以下、2040年を見据え、社会福祉法人の生き残りを賭けた、主戦場の様子が目に浮かぶような気がしますね。
「2040年多元的社会」(地域包括ケア研究会報告書)より
地域での生活を継続するためには、「生活全体を支える地域の仕組み」として介護や医療だけでなく、住まい、生活支援等が、社会保険制度に限定されず、様々な資源の組み合わせで一体的に提供される必要がある。これまで、介護保険制度では、そうした一体的なケアを実現するための中核的・基盤的サービスとして「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」や「小規模多機能型居宅介護」「看護小規模多機能型居宅介護」を開発してきた(ここでは、これらを「包括報酬型」在宅サービスと呼ぶ)。
2040年に向けては、これら「包括報酬型」在宅サービスの機能と役割をさらに拡充するとともに、これらのサービスを活用しながら、どのように利用者が地域とのつながりを継続させていくかといった視点が重要になる。
「包括報酬型」在宅サービスとしては、2006年に小規模多機能型居宅介護が、2012年に複合型サービス及び定期巡回・随時対応型訪問介護看護が創設された。実態としての利用者像は、事業者によっても異なるものの、おおむね小規模多機能型居宅介護では認知症の人、看護小規模多機能型居宅介護では医療ニーズの高い利用者、また定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、単身生活者の利用が多いといった特徴がみられる。
しかしながら、サービス利用者の心身状態は、特に後期高齢者では変化を伴うものが一般的であり、事業者は常に一定の状態像の利用者だけを支えているわけではない。むしろ、心身状態の変化に柔軟に対応しながら可能な限り人生の最終段階まで支えるのが一般的である。包括報酬の採用により、小規模多機能型居宅介護では、利用者の状態にあわせて、定期巡回・随時対応型訪問介護看護のような形態で訪問サービスを提供することも可能だ。つまり、既存の定期巡回・随時対応型訪問介護看護でも、小規模多機能型居宅介護でも、看護小規模多機能型居宅介護でも、「柔軟な対応ができ、多様な心身状態に対応できるサービス群」である点では、共通している。
むしろ、心身状態が変化する利用者への包括的・一体的なケアの提供のため、同一地域でサービスを提供するのであれば、これらの「包括報酬型」在宅サービスのメニュー間の垣根を取り払い、特定の事業者が多様なメニューを適宜使い分けながら地域を担当するといった方式も検討していくべきであろう。こうした柔軟なサービス提供の切り替えが可能になれば、事業者も、職員配置の状況によってケア提供の方法を柔軟に変更することも可能になり、経営の安定に資するであろう。