2021年改定では、この内容について生活相談員の仕事として明確化した。

報道関係者各位

  1. 「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改訂について

標記について、「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」での検討を踏まえ、本日、改訂いたしましたので、お知らせします。

【主な改訂のポイント】

高齢多死社会の進展に伴い、地域包括ケアの構築に対応する必要があることや、英米諸国を中心としてACP(アドバンス・ケア・プランニング)の概念を踏まえた研究・取組が普及してきていることなどを踏まえ、以下の点について改訂を行った。

1 病院における延命治療への対応を想定した内容だけではなく、在宅医療・介護の現場で活用できるよう、次のような見直しを実施

   ・ 「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に名称を変更

  ・ 医療・ケアチームの対象に介護従事者が含まれることを明確化
   2 心身の状態の変化等に応じて、本人の意思は変化しうるものであり、医療・ケアの方針や、どのような生き方を望むか等を、日頃から繰り返し話し合うこと(=ACPの取組)の重要性を強調
 3 本人が自らの意思を伝えられない状態になる前に、本人の意思を推定する者について、家族等の信頼できる者を前もって定めておくことの重要性を記載
 4 今後、単身世帯が増えることを踏まえ、「3」の信頼できる者の対象を、家族から家族等 (親しい友人等)に拡大

   5 繰り返し話し合った内容をその都度文書にまとめておき、本人、家族等と医療・ケアチームで共有することの重要性について記載

 

    【ガイドライン作成の経緯】

 平成19年にとりまとめた「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」は、平成18年3月に富山県射水市における人工呼吸器取り外し事件が報道されたことを契機として、策定されたもの(※)。

 人生の最終段階における医療の在り方に関し、

・ 医師等の医療従事者から適切な情報提供と説明がなされ、それに基づいて患者が医療従事者と話し合いを行った上で、患者本人による決定を基本とすること

・ 人生の最終段階における医療及びケアの方針を決定する際には、医師の独断ではなく、医療・ケアチームによって慎重に判断することなどが盛り込まれている。

※平成27年3月に「人生の最終段階の決定プロセスに関するガイドライン」に名称変更

 

 

「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」

1 人生の最終段階における医療・ケアの在り方

⑴ 医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて 医療・ケアを受ける本人が多専門職種の医療・介護従事者から構成される医療・ ケアチームと十分な話し合いを行い、本人による意思決定を基本としたうえで、 人生の最終段階における医療・ケアを進めることが最も重要な原則である。

また、本人の意思は変化しうるものであることを踏まえ、本人が自らの意思を その都度示し、伝えられるような支援が医療・ケアチームにより行われ、本人と の話し合いが繰り返し行われることが重要である。

さらに、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、 家族等の信頼できる者も含めて、本人との話し合いが繰り返し行われることが重要である。この話し合いに先立ち、本人は特定の家族等を自らの意思を推定する者として前もって定めておくことも重要である。

⑵ 人生の最終段階における医療・ケアについて、医療・ケア行為の開始・不開始、 医療・ケア内容の変更、医療・ケア行為の中止等は、医療・ケアチームによっ て、医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断すべきである。

⑶ 医療・ケアチームにより、可能な限り疼痛やその他の不快な症状を十分に緩和し、本人・家族等の精神的・社会的な援助も含めた総合的な医療・ケアを行うことが必要である。

⑷ 生命を短縮させる意図をもつ積極的安楽死は、本ガイドラインでは対象としない。

 

2 人生の最終段階における医療・ケアの方針の決定手続

人生の最終段階における医療・ケアの方針決定は次によるものとする。

(1)本人の意思の確認ができる場合

① 方針の決定は、本人の状態に応じた専門的な医学的検討を経て、医師等の医 療従事者から適切な情報の提供と説明がなされることが必要である。

そのうえで、本人と医療・ケアチームとの合意形成に向けた十分な話し合い を踏まえた本人による意思決定を基本とし、多専門職種から構成される医療・ ケアチームとして方針の決定を行う。

② 時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて本人の意思が 変化しうるものであることから、医療・ケアチームにより、適切な情報の提供 と説明がなされ、本人が自らの意思をその都度示し、伝えることができるよう な支援が行われることが必要である。この際、本人が自らの意思を伝えられな い状態になる可能性があることから、家族等も含めて話し合いが繰り返し行わ れることも必要である。

③ このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、文書にまとめておくものとする。

(2)本人の意思の確認ができない場合 本人の意思確認ができない場合には、次のような手順により、医療・ケアチームの中で慎重な判断を行う必要がある。

① 家族等が本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、本人に とっての最善の方針をとることを基本とする。

② 家族等が本人の意思を推定できない場合には、本人にとって何が最善であるかについて、本人に代わる者として家族等と十分に話し合い、本人にとっての 最善の方針をとることを基本とする。時間の経過、心身の状態の変化、医学的 評価の変更等に応じて、このプロセスを繰り返し行う。

③ 家族等がいない場合及び家族等が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には、 本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。

④ このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、文書にまとめておくものとする。

(3)複数の専門家からなる話し合いの場の設置 上記(1)及び(2)の場合において、方針の決定に際し、

・医療・ケアチームの中で心身の状態等により医療・ケアの内容の決定が困難な場合

・本人と医療・ケアチームとの話し合いの中で、妥当で適切な医療・ケアの内容についての合意が得られない場合

・家族等の中で意見がまとまらない場合や、医療・ケアチームとの話し合いの中で、妥当で適切な医療・ケアの内容についての合意が得られない場合

等については、複数の専門家からなる話し合いの場を別途設置し、医療・ケアチ ーム以外の者を加えて、方針等についての検討及び助言を行うことが必要である。