昨日、お会いした会計士さんへ

病院では、こういうやりとりをすることがあります。参考になれば幸いです。

ご活躍、期待しています。

 

(2016年10月のブログから)

本間:「先生、お忙しいところありがとうございます。」ドクター:「はいはい。」

本間:「この報告書をO月OO日にご提出しております。院長先生は先生以外のドクターには全部読ませたようです。しかし、先生には言い切れなかったようです。先生の人生を否定することになるのではないか、と気にされて。OO院長はお優しいので。なので、先生にお読みいただき、本間がご説明させていただくために来ました。」

ドクター:「へえー、みんな(ドクター)読んだんだな。」本間「はい。」

(報告書を読み始める。途中まで行って、読むのをやめる。)(たぶん、全部読むのはきついと思います。)

 

ドクター:「私はいろいろ事務長に言ったんだ。ちゃんと案をだせと。でも、全くでてこなかったんだ。あなたは知っているか、私は患者も一番診ているし、みんな(他のドクター)が診たがらない患者もみているんだよ。(あなたは知っているのか?)」

本間:「先生、私はこれを仕事としてやっいます。先生が誰よりの患者さんを診ていることは知っています。また、事務長が何もしない人だということも調べました。病院経営は院長と事務長が車の両輪で、その片方がポンコツだったことは理解しているつもりです。」

(やりとり)

本間:「先生、残念ながら先生は戦略上のミスをしたんです。戦略上のミスは、どんなに現場が頑張っても戦闘段階ではとりもどせないんです。戦略上のミスは戦術・戦闘ではいかんともしがたい。時代が悪かったといえばそれまでですが、もっとも大事なO年間に何もしなかったのは致命的です、先生。このことは何をおっしゃっても説明がつきません。」「ここは2014年改定に対応しなかったことです。在宅復帰率が課せられた中では、ここに紹介はしない。もう入院が増えることはない。紹介があるにしても難しい患者さんしか紹介が来ない。受け入れた場合は現場が苦労するばかりです。」

ドクター:「医者としては合格でも経営者としては落第だということだろう。今日、来るっていうから、尋問されるんだとは思っていたけどさ。

本間:「先生、私はこの仕事をしていて、大きな声をだしたり詰問するような仕事をしたことはありません。ご理解いただくまで何時間かけてでもお話しをしています。」

ドクター:「ドクターはどうするんだ、働かないドクターたちは?

本間:「本間がお一人ずつお話しします。現状調査の時にインタビュー時は「私がここにいるのは先生の働き方を変えていただくためです。」とお話ししています。」ドクター:「みんな何て言った?」本間:「しょうがいないですね。って言いましたよ。」ドクター:「、、、、」

ドクター:「みんなが全員やめたらどうするんだ?」

本間:「先生、ここのドクターは一度に全員抜けません。ましてやここの県で辞めると次は大変です。それは、先生もお分かりのはずです。時代も制度も変わっています。」

(やりとり)

本間:「先生、お分かりいただきたいのは、この病院には時間がないのです。先生が県から、ここの病院の病床を返して欲しいと言われたんですよね?」

ドクター:「県からは潰れちゃった方がいいんじゃないかって言われたので、むっとしたんだ。」「でも、あれだろう、県にそんな権限ないじゃないか。」

本間:「先生、昨年できた法律(医療・介護総合確保法)で、県の権限に移ったんですよ。(えっ、しらなかったんですか?)」「先生、『さあ、どうしようか?』なんて言っている時間がないんです、ここは。2019年の第7期医療計画にここの病院の病床が入っていないといけないんです。医療計画が立てられるのは2018年。実績を積まなければいけいのは2017年。今年は2016年です。今年中に方針を決めないと消されます。明日から始めないといけないんです。ここは。3月までに明確な方針と戦略を立てます。

(やりとり)

ドクター:「そんなに甘くないだろう、どうするの?」

本間:「ここの病院で売上げが劇的に上がることなどありません。まずは、収入にあった支出に変えます。その上で報告書にお書きした方法で出口戦略を行います。職員一丸となれば、必ず生き残れます。ここには生き残れる条件があります。」

ドクター:「県にはどう話をするんだ。」

本間:「ここには、OOOOとOOOOで強さがあります。ここを県にアピールしながら、OOOOに軸足を移します。それを持って交渉します。私はいけると思っています。」「OO日にみなさんに集まっていただき、お話しをします。こんな状況でも出口戦略はある。これは、私が職業人として責任を持ってお伝えします。「ここは生き残れます。しかし、何もしなければ無くなります。もう、小田原評定している時間はないのです。」「だから、ドクターの給与と働き方を変えていただくこと。」

ドクター:「今の院長は優しいから言えないぞ。」

本間:「だから、私が悪者役をやって、みなさんをその方向に向かわせます。大丈夫です。ドクターも私が一人ひとりお話しをします。」

ドクター:「分かった。」

本間:「OO日は、目的は、① 2019年の医療計画にこの病院をいれてもらうこと、② 地域包括ケアの体制をとること、③ そのためにドクターを始め働き方を変えていただくこと、④ 管理会計を行って経営指標を立ててその中で仕事をしてもらうことです。」「必ず行っていただきます。それが私の仕事です。」

 

話は1時間10分。このためだけに飛行機に乗って行き、また、飛行機に乗って帰りました。今日は、威嚇もされなかったし、机をたたかれることもありませんでした。ドクターって、人一倍プライドが高いのですが、頭もいいので、理屈には従順なんです。優秀であれば優秀であるほど。

ここの病院にはお金がないので、ご提案しているコンサルティング内容とコンサルティング料は合いません。しかし、法人内でにきる人がいない以上、やらないわけには行きません。新院長が一生懸命なのでお引き受けしています。そうじゃなければお休みに行きません。

戦略上の失敗は、戦術と戦闘段階ではどんなに頑張っても補うことはできません。戦略を立案するのは本部・経営企画室の仕事であり、決断は経営者の仕事です。経営者不在と本部・経営企画室不在はこのような悲劇を生むのです。

 

HMSエリートでは本部・経営企画室の役割の大事さを説明しています。経営企画室は経営者に正しい決断をさせるためにいるのです。そのため、半年間の時間を使って研修します。

 

(2017年1月のブログから)

私が呼ばれたということは問題がある病院さんなわけで、問題も元はドクターということが多いわけです。ドクターの方々全員とお話しするときは、医局会議の様子を聞いておきます。問題がある病院さんの医局会議は、だいたい2つのパターンです。① 学級崩壊型会議か、② サイレント型会議です。①の場合は、作戦を考えて、仕掛けを作って臨みます。②の場合は、比較的、強いリーダーシップがあると方向性がまとまってゆくものです。今日のところは②ですので、逆に、ドクターのみなさんのお話を良く聞くのと、これからの方針を可能な限り開示して協力を求めます。今日の病院はみんな真剣にお話を聞いていただけたようです。

 

あと、ここは地域包括ケアシステムの中で、どのポジションを取るかの方針で将来が決まります。このまま一般急性期にしておくと、県から召し上げられてしまうので。たぶん、地域包括ケア病棟+回復期リハになります。そうなると、問題は前方連携なんで、どこをターゲットに営業をかけるかになります。あと、もう一つは在宅医療の強化です。在宅医療ということは、患者のご自宅に伺うわけなんで、「こんにちは、今日はいい天気ですね。なんか気分が晴れますね。さあ、ご気分はどうですか?(笑)」って言わなければならないわけで、アウェーの中で試合ができないドクターはダメなので、ここも難しいところです。

 

どちらにしても病院の業績UPは、地域で最強の医療完結型病院以外は、①ドクターの生産性向上+②ポジショニング(前方連携・後方連携)+③医療・介護の一体提供+④在宅医療の強化しかないので。また、コンサルタントは総論はいらないので、どうするか、中に入ってどこまで病院を変えられるかなので、汗かいて知恵使って、仕事の仕方を変えていただくだけです。

頑張ります。