地域包括ケアシステムの構築と医療機能分化・強化、連携 ⑴ I-1 地域包括ケアシステム構築のための取組の強化 ⑵ かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価

I-1 地域包括ケアシステム構築のための取組の強化

 (1) 患者の状態に応じた入退院支援や医療連携を推進する観点から、退院支援 加算について「入退院支援加算」と改称するとともに、以下のような見直し を行う。
1 入院予定の患者に対する入院前からの支援を評価する。

2 入院早期から福祉等の関係機関との連携が必要な者が算定対象に含まれることを明確化する

3 小児の退院支援を充実させる観点から、小児を専門とする医療機関や病棟に対応する要件に見直す。

4 地域連携診療計画を活用するため地域連携診療計画加算の算定対象病棟 を拡大する。

(2) 在宅復帰に係る指標について、以下のような見直しを行う。
1 一般病棟入院基本料、回復期リハビリテーション病棟入院料及び地域包 括ケア病棟入院料における在宅復帰率について、自宅等への退院支援機能 を評価する観点や病棟毎の機能を踏まえつつ、名称変更も含めて見直す。

2 療養病棟入院基本料の在宅復帰機能強化加算については、在宅復帰の機能をより推進する観点から、基準値を含め評価を見直す。
(3) 医科と歯科の連携を推進する観点から、診療情報提供料(I)の歯科医療機 関連携加算を算定できる歯科医療機関に、在宅療養支援歯科診療所以外の歯 科訪問診療を実施する歯科医療機関を追加するとともに、対象患者に摂食機能障害の患者を追加する。
(4) 歯科診療を行う上で必要な診療情報や処方内容等の診療情報をかかりつけ歯科医とかかりつけ医との間で共有した場合の評価をそれぞれ新設する。

(5) 地域包括診療料等について、院内処方が原則であるが、院外処方を行う場合での一元的な服薬管理等の取扱いについて明確化を行う。
(6) 退院時共同指導料における関係機関による共同指導について、医師及び看 護職員以外の医療従事者が共同指導する場合も評価対象となるように見直す。
(7) 診療情報提供料について、以下のような見直しを行う。

1 退院時において、退院時共同指導ができない場合に限り、退院後の療養を支援する訪問看護ステーションや介護保険施設に対する情報提供を評価する

2 介護支援連携指導料を算定しない入院中の患者について、居宅介護支援事業者等に対する情報提供を行った場合に算定が可能となるよう、要件を見直す。

(8) 退院に向けた医療機関等と訪問看護ステーションの共同指導や連携に関する評価を充実させる。また、共同指導等の連携に関する評価について、特別の関係にある関係機関が連携する場合の取扱いを見直す。

(9) 医療・介護・福祉事業者間での切れ目のない連携を推進する観点から、入退院支援や退院時の指導等における要件に障害福祉サービスの相談支援専門員との連携を追加する。

(10) 地域包括ケア病棟入院料について、入院医療の評価体系の再編・統合の方向性を踏まえ、地域包括ケアシステムの構築をより一層推進する観点から、 在宅医療や介護サービスの提供等の地域で求められる多様な役割・機能を有している場合について、評価を行う。

(11) 地域包括ケア病棟入院料及び療養病棟入院基本料について、在宅等からの患者の受入れに係る加算等の要件に、入院時に関係機関と連携し、治療方針に関する患者・家族の意思決定に対する支援を行う体制を構築することなどを追加する。

(12) 有床診療所入院基本料について、地域包括ケアモデル(医療・介護併用モ デル)での運用を支援するため、介護サービスを提供している有床診療所に ついて、入院基本料1から3までの要件を緩和するとともに、高齢患者の入 院受入れに係る評価を新設する。併せて、有床診療所在宅復帰機能強化加算の平均在院日数に係る要件を緩和する。

(13) 周術期口腔機能管理を更に推進する観点から、以下のような見直しを行 う。

1 脳血管疾患等の手術を実施した患者で、術後の誤嚥性肺炎のリスクが高い患者や低栄養状態等の患者について、術後早期に口腔機能管理を開始し た場合は周術期口腔機能管理計画策定料及び周術期口腔機能管理料(I)、 (II)の対象となるよう見直す。

2 周術期口腔機能管理後手術加算の対象手術に造血幹細胞移植等を追加する。

3 地域歯科診療支援病院歯科初診料の施設基準について、周術期口腔機能 管理の実績を選択可能な要件の一つとする。

(14) 介護医療院の入所者や医療機関との連携に係る診療報酬の取扱いについ て、介護療養型医療施設や介護老人保健施設等における取扱いを参考に対応する。

 

I-2 かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価

(1) かかりつけ医機能を推進する観点から、地域包括診療料等について以下の ような見直しを行う。
1 患者の同意に関する手続きや受診医療機関の把握を担う実施者の要件を緩和する。
2 継続的に受診していた患者が通院困難となった場合に訪問診療を提供している実績がある場合の評価を充実させるとともに、24 時間の対応体制に係る要件を緩和する。
3 院内処方が原則であるが、院外処方を行う場合での一元的な服薬管理等の取扱いについて明確化を行う。(I-1(5)再掲)
(2) 小児患者に対するかかりつけ医機能を推進する観点から、小児かかりつけ診療料の夜間・休日の対応に関する要件について、地域の在宅当番医制等に 協力する医師については、地域の在宅当番医等との連携でも可能とするよう 緩和する。

(3) 小児科療養指導料の対象患者に、医療的ケアが必要な小児を追加するとと もに、学校との情報共有・連携を要件とする。

(4) 生活習慣病の重症化予防を推進する観点から、生活習慣病管理料について、 療養計画書の記載項目への血糖や血圧の目標値の追加、特定健診・特定保健 指導との連携及び学会のガイドライン等の診療支援情報等の活用に関する 要件を追加する。

(5) 地域連携及び継続的な口腔機能管理を推進する観点から、かかりつけ歯科 医の機能の評価及びかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準に ついて以下のような見直しを行う。

1 口腔疾患の重症化予防に関する継続的な管理の実績や地域連携に関す る会議等への参加実績の追加と併せて関連する要件を見直す。

2 かかりつけ歯科医として必要な知識や技術の習得を推進する観点から、 要件としている研修内容を見直す。

3 歯科訪問診療について、かかりつけ歯科医と在宅療養支援歯科診療所と の連携実績を選択可能な要件の一つにする。

(6) 歯科診療を行う上で必要な診療情報や処方内容等の診療情報をかかりつ け歯科医とかかりつけ医との間で共有した場合の評価をそれぞれ新設する。 (I-1(4)再掲)

(7) かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料について、服薬 情報の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導を行うかかりつけ薬剤師の取組を推進するため、同意取得時に薬剤師・患者双方のかかりつけ薬剤師の必要性の確認を要件とし、併せて同意取得の様式を整備する。 (8) 処方せん集中率が高い等の薬局であっても、かかりつけ薬剤師指導料等の 一定の算定実績がある場合には、調剤基本料の特例対象から除く取扱いを見直す。

(9) 地域医療に貢献する薬局について、一定時間以上の開局や医薬品の備蓄品目数等に加えて、薬物療法の安全性向上に資する事例の報告や副作用報告体 制の整備を要件とするほか、処方せん集中率が高い薬局等を含めて、夜間・ 休日対応等の地域支援の実績等を踏まえた評価を新設する。これに伴い、基 準調剤加算を廃止する。なお、医療資源の乏しい地域の薬局については、当 該地域に存在する医療機関が限定されることを踏まえ、調剤基本料の特例対 象から除外する。