参考までに。

医療用肥満症治療剤に注目が集まっている。

これまで肥満症の治療に使える医療用医薬品は漢方製剤と食欲抑制剤1剤だけ。かつ、食欲抑制剤は依存性の懸念から処方が厳しく制限され、治療を受けられる患者も限定的。そのため医療用肥満症治療剤の市場は長年停滞が続いた。

こうした中、新たに受容体作動薬が登場した。2024年2月に2型糖尿病に対する治療薬であるGLP-1受容体作動薬「ウゴービ」(ノボノルディスク)が肥満治療剤として日本で初めて発売された。血糖値に応じてインスリン分泌を促進し、血糖を下げる。25年4月にはGIP/GLP-1受容体作動薬である「ゼップバウンド」(田辺三菱製薬)が登場した。こちらはGLP-1作用に加え、肥満細胞に働きかけてエネルギー代謝を促進させる。

「ウゴービ」は既に減量効果が注目されていた糖尿病治療剤「リベルサス」や「オゼンピック」(いずれもノボノルディスク)と同じ成分を含むことで発売当初から期待値は高く、世界的に需要が急増したため、一時は日本でも供給が追いつかない状況となった。

「ゼップバウンド」は糖尿病治療剤「マンジャロ」(田辺三菱製薬)と同一の有効成分を持つ医薬品で、「ウゴービ」と並ぶ期待の新製品だ。発売後1年間は1回の処方が最大2週間分までと制限されているため日本では初年度の売り上げは抑え気味だが、グローバルでは「マンジャロ」と共に高い成長率で売り上げを伸ばした。

25年の市場規模は前年比3.7倍の27億4000万円まで拡大した。受容体作動薬が全体の8割を占め、完全に市場をけん引している。海外では注射剤から飲み薬タイプへのステップが加速中だ。25年12月には米ノボノルディスクが「ウゴービ」の飲み薬タイプで米食品医薬品局(FDA)の承認を取得した。26年4月には「ゼップバウンド」を展開する米イーライ・リリー・アンド・カンパニーも飲み薬タイプの肥満症治療剤「Foundayo」で米FDAから承認を取得。日本で飲み薬タイプの肥満症治療剤が発売されれば、市場はさらに活気づくだろう。 

懸念点もある。美容医療などの自由診療の現場では、糖尿病治療剤が、肥満治療目的で相当数処方されているのが実態だ。特に近年発売された一部の糖尿病治療剤は発売当初から「メディカルダイエット」の名目で話題を集め、オンラインを含めた自由診療やインターネットを通じた個人輸入などにより、糖尿病治療以外の目的で幅広く使用されている。

厚生労働省や日本糖尿病学会は副作用の危険性などから、適応以外の使用に対して強く警告を発している。こうした背景もあり、「ウゴービ」と「ゼップバウンド」は発売の段階から極めて厳格な管理体制が敷かれた。適正使用ガイドラインの順守が徹底され、一定条件をクリアした医療施設でしか処方できない仕組みとなっている。

現在、肥満症治療剤は糖尿病治療剤の適応外使用の話題が先行しており、医療保険の適用を受けた薬剤としての認知度は低い。しかし、30年以降には現在の注射剤2剤に加えて、飲み薬タイプの発売や新規参入企業の登場が見込まれる。医療機関における適正使用の推進と患者の掘り起こしが本格化すれば、40年の市場は25年比17倍の466億円に拡大すると予測される。 

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