一般病棟の2018年改定のスタートは、この「課題と現状」から始まりました。そして、「論点」を読むと、18改定の本質が見えてきます。

入院医療の課題(案) 【一般病棟入院基本料】

 

【課題】

【一般病棟入院基本料の区分別の概要】

 現行の一般病棟入院基本料は、主に看護職員配置や医師配置等をベースに入院医療に係る基本的な診療報酬として、点数が設定されている。また、平均在院日数、重症度、医療・看護必要度、在宅復帰率などが施設基準の届出要件に含まれている。加えて、看護補助者等を追加的に配置している場合等に、加算が設定されている。

一般病棟入院基本料の区分別の状況をみると、平均在院日数は7対1が最も短く、次いで、10対1となっている。病床稼働率は7対1が最も高いが、近年、低下傾向。届出病床数は7対1が最も多い。

 7対1と10対1で一般病棟入院基本料の算定回数の推移をみると、近年、減少傾向。

【区分別の職員配置等の状況】

看護職員については、いずれの届出区分でも必要な配置数(推計)よりも実際には多く配置されており、届出区分別では7対1が最も多い。

1病床あたり職員数(医師以外)をみると、約95%の病棟で看護職員以外の職員を配置しており、病棟配置職員数の約2割が看護職員以外の職員になっている。

一日あたり平均レセプト請求点数は7対1で最も高く、7対1、10対1で入院基本料以外の点数が多い。

1床あたり医業収益と医業・介護費用をみると、7対1届出医療機関では、医業収益と入院診療収益は、いずれも最も高い。医業・介護費用に占める給与費の割合は、7対1ではその他と比較して低い。

【区分別の入院患者の状況】

疾病別にみると、7対1では「新生物」が最も多く、7対1以外の病棟では、「損傷、中毒及びその他の外因の影響」が最も多くなっている。

年齢階級別にみると、75歳以上の割合は、7対1が最も少なく約42%、次いで10対1が約51%、13対1が約61%、15対1が約66%となっている。なお、年齢階層別の人口推移をみると、65歳未満の人口は今後減少していくことが予想され、入院患者の将来推計を疾患別でみると、悪性新生物の患者は2035年以降減少することが予想される。

医療行為や処置別にみると、多くの医療処置で7対1病棟入院患者の実施割合が高いが、喀痰吸引や中心静脈栄養では、15対1病棟入院患者の実施割合の方が高い。

入院継続の理由をみると、いずれの区分も「医学的な理由」が最も多いが、退院へ向けた目標・課題をみると、「疾病の治癒・軽快」は7対1が最も多く、13対1や15対1では、「低下した機能の回復」、「在宅医療・介護等の調整」、「入所先の施設の確保」 等の割合が、7対1や10対1に比べて多い。

【7対1と10対1の届出医療機関別の状況】

平均在院日数及び病床利用率をみると、いずれも医療機関間のばらつきが大きく、10対1届出医療機関の中にも7対1届出医療機関相当のデータを示す医療機関が存在する。

重症度、医療・看護必要度の該当患者割合と平均在院日数とを比較すると、10対1より7対1の方が該当患者割合が高い傾向があるが、平均在院日数の分布はばらついている。

重症度、医療・看護必要度の該当患者割合と看護職員実配置数あたり病床数をみると、10対1でも7対1相当の医療機関がある。

(DPC対象病院での状況)

DPC対象病院のうち、7対1と10対1の届出医療機関別で、1日あたり包括範囲出来高点数、効率性指数、複雑性指数をみると、重複する範囲が広く、10対1届出医療機関の中にも7対1届出医療機関相当のデータを示す医療機関が存在する。効率性 指数は7対1届出医療機関の方がやや高い。

 

【論点】

入院基本料は、入院診療に係る基本的な療養に係る費用(環境、看護師等の確保、医学管理の確保等)を評価するものであるが、現行の一般病棟入院基本料は、主に看護配置等の要件で段階的に設定されており、入院医療については、患者の状態や診療の効率性等の要素も考慮する必要があるのではないか。この点については、医療機関によって様々であり、さらに詳細な分析が必要ではないか。また、患者の状態に応じた評価と機能に応じた評価との整合性も考慮した評価のあり方について、どのように考えるか。

13対1と15対1では、7対1と10対1に比べて、患者の状態や医療処置の内容等が異なっている。患者の状態や機能に応じた評価についてどのように考えるか。