公益財団法人「介護労働安定センター」は8月22日、人材不足の介護事業所が2021年に63.0%だったとの調査結果を公表した。前年に比べて2.2ポイント高かった。処遇改善などにより離職率は少しずつ低下しているが、急速な高齢化で人材不足の解消は遠い。
調査は2021年10月、介護保険サービス事業を手掛ける全国の事業所に実施した。8809事業所が回答した。人材不足を職種別にみると訪問介護員が80.6%と高く、施設で働く介護職員は64.4%、看護職員は44.7%だった。
人手不足解消に向けた高齢者や外国人の採用は足踏みしている。65歳以上を雇用している事業所は68.0%と前年から4.6ポイント低下した。外国人労働者を受け入れている事業所も6.2%にとどまった。外国人を今後新たに活用する予定がある事業所も11.7%にとどまった。
訪問介護員と介護職員の離職率は14.3%と前年から0.6ポイント低下し、07年に比べると7.3ポイント低くなった。処遇改善や働き方の見直しなどが奏功しているとみられるが、人材不足解消には一段の離職率低下が求められる。
賃金は上昇が鈍い。所定内賃金は月額平均24万4969円と前年から1834円(0.75%)の上昇にとどまった。政府は22年から、介護人材不足の解消に向けて収入を月額平均9000円相当(3%程度)引き上げる取り組みを進めているが、調査時点では支給が始まっていなかった。