地域包括ケアシステムの構築と医療機能分化・強化、連携 ⑶ I-3 医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価

 I-3 医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価

(1) 一般病棟入院基本料及び療養病棟入院基本料等について、急性期医療、急性期医療から長期療養、長期療養の3つの機能について、入院医療の基本的な診療に係る評価(基本部分)と、診療実績に応じた段階的な評価(実績部分) との2つの評価を組み合わせた評価体系に再編・統合することとし、一般病 棟入院基本料について、以下のような見直しを行う。

1 一般病棟入院基本料(7対1、10 対1、13 対1及び 15 対1)について基本部分と実績部分を組み合わせた評価体系に再編・統合し、新たに、急性期一般入院料(仮称)、地域一般入院料(仮称)とする。

2 急性期一般入院料(仮称)の実績部分の段階的な評価については、現行の 7対1一般病棟入院基本料、10 対1一般病棟入院基本料及びその中間的な 評価を設定する。また、中間的な評価は、7対1看護職員配置の届出実績 があること及び重症度、医療・看護必要度の基準について診療実績データにより重症度、医療・看護必要度の基準値に係る判定を行うこと等を要件とする。

3 急性期一般入院料(仮称)のうち、現行の7対1一般病棟入院基本料相当 の評価となる入院料には、7対1看護職員配置を要件とする。

4 現行の病棟群単位での届出及び 200 床未満の7対1一般病棟における重 症度、医療・看護必要度の基準値に係る経過措置については、一定の配慮を行いつつ整理する。

(2) 一般病棟入院基本料の重症度、医療・看護必要度については、急性期の入 院医療をより適切に評価する観点から、以下のような見直しを行う。

I-3 医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価

1 平成 28 年度改定で新たに追加した評価項目に関して、項目の定義や該当 患者の判定基準の一部について以下のような見直しを行う。
ア 処置等を受ける認知症又はせん妄状態の患者をより適切に評価するよう重症度、医療・看護必要度の判定基準を見直す。
イ 手術に関する項目について、該当日数を一部適正化する。

2 医療機関が一定の要件を満たす場合には、基準値の判定について、診療実績データを用いた判定方法を選択可能とする。

3 上記1、2の見直し及び入院医療の評価体系の再編・統合等を総合的に勘案して、基準値を設定する。

(3) 療養病棟入院基本料について、入院医療の評価体系の再編・統合の方向性 を踏まえ、以下のような見直しを行う。
1 20 対1看護職員配置を要件とした療養病棟入院料(仮称)に一本化することとし、医療区分2・3の該当患者割合に応じた評価に見直す。
2 現行の療養病棟入院基本料2については、病院における医療療養病床に 係る医療法上の人員配置標準の経過措置の見直し方針を踏まえ、療養病棟 入院料(仮称)の経過措置と位置付け、最終的な経過措置の終了時期は次 期改定時に改めて検討することとし、経過措置期間をまずは2年間と設定する。
3 現行の療養病棟入院基本料2に関し、25 対1看護職員配置の要件を満たせない場合の経過措置(所定点数の 100 分の 95を算定)については、必要な見直しを行った上で2年間延長する。
(4) 療養病棟入院基本料の医療区分3の評価項目のうち、「医師及び看護職員により、常時、監視及び管理を実施している状態」については、より適正な評価となるよう取扱いを見直す。
(5) 療養病棟入院基本料の在宅復帰機能強化加算については、在宅復帰の機能をより推進する観点から、基準値を含め評価を見直す。(I-1(2)2再掲) (6) 療養病棟における夜間のケアを充実させるため、看護職員等の夜間配置の評価を新設する。
(7) がんで入院中の患者が、高度な放射線療法を円滑に受けられるよう、高度な放射線治療機器等を有する他の医療機関を受診する場合に、入院中の他医 療機関受診時の減算について取扱いを緩和するとともに、受診先医療機関に おいて外来放射線治療加算の算定を可能とする。

(8) 医療資源の少ない地域に配慮した評価を更に適切に推進する観点から、病 床数が要件となっている診療報酬上の取扱いを一部緩和する。

(9) 結核病棟入院基本料について、より効率的な病棟運営が可能となるよう、障害者施設等入院基本料と併せて1病棟として運用する場合であって、結核病棟入院基本料の重症度、医療・看護必要度に係る基準のみを満たさない場 合の入院基本料の水準を見直す。

(10) 地域包括ケア病棟入院料について、以下のような見直しを行う。
1 入院医療の評価体系の再編・統合の方向性を踏まえ、地域包括ケアシス テムの構築をより一層推進する観点から、在宅医療や介護サービスの提供 等の地域で求められる多様な役割・機能を有している場合について、評価を行う。(I-1(10)再掲)
2 救急・在宅等支援病床初期加算について、在宅等からの入院と急性期医療を担う一般病棟からの転院・転棟で評価を区別し、評価の見直しを行う。 3 在宅等からの患者の受入れに係る加算等の要件に、入院時に関係機関と 連携し、治療方針に関する患者・家族の意思決定に対する支援を行う体制を構築することなどを追加する。(I-1(11)再掲)
(11) 有床診療所入院基本料について、地域包括ケアモデル(医療・介護併用モ

デル)での運用を支援するため、介護サービスを提供している有床診療所につ いて、入院基本料1から3までの要件を緩和するとともに、高齢患者の入院 受入れに係る評価を新設する。併せて、有床診療所在宅復帰機能強化加算の 平均在院日数に係る要件を緩和する。(I-1(12)再掲)

(12) 回復期リハビリテーション病棟入院料について、入院医療の評価体系の 再編・統合の方向性を踏まえ、以下のような見直しを行う。
1 リハビリテーションの提供による日常生活動作の改善(実績指数)等に応じた評価を一層推進する。
2 実績指数の高い入院料について、栄養状態の評価や栄養管理に係る取組を要件とするとともに、入院栄養食事指導料の算定を可能とする。
3 回復期リハビリテーション病棟専従のリハビリテーション専門職につい て、一定の要件の下、外来や訪問でのリハビリテーションの提供を可能とする。
(13) 10 対 1 入院基本料を算定する全ての医療機関や、一部の回復期リハビリ

テーション病棟入院料や療養病棟入院基本料を算定する医療機関について も、データ提出加算の算定を入院料の要件とする。そのため、現行の回復期 リハビリテーション病棟入院料における重症度、医療・看護必要度に係る要 件について、合理化の観点も含め整理する。また、未コード化傷病名等デー タの質についての評価を行う。

(14) 特定集中治療室におけるより質の高い医療の提供のために、特定集中治 療室管理料について、以下のような見直しを行う。

1 多職種による早期離床の取組について評価する。
2 特定集中治療室管理料1及び2の施設基準について、専門の研修を受けた看護師の配置を要件とする。
3 特定集中治療室管理料については、入室時の生理学的スコアの測定を要件とする。
(15) 特定集中治療室等の治療室に備えるべき装置・器具について、器材の効率的な使用の観点から、緊急の事態に十分対応できる場合は、救命器具以外は、他の治療室等と共有できるよう施設基準を見直す。
(16) 救命救急入院料1及び3並びに脳卒中ケアユニット入院医療管理料については、重症度、医療・看護必要度の測定を要件とする。
(17) 短期滞在手術等基本料について、入院基本料の平均在院日数や重症度、 医療・看護必要度への影響にも配慮しつつ、DPC対象病院はDPC/PDPSによる評価を優先させるよう取扱いを見直す。 (18) DPC制度について、以下のような見直しを行う。

1 調整係数について、基礎係数と機能評価係数IIへの置き換えを完了する。 調整係数の置き換えに当たって行っていた激変緩和措置はその手法を見直 した上で引き続き必要な措置を講じる。

2 基礎係数を設定する医療機関群について、医療機関群の設定方法の基本 的な考え方は維持し、各群の名称を見直す。

3 機能評価係数について、機能評価係数IIの現行の8項目のうち、後発医 薬品係数及び重症度係数については評価を廃止するとともに、後発医薬品 使用体制加算に対応した機能評価係数Iの算定を可能とする。また、その 他の6項目及び機能評価係数Iについても、必要な見直しを行う。

4 診断群分類やその他算定に係るルール及びDPCデータの調査項目等に ついても、簡素化を含めた必要な見直しを行う。

(19) 入院患者に対する褥瘡対策を推進するため、以下のような見直しを行う。 1 入院中の新たな褥瘡発生を予防するため、入院時に行う褥瘡に関する危 険因子の評価の項目を見直すとともに、褥瘡ハイリスク患者ケア加算の対象者に、医療関連機器の長期使用者を追加する。
2 ADL維持向上等体制加算の褥瘡に関する基準(院内褥瘡発生率)を見直す。
3 療養病床の褥瘡に係る加算について、アウトカムに着目した要件に見直す。
(20) 看護補助者の配置に係る加算を算定する場合は、定期的に看護職員及び看護補助者の業務内容を見直すとともに、身体的拘束等の行動制限を減らす取組の実施を求める。

(21) 看護補助者の配置に係る加算を算定する場合は、看護補助者への院内研修の実施を求める。