HMSエリートのみなさん、「平成 30 年度診療報酬改定に向けた議論(第1ラウンド)の概要」です。来月までに読み込んでおいてくださいね。

平成 30 年度診療報酬改定に向けた議論(第1ラウンド)の概要

 

平成 30 年度診療報酬改定に向けた検討の第1ラウンドとして、中医協総会に おいて、入院医療、外来医療、在宅医療、横断的事項(その1:かかりつけ医機能)(その2:事務の効率化・合 理化及び情報の利活用)、歯科医療、調剤報酬について議論を行った。

今後、第2ラウンドの検討を進めるにあたり、これまでの主な議論とその論点の概要を、以下に整理した。

 

1 はじめに

(基本認識の共有)
平成 30年度の診療報酬改定に向けた検討にあたり、医療と介護を取り巻く現状と課題等について基本認識を共有するとともに、診療報酬が、医療と介護の提供体制の確保に多大な影響を及ぼす仕組みであることから、特に以下の2 つの点に留意して検討を進めることを確認した。

1 2025 年には、いわゆる団塊の世代が75歳以上となることから、医療・介 護ニーズが増大かつ多様化する一方で、その支え手である労働人口は減少し ていくことが予想されており、限られた医療資源に配慮しつつ、それらのニーズへの対応体制構築のためには、医療・介護の現場におけるサービス提供体制をより効果的・効率的なものに転換していく必要があること。そして、2018 年度の次の同時改定が2024年度となることを踏まえれば、2018年(平成 30 年)度の同時改定が極めて重要な意味を持つものであること。

2 医療・介護ニーズの変化(2025年に向けた急増加、その後、横ばいから減少)とともに、今後の生産年齢人口が減少していくというトレンドを考慮すれ ば、医療と介護のサービス提供体制の確保にあたっては、2025年から先の将来をも見据えた需要と支え手の変化にも対応可能なサービス提供体制を確保することが求められること。

 

(医療と介護の同時改定)
さらに、平成 30年度の診療報酬改定は介護報酬との同時改定となることから、医療と介護の連携の中で特に重要と考えられる以下の検討項目について、介護給付費分科会の委員との意見交換を行い、その概要を中医協総会に報告した。

1)  看取り ・「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を踏まえた対応 ・居宅、介護施設、医療機関等における看取りと医療・介護サービスの在り方 ・要介護被保険者等の状態やニーズに応じた、医療・介護サービスの供給の範囲

2)  訪問看護 ・医療機関から在宅への円滑な移行支援に係る訪問看護の提供体制 ・在宅での療養生活を送るための訪問看護の 24 時間対応や急変時対応 ・訪問看護における医療職と介護職との連携

3)  リハビリテーション ・医療と介護による継続的なリハビリテーションの提供の在り方 ・リハビリテーションにおける医師の指示や実施計画等の在り方

4)  関係者・関係機関間の連携・調整 ・入退院時、日常療養時及び急変時等における、医療機関と居宅介護支援事業所等の医療・介護を含めたサービス提供者間の連携の在り方

 

(総論)
入院医療のニーズは、65歳以上の入院患者が70%を超えており、高齢者向けの医療ニーズが高まる事が予想される。一方で医療介護の支え手の減少が見込まれている。
医療提供体制について、開設者別に提供されている医療機能をみると、国公立と医療法人立とでは、状況が異なる。公・民の適切な役割分担の下、地域において必要な医療提供体制を確保することが求められている。

支え手の減少などが見込まれる中で、限られた医療資源に配慮しつつ、より質の高い入院医療を提供でき、医療ニーズの変化にも対応しうるような 効果的・効率的なサービス提供のあり方、地域において求められる医療機 能や患者の状態に応じた入院医療の提供体制の推進の視点で議論した。

 

2.各検討項目の主な議論と論点

(1)入院医療

 

(一般病棟入院基本料) 

 一般病棟入院基本料は、7対1~15対1まで看護配置で4つに区分されており、届出病床数は7対1一般病棟入院基本料が最も多い。7対1一般病棟は、その他の区分に比べ、国公立の割合が多く、65歳未満の患者の割合が多 い。疾病別でみると、7対1一般病棟は、悪性腫瘍等の入院患者の割合が最も多いが、その他の区分では、骨折や肺炎等の入院患者の割合の方が多い。

平均在院日数、重症度、医療・看護必要度、効率性指数、複雑性指数の評 価軸の状況について、7対1一般病棟と 10 対1一般病棟とを比較すると、全体にバラついているが、10 対1一般病棟の中にも7対1一般病棟相当の基準を満たす病棟が多数存在している。

入院基本料は、入院診療に係る基本的な療養に係る費用(環境、看護師等の確保、医学管理の確保等)を評価するものであるが、現行の一般病棟入 院基本料は、主に看護配置等の要件で段階的に設定されている。入院医療については、医療機関によって様々であり、さらに詳細な分析を行い、現行の評価との整合性も考慮する視点で議論した。

 

(医療機関間の連携)
地域における医療提供体制の確保にあたっては、限られた医療資源を有効活用する等の観点から、医療機関間の機能分化・連携が重要である。

地域において医療提供体制の確保を進めるため、異なる機能を担う複数の 医療機関がそれぞれの役割を維持しつつ、医療機関間の機能分化・連携を 進めやすくするような評価の視点で議論した。

 

(地域包括ケア病棟入院料)

  • 地域包括ケア病棟入院料の届出病床数は、改定前後の1年間の動向をみると、7対1一般病棟からの移行が多い。

  • 入院患者をみると、一般病棟からの受入患者がほとんどである病棟が多いが、自宅等から患者を受け入れている病棟も一定程度存在しており、主な機能が 異なる可能性がある。

  • 地域包括ケア病棟については、急性期治療を経過した患者や在宅において療養を行っている患者等を受け入れ、その在宅復帰支援等を行う機能が想 定されている。地域包括ケアシステムの構築を推進する観点から、各病棟 の主な機能や、入院患者の状態や医療の内容等に応じた適切な評価の視点 で議論した。 また、地域包括ケア病棟を届け出る医療機関が持っている別の病棟との組み合わせや、地域によって一般病棟や在宅医療などの医療資源が異なると いった視点での分析について議論した。

(回復期リハビリテーション病棟入院料)
回復期リハビリテーション病棟入院料の届出病床数については、増加傾向。

リハビリテーションの提供量は入院料の区分別にみると、患者の状態、年齢、 日常生活動作の改善度や在宅復帰率の状況は様々である。

回復期リハビリテーション病棟は、主に ADL 向上による寝たきりの防止 と在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に行うための病棟であるが、効果的なリハビリテーションが提供できるよう、

・ できるだけ早期から集中的なリハビリテーションの実施を推進するような評価、

・ リハビリテーションの提供量だけでなく、アウトカムにも着目した評価の視点で議論した。

 

(療養病棟入院基本料)
療養病棟入院基本料の届出病床数は横ばいだが、療養1の割合が増えている。

医療区分2・3該当患者割合は療養1では増加傾向。
療養2の医療区分2・3該当患者割合の分布はばらついているが、療養2のうち、減算規定に係る届出病床数の割合は、約3割程度であった。

療養病棟については、今後の患者の増加や医療ニーズの高度化が見込まれる中で、必要な医療が提供できる体制を確保できるよう、療養病棟入院基本料2を含め、療養病棟の入院患者の状態に応じた適切な 入院医療の評価のあり方等については、今後まとまる調査結果やその分析 について議論した。
・ 療養病棟における高齢者の機能維持に係るリハビリテーションや退院支援の推進
・ 在宅医療を担う診療所と連携し、患者や家族の意思を尊重した看取りを支援する機能の確保 に資する視点で議論した。

 

(認知症治療病棟入院料)
認知症治療病棟入院料のうち入院料1はゆるやかに増加傾向にある。また、老人性認知料疾患療養病棟の患者の状態についてみると、BPSD や身体合併 症など一定程度医療ニーズのある患者が存在している。

今後、高齢者の増加が見込まれる中で、限られた医療資源を有効活用し、 より効果的・効率的な認知症の入院医療を提供できるよう、
・ BPSD (認知症に伴う行動・心理症状)や身体合併症を有する認知症 患者への対応のあり方

・ 入院日数等の実態を踏まえた、入退院支援のあり方 ・ 介護サービスとの円滑な連携の推進といった視点で議論した。

 

 (2) 在宅医療

(総論)
訪問診療、訪問看護、歯科訪問診療、訪問薬学管理といった在宅医療のニーズは増加している。また、高齢化が進む中で、こうした在宅医療と介護サー ビスとの連携が重要であり、地域包括ケアシステムの構築の推進が必要とな っている。

在宅医療の質と量はもとより、効率性も確保しつつ、多様化する患者のニ ーズに応えることができるような新たなサービス提供のあり方や、地域の 状況、個々の患者の状態、医療内容、住まい・住まい方等を踏まえた視点 で議論した。

(訪問診療)
訪問診療の提供量は増加している一方で、在宅医療のニーズは多様化しており、異なる診療科の複数の医師による訪問ニーズ、介護サービスとの円滑 な連携といった観点での在宅医療提供体制の構築が課題となっている。

在宅医療におけるニーズの増加や、看取りを含めた課題の多様化を踏まえ、 それぞれの地域において限られた医療資源も考慮した在宅医療を確保・推進するため、

・ 在支診以外を含めたかかりつけ医による在宅医療提供体制
・ かかりつけ医の夜間・時間外の負担軽減に資する、地域の医療機関の連携による救急応需体制
・ かかりつけ医機能を補完するため、複数の診療科の医師が協働して行う訪問診療
・ 患者の状態や診療内容、居住形態に応じた効果的・効率的なサービス提供 に資する視点で議論した。

 

(3)外来医療

外来患者数は増加しており、高血圧、糖尿病、高脂血症といった生活習慣 病の占める患者の割合が多い(約3割強)。

受診間隔は徐々に長くなる中で、より効果的・効率的な服薬管理などの医 学管理が必要となっている。

外来医療費は増加している。伸びの内訳をみると、薬剤及び調剤に係る費 用が、他の区分に比べ、伸び率が高い。

地域包括ケアシステム推進のための取組の強化として、かかりつけ医や主 治医機能の評価、向精神薬の適切な処方の推進、紹介状なしの大病院受診時 の定額負担の導入等の評価を行っている。

近年、画像転送による診断や在宅における療養指導・助言に加え、慢性疾 患の重症化予防や健康指導・管理といった多様なサービス提供モデルが検討 されており、対面診療の原則の上で、適切に組み合わせて ICT を活用するこ とで、かかりつけ医による日常的な健康指導や疾病管理の向上が期待される ことから、その実用化に向けた取り組みが行われている。

外来医療のニーズの変化や多様性も踏まえ、より効果的・効率的に質の高 い適切な外来医療が提供できるよう、外来患者の特性や病態に応じた評価 や、ICT 技術を活用した新たなサービス提供に資する視点で議論した。

(重症化予防)
生活習慣病は増加、効果的な医学管理、特定健診などの予防事業が行われているが、重症化予防の観点からは医療機関の関与が重要。
重症化予防に係る取組事例をみると、糖尿病の重症化リスクの高い通院患者に対して、電話等による受診勧奨やかかりつけ医と腎臓専門医とで診療支 援システムを活用した医学管理等の積極的な介入を行うことで、腎機能の低 下を有意に遅くする等の有効性が示されている。

今後、生活習慣病の増加が見込まれるとともに、より質の高い医学管理や 効果的・効率的な重症化予防の取り組みが求められる中で、

・かかりつけ医機能と専門医療機関等との連携の推進や、

・かかりつけ医を中心とした多職種との連携による効果的・効率的な医学管理等の推進、 ・医療機関と保険者・自治体等の予防事業との情報共有の推進、 に資する視点で議論した。

 

(4)横断的事項

(かかりつけ医機能)
かかりつけ医機能が求められているが、一方で、かかりつけ医機能の一部として考えられている、在宅療養支援、疾病や服薬の一元管理などについて、

医療機関側の負担にもなっている。
複数の医師・医療機関等による体制構築、多職種による連携、かかりつけ医と専門医療機関等の連携に関する事例をみると、患者・家族や関係する施 設間等で、ICT 等を様々な場面で活用できるようにすることで、効果的・効 率的なサービス提供に向けた取組がなされている。

今後、医療介護ニーズが増加する一方で支え手の減少が見込まれ、より質が高く効果的・効率的な医療の提供が求められる中で、

1)より質の高い医学管理の提供や重篤な合併症の予防を推進し、

2)専門医療機関等との機能分化・連携により、早期の対応等を可能とし、

3)高齢になり要介護状態になったとしても、安心して地域で療養できる ような地域包括ケアシステムを構築すること、等が可能となるよう、より多くの患者がかかりつけ医機能のもと、安心して 療養でき、また、かかりつけ医の負担軽減にも資するような、医療提供体制 の構築に資する視点で議論した。

(診療報酬に係る事務の効率化・合理化及び診療報酬の情報の利活用等を見据 えた対応)
診療報酬の項目は医科報酬だけでも約5000項目を超えており、近年増加傾向となっている。その算定にあたっては、保険医療機関は様々な報告・届出 を行なわなければならず、そのための事務手続き等は一定の負担となってい る。

一方で、レセプト情報をはじめとする診療報酬に関するデータは、医療の 質の向上に資する研究等への利活用の推進が求められている。

保険医療機関の負担軽減や社会保険診療報酬支払基金の業務の効率 化・高度化の観点、診療報酬に係る情報の利活用を推進する観点から、今 後、診療報酬の届出・報告等の簡略化等の診療報酬に係る事務の効率化・ 合理化及び、診療報酬に関するデータの利活用の推進について、平成 30 年度改定で対応する内容とそれ以後も順次対応していくべき内容とに区 分しながら、秋頃を目途に、具体的な検討を進める。その際、最終的にど の程度可能か、定量的な目標値を定めて取り組んでいくことも検討する。

なお、平成 32 年度には、社会保険診療報酬支払基金のシステム刷新が 予定されていることから、こうした動きと連動して対応を検討する。

 

(5)歯科医療

(総論)
歯科診療所の患者数は増加傾向にあり、特に75歳以上の患者の増加が著しい。歯科疾患では、う蝕症は減少傾向にある一方で慢性歯周炎の患者は増加

している。
「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」においては、当該施設基準を満たしていない歯科診療所よりも在宅医療を担う医療機関や介護施設等と 連携している割合が高い。また、周術期口腔機能管理や NST での医科歯科 連携は、歯科標榜がある病院を中心に行われている。

また、70歳以上の高齢者の約4割において、咀嚼機能等の口腔機能の低下がみられる。

地域包括ケアシステムの構築を推進するうえで、かかりつけ歯科医機能や チーム医療の推進等の観点から医科歯科連携等の視点で議論した。 患者にとって安全で安心でき、より質の高い適切な歯科医療を提供できる よう、患者像の変化や多様性も踏まえ、口腔機能の評価・管理や、口腔疾 患の重症化予防や生活の質に配慮した歯科医療の提供のあり方等の視点 で議論した。

 

(6)調剤報酬

(総論)
保険薬局の中には、特定の保険医療機関からの処方せんを集中して受け付けること等により、患者が求める機能を十分に果たしていない薬局があるとの指摘がある。
地域包括ケアシステムのチームの一員として、かかりつけ薬剤師が専門性を発揮して、服薬状況を一元的かつ継続的に把握し、薬学的管理・指導を実 施する体制の構築に取り組む必要がある。

患者本位の医薬分業を実現するために、前回の診療報酬改定の影響を検証 した上で、累次にわたる調剤報酬の抜本的見直しを継続するべく、薬局の 機能に応じた評価のあり方等の視点で議論した。

 

 

 
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本間 秀司

本間 秀司代表取締役社長

講師プロフィール

外資系コンサルティング会社の日本のエグゼクティブシニアセールスマネージャーを15年。日本の大手税理士法人マーケティング部統括部長(関係会社社長兼務)を4年。ウェルフェアー・J・ユナイテッド株式会社代表取締役。

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