彼は、成田空港にいた。
6人のパーティー。一人はすでにラウンジにいる。カウンターの前で待ち合わせをしていたので、順次人が集まり、笑顔で挨拶を。「いや、どうも、よろしくおねがいします。」
みんなでチェックインに。
すると、カウンターの職員から「あのー、S様、アメリカの入国ビザが発行されていないのでが、、、、」
「えっ、、確認していたのですが、、、」
凍りつくパーティー、本人は呆然。消え去るような声で「そうですか、、、、」
旅行のエスコート役のNさんは、みるみる顔が能面になり、元気で赤い顔から血の気が引いて行く。
カウンターの職員は、「間に合うかどうかは分かりませんが、申請してみてはいかがでしょうか?」
この一言から、パーティーは、戦場の様相で。
米国に入国するには、エスタを事前に申請する必要があり、承認されてはじめて飛行機に乗れるのです。
エスタの申請は、申請してから、だいたい24時間から36時間が普通で、最長72時間なのです。
彼らが乗る飛行機は、2時間半後には飛行場を飛び立つのです。
「まれに、すぐに申請が承認されることはあります。期待はできないかもしれませんが。」カウンターからは冷静な声。
「ダメかもしれないが、やりましょう。」とNさんが真剣にPCを操作。
Sさんは、成田でお見送りになった後のことを考えながらも祈る想いでNさんの様子を見守ります。
「とりあえず、申請は済みました。」と冷静に話すNさん。
「申し訳ありませんでした。」と丁寧にお礼を言うSさん。
ほぼ絶望の中、10分、20分、30分、時間は無情に刻まれて行く。
「S様、申請がおりました!」と、一段と甲高い声がカウンターから。
運は強い意志を好む。「特別編」でした。
フィクションかノンフィクションかは、聞かぬが礼儀という事でしょうか。
仕事をする上で、大事なことです「運は強い意志を好む。」。
あそこで、諦めたり、ひるんだりしていたら、この奇跡は無かったことでしょう。
私は、このブログで、変化は常。変化することを恐れない。と書きますが、「運は強い意志を好む。」も大事な言葉だと思っています。
だから、ノンフィクションかって? それは、聞かぬが花ですよ。