8月2日、しっかり、ご説明させていただきます。「介護保険サービスの周辺には、大きな可能性があります。」

2012年以降、新たな複合型サービスは報酬設定上、規定されていないが、今後、こうした組み合わせ提供が在宅生活を支える主力サービスになる以上、事業者の実践事例から学び、検討を重ね、報酬化を進めて、さらなる複合型サービスを開発していく必要があるだろう。

 

在宅生活を支える中核的介護サービスとはいえ、「包括報酬型」在宅サービスだけで生活全体を支えるわけではない。要介護度が重くなっても、毎日の調理、買い物、掃除などの生活支援は不可欠であるし、なじみの関係性のある友人とのコミュニケーションや、地域とのつながりが不要になるわけではない。むしろ、そうしたつながりこそが、社会的孤立を防ぎ、尊厳ある生活を支える上で重要になってくると考えるべきであろう。

 

特に在宅生活では、生活支援が不可欠である。今後2040年において、家族が傍らにいない状態で後期高齢者が在宅生活を送るとき、生活支援が在宅限界点の低下を防ぐ重要な要素のひとつとなるだろう。一人ひとりが社会のつながりから排除されない包摂的な社会を志向していくならば、「包括報酬型」在宅サービスも単に心身を支えるサービスだけでなく、社会的・文化的な生活を支えるための支援を組み合わせることこそ、生活全体を支えるという意味で重要になる。

 

その場合、これらの支援は、必ずしも介護保険の給付の中から行われる必要はない。地域の多様な資源をうまく組み合わせることで対応は可能である。この点で、「包括報酬型」サービスと、保険外サービスと組み合わせる混合介護によって在宅を支えるあり方も、今後広がっていくだろう。

 

例えば、小規模多機能型居宅介護は、通いの場を中心にデザインされてきたが、専門職サービスは訪問でサービス提供しつつ、地域の中に要介護者が通える住民主体の「通いの場」や「居場所」にも参加するといった形もすでに実現している。また定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、専門職の訪問による包括的なサービス提供で利用者に大きな安心感を与えているが、他方で、地域とのつながりやインフォーマルな生活の側面については、家族のつながりが中心になっており、現状、介護・医療事業者の関わりが限定的な場合も多い。しかし、今後、単身世帯が増加し、家族の形が多様化していく中にあっては、保険外のサービスを専門職によるサービスとどのように組み合わせていくかという点は課題である。