全国で、この議論が行われ、厳しい結論になりますね。

鳥取県日南町は、日南病院(99床)の建て替え計画について、いったん中止する方針。顕著な人口減少などを踏まえ、「日野郡全体の視点が不可欠」と判断。日野、江府両町と県で設立する任意組織の初会合を23日に開くなど、3町での医療体制の将来を協議して建設計画をまとめる。

日南病院は、1962年に開院。鉄筋5階建ての本館は築50年以上で耐用年数を超えるなど老朽化が進む。日南町の諮問機関「日南病院あり方検討委員会」は昨年3月、建て替えを前提に基本構想を答申。町は議論を重ねて今秋にも、規模などを盛り込んだ基本計画を策定する予定だった。

ところが9月19日の町議会特別委員会で、中村英明町長が「延期」を表明した。主な理由として、〈1〉人口減少を前提にした日野郡全体の医療体制という視点が必要〈2〉地域医療のあり方が変わる過渡期にあり、国の動きを注視する必要がある〈3〉高騰する建設費の町財政への影響――を挙げた。

町が着目したのは国立社会保障・人口問題研究所が2023年末に発表した日野郡3町の将来推計人口だ。 50年の総人口は、20年比で半数以下の約4170人に落ち込むと見込まれる。そのため、医療需要を考えると、日野病院(日野町、99床)と江尾診療所(江府町)との調整は避けて通れないと判断。町によると、その認識は3町長だけでなく、病院と診療所の関係者の間で共有されるようになったという。こうした状況を背景に、日南町は庁内議論をいったん中止し、日野、江府両町と県に協議の場を打診。国の医療政策の動向などを踏まえながら、各医療機関の役割分担などを議論する。

日南病院の建設計画については、27年度中に改めて判断するという。一方、今後の物価高騰などを考慮して、来年度以降、建設財源の積み立てを始める方針だ。町長は「建設費の高騰、国の医療政策の変化、広域医療体制の構築を巡る不確実な情勢と課題は山積し、今回の『延期』は容易なものではなかった。町の医療を次の世代へと確実につなぐため、最善の選択だと確信している」とコメントしている。