地域包括ケア病棟の議論の過程です。すべて、中医協資料からで、あとは必要ありません。これを読んでいくと、H30年改定が透けてみえますよ。

26年度診療報酬改定

地域包括ケア病棟創設(H26年改定)

• 平成26年度改定に向けた入院分科会の議論において、亜急性期病床の役割・機能を明確にするため、

1    急性期病床からの患者の受け入れ

2    在宅等にいる患者の緊急時の受け入れ 3在宅への復帰支援の3つの機能が重要であるとされ、 施設基準として、1重症度、医療・看護必要度、2在宅療養支援病院、二次救急病院又は救 急告示病院等であること、3在宅復帰率の実績の引き上げ等が設定された。

  • 地域包括ケア病棟入院料及び地域包括ケア入院医療管理料(以下「地域包括ケア病棟入院料 等」という。)を算定する病棟又は病室は、急性期治療を経過した患者及び在宅において療養を行っている患者等の受入れ並びに患者の在宅復帰支援等を行う機能を有し、地域包括ケアシムを支える役割を担うもの。

病床數

H26年10月:24,645床 

H27年10月:36,377床 

H29年10月:52,492床

28年度診療報酬改定

  • 地域包括ケア病棟入院料の見直し
  • 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料を含む。)の包括範囲から、手術、麻酔 に係る費用を除外する。
  • 500床以上の病床又は集中治療室等を持つ保険医療機関において、地域包括ケア 病棟入院料の届出病棟数を1病棟まで(※)とする。病棟 28年度診療報酬改定

 

地域包括ケア病棟の経緯2(平成26年度診療報酬改定以降

【平成26年度診療報酬改定】

• 地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料の創設 [主な要件]

– 看護配置13対1以上、専従の理学療法士・作業療法士又は言語聴覚士1人以上、専任の在宅復帰支援担当者1 人以上

– 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度A項目1点以上の患者が10%以上

– 在宅療養支援病院、在宅療養後方支援病院として年3件以上の受入実績、 二次救急医療施設、救急告示病院のいずれかを満たすこと

– データ提出加算の届出を行っていること

– リハビリテーションを提供する患者について、1日平均2単位以上提供していること。

– 在宅復帰率7割以上 (地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)1のみ)

– 1人あたりの居室面積が6.4m²以上(地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)1のみ) – 療養病床については、1病棟に限る

• 当該入院料の役割は、1急性期からの受け入れ、2在宅・生活復帰支援、3緊急時の受け 入れの3つとされた。

【平成28年度診療報酬改定】

• 包括範囲から、手術・麻酔に係る費用を除外

• 500床以上の病床又は集中治療室等を持つ保険医療機関において、地域包括ケア病棟入院料の届出病棟数を1病棟までとする

• 在宅復帰率の評価の対象となる退院先に、有床診療所(在宅復帰機能強化加算の届出施設 に限る)を追加

 

 地域包括ケアを支援する病棟の評価

急性期後の受入をはじめとする地域包括ケアシステムを支える病棟の充実が求められていることから新たな評価を新設 する。

(新) 

地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)1 2,558点 (60日まで) 

地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)2 2,058点 (60日まで)

看護職員配置加算 150点 

看護補助者配置加算 150点 

救急・在宅等支援病床初期加算 150点(14日まで)

[施設基準等]

  1. 疾患別リハビリテーション又はがん患者リハビリテーションを届け出ていること
  2. 入院医療管理料は病室単位の評価とし、届出は許可病床200床未満の医療機関で1病棟に限る。
  3. 療養病床については、1病棟に限り届出することができる。
  4. 許可病床200床未満の医療機関にあっては、入院基本料の届出がなく、地域包括ケア病棟入院料のみの届出であっても差し支えない。
  5. 看護配置13対1以上、専従の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士1人以上、専任の在宅復帰支援担当者1人以上
  6. 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度A項目1点以上の患者が10%以上
  7. 以下のいずれかを満たすこと ア) 在宅療養支援病院、イ) 在宅療養後方支援病院(新設・後述)として年3件以上の受入実績、ウ) 二次 救急医療施設、エ) 救急告示病院
  8. データ提出加算の届出を行っていること
  9. リハビリテーションを提供する患者について、1日平均2単位以上提供していること。
  10. 平成26年3月31日に10対1、13対1、15対1入院基本料を届け出ている病院は地域包括ケア病棟入院料を届け出ている期間中、7対1入 院基本料を届け出ることはできない。
  11. 在宅復帰率7割以上 (地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)1のみ)
  12. 1人あたりの居室面積が6.4m²以上である (地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)1のみ) 看護職員配置加算:看護職員が最小必要人数に加えて50対1以上 看護補助者配置加算:看護補助者が25対1以上(原則「みなし補助者」を認めないが、平成27年3月31日までは必要数の5割まで認められる。)
  13. 救急・在宅等支援病床初期加算:他の急性期病棟(自院・他院を問わず)、介護施設、自宅等から入院または転棟してきた患者について算定 

 

地域包括ケア病棟入院料の見直し

  • 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料を含む)の包括範囲から、手術、麻酔に係る費用を除外す る。
  • 500床以上の病床又は集中治療室等を持つ保険医療機関において、地域包括ケア病棟入院料の届出病棟数を1病棟まで(※)とする。
  • 平成28年1月1日現在で地域包括ケア病棟入院料を複数届け出ている保険医療機関は、当該時点で現に届け出ている病棟を維持できる。

 

地域包括ケア病棟の診療科

  • 地域包括ケア病棟について診療科を尋ねたところ、過半数が内科、整形外科と答え、外科、 リハビリテーション科、脳神経外科が続いた。その他の答えは1割以下だった。

 

地域包括ケア病棟における入棟患者の状況

  • 地域包括ケア病棟を有する各医療機関において、地域包括ケア病棟の入棟患者のうち、院内の他病 棟から転棟した患者の占める割合をみると、その割合が90%を超える医療機関が、全体の4割5分を 占める。
  • 7対1病棟の有無別に、地域包括ケア病棟の入棟患者のうち、院内の他病棟から転棟した患者の占 める割合をみると、7対1病棟がある医療機関の方が、7対1病棟を持っていない医療機関に比べ、そ の割合が90%を超える医療機関の割合が多い。

 

疾患(入棟前の居場所別)

  • 地域包括ケア病棟の入棟患者の疾患は、骨折・外傷、肺炎、脳梗塞が多く、この傾向は入棟前の居場 所別にみても同様だった。

 

地域包括ケア病棟における在宅復帰率

  • 地域包括ケア病棟の在宅復帰率は、施設基準の要件となっている70%を大きく上回る医療 機関が多かった。
  • 100%            5%
  • 100%-90% 31%
  • 80%-90%      41%
  • 70%-80%   16%
  • 70%未満         6%

 

退院支援

  • 地域包括ケア病棟の大部分で、専従又は専任の退院支援職員が配置されていた。

 

個別リハビリテーション

  • 地域包括ケア病棟で行われている疾患別リハビリテーションのうち、大部分は脳血管疾患等リハビリ テーションと運動器リハビリテーションであった。
  • 脳血管疾患リハビリテーションの約半数が廃用症候群に対するリハビリテーションだった。

 

課題(案)

 1 医療の提供体制 

届出病床数は増加傾向。開設者別の届出医療機関数の割合をみると、民間が多いが、地域包括ケア病棟入院料1は民間の割合が他の区分と比べ少ない。

 地域包括ケア病棟入院料1を届け出ている医療機関では、一般病棟7対1入院基本料を併せて届け出ている医療機関が多く、その他の区分では、一般病棟10対1入院基本料を併せて届け出ている医療機関が多い。 

地域包括ケア病棟入院料及び地域包括ケア入院医療管理料を新規に届け出た医療機関についてみると、地域包括ケア病棟入院料1を新規に届け出た医療機関では一般病棟7対1入院基本料の病床が減少した医療機関が、その他の区分では一般病棟10対1入院基本料の病床が減少した医療機関が多い。

 地域包括ケア病棟の主な診療科の割合をみると、過半数が内科、整形外科と答え、外科、リハビリテーション科、脳神経外科が続いた。

2 患者の状態と医療内容

 地域包括ケア病棟を有する各医療機関において、地域包括ケア病棟の入棟患者のうち、院内の他病棟から転棟した患者の占める割合をみると、その割合が90%を超える医療機関が、全体の4割5分を占め、7対1病棟がある医療機関の方がその割合が多い。 

入棟患者の疾患別の状況をみると、骨折・外傷、肺炎、脳梗塞の患者が多い。 

年齢階級別の状況をみると、65歳以上の患者が多く、ピークは80~84歳。 ・医療機関ごとの地域包括ケア病棟における1日あたり点数(入院料を除く)の分布をみると、7対1病棟がある医療機関もない医療機関も、500~600点の範囲の医療機関が最も多い。 ・疾患別リハビリテーションの実施状況を見ると、大部分は脳血管疾患等リハビリテーションと運動器リハビリテーションであった。

 

論点

  1. 地域包括ケア病棟については、急性期治療を経過した患者や在宅において療養を行っている患者等を受け入れ、その在宅 復帰支援等を行う機能が想定されている。地域包括ケアシステムの構築を推進する観点から、このような機能に応じた評価 のあり方や、入院している患者の状態や医療の内容等に応じた適切な評価のあり方等について、どのように考えるか。
  2. また、地域包括ケア病棟を届け出る医療機関が持っている別の病棟との組み合わせや、地域によって一般病棟や在宅医療 などの医療資源が異なるといった視点での分析も踏まえつつ、引き続き、議論してはどうか。

 

自宅等からの患者の受入れ

課題

  1. 疾患の状況をみると、入棟前の居場所が「自院の7対1、10対1病床」の群の患者は、その他に比べ、骨折の患者の占める割合が多かった。
  2. 医療的な状態をみると、入棟前の居場所が「自宅等」の群の患者は、その他に比べ、「安定している」という回答の割合が少なかった。
  3. 検査等の実施状況をみると、入棟前の居場所が「自宅等」の群の患者では、その他に比べ、検体検査、生体検 査やCT・MRIといった検査の実施割合が多かった。
  4. 救急・在宅等支援病床初期加算は、急性期病棟からの転院患者及び自宅等から入院した患者等が14日を限 度として算定できるが、算定状況をみると、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料の算定回数のうちの3 6%程度であった。

 

入棟前の居場所別の地域包括ケア病棟(病室)の状況

  • 回答施設のうち、地域包括ケア病棟(病室)を有する医療機関において、地域包括ケア病棟の入棟患 者のうち入棟前場所が「自宅等※」である患者の割合をみると、その割合が「10%未満」の医療機関 が、全体の約35%を占める。

 

地域包括ケア病棟・病室における入棟前の居場所別の入棟中の患者の医療的な状態

  • 入棟前の居場所別に入棟中の患者の医療的な状態をみると、入棟前の居場所が「自宅等」の群の患者は、「自院の7対1、10対1病床」、「他院の7対1,10対1病床」の群に比べ、「安定している」という回答の割合が少ない。

 

地域包括ケア病棟・病室における入棟前の居場所別の検査等の実施状況

  • 入棟前の居場所別の検査等の実施状況をみると、入棟前の居場所が「自宅等」の群の患者は、「自院の 7対1、10対1病床」、「他院の7対1,10対1病床」の群に比べ、検体検査、生体検査を実施した患者の割 合が多い。
  • 入棟前の居場所別の検査等の実施状況をみると、入棟前の居場所が「自宅等」の群の患者は、「自院の7対1、10対1病床」、「他院の7対1,10対1病床」の群に比べ、CT・MRIを実施した患者の割合が多い。

 

地域包括ケア病棟・病室における救急・在宅等支援病床初期加算について

【加算の要件】 

当該病棟又は病室に入院している患者のうち、急性期医療を担う他の保険医療機関の一般病棟から転院した患者、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム等若しくは自宅から入院した患者又は当該 保険医療機関(急性期医療を担う保険医療機関に限る。)の一般病棟から転棟した患者については、転院、入院又は転 棟した日から起算して14日を限度として、1日につき150点を所定点数に加算する。

算定あり 63.0% 算定なし 37.0%

 

在宅医療の提供

課題

  1. 地域包括ケア病棟を有する医療機関の約3割が在宅療養支援病院であった。地域包括ケア病棟を有する病院 で往診・訪問診療を行っている病院、訪問看護部門や訪問看護ステーションを設置している病院は約半数である。
  2. 地域包括ケア病棟を有する病院において、併設する介護サービス事業所の状況をみると、無回答以外では、 「(介護予防)通所リハビリテーション」と回答した病院が最も多い。
  • 地域包括ケア病棟(病室)を有する病院において、在宅療養支援病院は約3割
  • 訪問看護部門を設置している病院のうち、24時間対応及び休日・祝日対応をしている病院は、ともに約45%
  • 地域包括ケア病棟(病室)を有する病院で往診・訪問診療を行っている病院は約半数であり、1病院あたり 3月間で1~49人の患者へ訪問している病院が約2割である。
  • 地域包括ケア病棟を有する病院において、併設する介護サービス事業所の状況をみると、無回答以外では、「(介護予防)通 所リハビリテーション」と回答した病院が最も多い。

 

論点

  1. 自宅等から受け入れた患者と、それ以外からの受け入れた患者とで、提供する医療内容等が異なっている ことから、 「救急・在宅等支援病床初期加算」について、急性期後の入院患者と、在宅からの入院患者とで、 診療実績等を踏まえつつ、評価を区別してはどうか。
  2. 地域包括ケア病棟入院料・治療管理料の届出要件において、在宅医療や救急医療の提供等が求められて いるが、地域包括ケアシステムの構築を推進する観点から、訪問系サービスの提供についても、要件の選択 肢の一つとすることを検討してはどうか。
  3. 在宅医療、介護サービス等の地域で求められる多様な役割・機能を有する地域包括ケア病棟を持つ医療機 関については、地域包括ケアシステムの構築により貢献できるよう、それらのサービスに係る実績等も加味した評価を検討してはどうか。