院では運営が非常に困難を極めているところもございます。スタッフの数とか、いろいろなことで慢性期医療の現場も非常に困っておるところでございます。

 したがって、調べてみますと、療養病床は38万床から33万床と、減ったように見えるんですけれども、実は療養病床のかなりの部分が地域包括ケア病棟をとったり、回リハをとったり、上のほうに機能として上がっていく。逆に言うと、一般病床のほうから地域包括ケア病棟や回リハをとるところも出てきます。そのようにだんだんと本来の機能に合わせた病棟が機能別に厚労省のお考えのとおりに進んでいっていると思いますけれども、一般病床はまだまだ数が多い。

 そのほかにも特定除外という、皆さんが御存じのように、3カ月以上入院しておれば、そのまま入院していいという制度が2014年までありましたけれども、この患者さんもまだ一般病床の中にたくさんいて、それは療養病床入院基本料1で請求することができるということで、これはなくなる前には10万床と言われておりました。

 このように考えますと、私は別に財務省の回し者じゃないですけれども、全体から考えたら、医療費は毎年6,000億円、7,000億円増えていきます。人口が減っている日本ではどんどんふやしていけるような状況ではないと思いますが、その中で医療費から介護のほうへ移るわけですね。そうすると、介護保険料は上がることになります。上がっても、トータルでは少し減っていくことにもなります。ただ、日本全国での後期高齢者はまだどんどんふえておりますので、そういうことを予想すると、私たちは現場ですけれども、これからいろいろなトラブルに見舞われるという予想はしておりますけれども、そこはスムーズに動けるような改革をしていただきたいと思っております。

 まず、介護医療院ですけれども、病院内の病床から病院内の介護医療院になる場合には、病院内のその他の病棟から介護医療院に行った場合には、在宅復帰先として認定していただかないと、移行はなかなか進みにくいと思います。地域包括ケア病棟ができたときに、これがどのぐらいふえるかなと思っていたら、もう既に7万床近くになっております。ということは、これは7対1とか10対1を減らしていくという政策は非常に順調に行っているということにもなります。急性期もそのようにして、どんどんと高度な医療と言いながら、大した医療をやっていないところは、だんだんと機能別に分けられていく。

 また、慢性期でも老人収容所的な運営をしているところは介護医療院へ行きなさい。慢性期でもきちんと治療しているところは、病院・病床として認めましょうと言われているような気がしているわけですけれども、それは確かに正しいことであって、病院というところはきちんと治療して、よくして帰すところであります。そういうこともありまして、病床転換するのに、今は介護療養型の話ばかり出ておりますけれども、実は25対1が来年4月からは転向できるような制度になっていると聞いております。

 介護療養型から移る場合には、介護保険料は全くシフトいたしませんから、25対1から移る場合には医療保険から介護保険に財源が移る。1つの病院が小さなまちにあった場合、そこが100ベッド、どんと介護医療院に移ることになると、そのまちの介護保険料が倍増するということになることは、前回のこの会でも私は危機を提言しておりますけれども、これはほんのちょっと先で、もう既に起こる可能性があります。これに対して、政府としては当然対応しておかないと、隣のまちと保険料が倍も違うということになってくると社会問題になりますので、担当者の方々のスムーズな考え方を示していただけたらと思う次第でございます。

 そういうこともありまして、ぜひ病床の機能をきちんと分けて、そのような機能で病棟を運営してくださいという大きな流れが始まっているということを我々も肌身に感じておりますけれども、医療保険と介護保険の財源が違います。そこの境界域を患者さんが行き来する場合に、どのようにするか、最初から方針を大きく決めていただかないと、現場は非常に右往左往することになりますので、御検討のほど、よろしくお願いしたいと思います。

 以上でございます。

○田中分科会長 大西委員と同じ問題意識です。要望でよろしいですね。きちんと検討せよという要望でした。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 先ほど松本参考人もおっしゃったのですが、医療部会で医療計画が了承されているわけです。そこでは、平成35年には全て介護医療院に含まれているという図が示されています。それはどういう意味を持つのか、確認しておきたいと思います。というのは、これまで私は検討会から特別部会までの14回、平成27年7月から出ておりますが、そういう議論は全くなかったし、魅力ある選択肢をつくって、自主的に転換の判断をしていただくという方向でずっと来ました。

 もしそれが平成35年までには強制的に転換しなければならないということであれば、どんな報酬にしても、構わないということになって、この話は全部振り出しに戻ってしまうのではないかという懸念を強く感じますので、それについて責任ある方の御回答をいただきたいと思います。

○田中分科会長 医療計画に関する質問ですね。どなたがお答えになりますか。

○北波総務課長 総務課長でございます。

 今の御質問の関係につきまして、きちんとしたお答えになるかどうかというのはございますが、1つは、地域医療構想を初めとして、医療計画については2025年にどのような形になるか、一定の推計を置いて計画しているところがございます。一方で、介護保険につきましては、基本的に市町村が保険料の算定もございますし、実際にどのようにするかということを地域の実情も踏まえながら積み上げていくということでございます。

 実は、その辺の調整というものについては、本来は整合性をとってきちんと行っていくべきものではありますけれども、考え方が少し違うところがございます。私どもも、今回は同時改定でありますし、また医療計画も介護計画も平成30年度から一斉にスタートするというところもありますので、今まさに医政局や保険局、3局連携して、どのような形であれば地方でも混乱なく計画が出ていくかということは、当然調整しているところでございます。

 先生おっしゃるように、一律に何かが強制的に動くというものではございませんで、まさに地域医療構想でも、地方の病院、そして地域が自主的にいろいろと検討した上で、移行も含めて考えていただくという原則の中で動いておりますので、そういう考え方を踏まえながら、介護のほうでも考えていきたいと思っております。

○鈴木委員 御担当でしたから、責任を持った回答だと思いますけれども、我々としても、平成35年には全て強制的に介護医療院という話にはなっていないと理解しておりますが、それでよろしいですね。確認の質問です。

○田中分科会長 局長、お願いします。

○濱谷老健局長 今、課長から話したとおりでありますけれども、計画上の扱いはどのような扱いかというのは調整しますが、あくまで自主的な転換ということであって、強制するものではないということは、そのとおりでございます。

○鈴木委員 局長の答弁ですので、了解いたしました。

○田中分科会長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤(訓)委員 利用者にとって、介護医療院はなかなか認識しづらいといいますか、非常に複雑ではないかと私も感じておりますので、適切な広報活動等も必要だと思います。ただ、いろいろな議論を経てできてきたものでございますので、利用者にとっても、働く者にとっても魅力ある施設にしていくという方向を関係者一同、持つべきだと考えています。

 そのような観点から、参考資料32ページの論点2についてでございます。

介護医療院は2種類あって、療養機能強化型A・B相当のものと、老健施設相当のものが記載されてありますが、IIの老健施設相当以上の類型につきましては、鈴木委員もご発言されていたように、私も転換型の「介護療養型」老健並みを最低基準にすべきではないかと考えています。

 この施設の趣旨である個人の尊厳・プライバシーを確保しながら一定の医学管理や看取りの機能もしっかり果たしていくということを考えますと、看護職員等々の夜勤体制など、「従来型」老健の最低基準にプラスアルファの体制が必要ではないかと考えます。

 それから、同じ32ページに、医療機関に併設される場合、人員基準の弾力化を検討ということが記載されておりますが、医師の配置は弾力化を検討ということでよろしいかと思いますが、介護職員、看護職員などダイレクトケアに携わるスタッフにつきましては、医療機関との兼務というのは大変厳しいのではないかと考えておりますので、利用者の安全とスタッフの安全を担保していくということに鑑みまして、医療機関との兼務につきましては、日本看護協会としては認めないという意見を出したいと思います。

○田中分科会長 鈴木委員。

○鈴木委員 今の齋藤委員の発言ですけれども、我々は、日常的な勤務での兼務を言っているのではなくて、緊急時に行けるような要件緩和ということですので、それは必要だと思います。

○田中分科会長 石本参考人、どうぞ。

○石本参考人 先ほどもどなたかおっしゃいましたが、今回、生活施設としての機能を重視するというのを明文化されておりますので、平米数等のハード面のところはもちろんですが、ケアのソフトの部分でのいわゆる生活支援というものがしっかり担保されるような、例えば配置基準だったり、評価の在り方というのも、今後きちんと議論していただければと思います。

 以上です。

○亀井委員 そのほかよろしいですか。

○田中分科会長 これが一通り終われば、発言なさりたい方がおられます。

 介護医療院並びに介護療養型医療施設について、よろしゅうございますか。きょうは、すごくテンポが速いですね。

 では、亀井委員、どうぞ。

○亀井委員 座長、どうもありがとうございます。

 きょうの議題には直接関係するものではございませんけれども、先ほどの介護医療院の議論の中で、大西委員あるいは武久委員と若干関連するものでもあるわけですが、今、社会保障の自然増が6,300億円とも言われているわけでございます。それで、これを5,000億円に抑制していくという作業がこれから始まってくるわけで、中医協であったり、本会で9月以降、そんな議論が始まってくるだろうと思っているんですけれども、このような作業を毎年続けていって、2025年から2040年の大きな山をすいすいと越えていけるかというと、私はそれは難しいのではないかと思っているんです。

 それで、そういう中でしわ寄せがどこへ来るのか。先ほどの議論もございましたけれども、我々保険者に来るということについて、その危惧を非常に持っているところでもあるわけでございます。

 そこで、これから新たなる財源の確保について勉強していく必要があるのではないかと思っているんです。世界に冠たる国民皆保険制度であったり、介護保険制度であったり、これをいかに持続あるものにしていくか。今、転換期にあると思っているんです。

 それで谷内審議官にちょっとお願いしておきたいと思っているんです。新たな財源確保、あるいは制度設計も含めて、私は審議官に期待も寄せさせていただいているので、御奮闘いただけないかと思っておりますし、今の改定のときに何らかの考え方の頭出しをしていく必要もあるのではないかと思っているんです。私の今の意見について、谷内審議官、何か御所見があればおっしゃっていただいたらいいし、そんなのは別にないわというんだったら結構ですけれども、どうでしょうか。

○田中分科会長 突然の御指名ですが、いかがですか。

○谷内審議官 亀井市長からの御指名でございますので、熱い激励の意味も含めて、いろいろ言っていただいたということでございますけれども、市長もおっしゃいますように、社会保障の自然増、着実に伸びておりまして、私も以前、この前2年間、保険局ということで、28年度、29年度予算、自然増5,000億円にするための作業をやっておりました。30年度も引き続き同じような作業をやらざるを得ないだろうなと思っておりますけれども、市長がおっしゃいますように、長期的な観点は非常に大事でございます。

 ただ、その際に、おっしゃいました財源につきましては、特に消費税の議論も御承知のとおり、延期が二度続いているような状況でございまして、なかなか表立って大きな議論ができにくい状況であるということはたしかでありますけれども、厚生労働省としましては、今後、高齢化がまだ進んでいる中で、いずれにしても、この社会保障につきまして、医療も介護も同じでございますけれども、財源的には保険料と税金と自己負担というしかない状況の中で、どうやって中期的・長期的に持続可能にしていくかということを本当に真剣に考えていかなきゃいけないと思っております。

 我々も内部的にも、表立った議論ができるときにはそういう議論をしていきたいと思いますけれども、さまざまな御支援等をまたよろしくお願いしたいと思います。

○亀井委員 親元も巻き込んで議論していただければ。

○田中分科会長 高齢化全体の流れを考えよとの御指摘でした。

 ほかにいかがですか。よろしゅうございますか。

 きょうは、大変引き締まった発言をいただきまして、感謝いたします。

 では、本日の審議をここまでといたします。

 次回の予定について事務局からお願いします。

○鈴木老人保健課長 本日はどうもありがとうございました。

 次回の日程等につきましては、事務局から追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 なお、御連絡でございますが、7月24日、26日に2回に分けて送付させていただきました介護報酬改定検証調査の29年度実施分の調査票につきまして、各委員の皆様方におかれましては、期限が短い中、御確認ありがとうございました。いただいた意見につきましては可能な限り反映し、分科会長に御相談の上、最終版とさせていただきたいと思っております。その後、発出したいと思っておりますので、その旨、御報告させていただきます。

 それでは、本日はどうもありがとうございました。これにて閉会とさせていただきます。

○田中分科会長 ありがとうございました。