6代目鞄持ちさんからメールが来ました。

6代目鞄持ちさんからメールが来ました。抜粋でお届けします。

私が75歳になって小説を書くとき、きっと、山川くんで登場することでしょう。もちろん、小説では、赤坂の街をマツケンのカッコで100mダッシュして警察に捕まるテイで描きますけどね。

まあ、ちょっとだけ前田さんが経験してきた修羅場を少しだけ理解できたかもしれませんし、小山さんがその重責から、私に恐ろしい長文メールをくれる意味が分かりますかね。

どんな法人・会社・病院でも、絶対に助けるという使命と責任は生半可な気持ちで、つべこべ言っていないことは分かったかなと。

私は、初めて行って、途中から男泣きしている経営者に「大丈夫、絶対に助けるから。」と言って仕事を始めるわけで、その無謀さと真剣さが、私より人生の先輩の社長さんに、黒目の奥を睨みつけて「これって、粉飾って言いますよね。」と言うのです。

そう、あの時に、数字の説明をするために分厚い資料を持って一緒に来ていた事務責任者の女性は、始めは、山根さんと同じように、私と経営者のやり取りを聞いてて、極まって泣いてしまって、しばらく喋れなくなってましたね。経営者を守るつもりで一緒に来て、言葉が出なかったものね。申し訳なかったですね。

でもね、お引き受けしたら、絶対に最後は笑っていただきます。

(メール、抜粋)

先日は、貴重な現場に立ち会わせていただき、誠にありがとうございました。

第6代目の鞄持ちをさせていただけることは、誰もが経験できることではなく、このような機会をお与えいただいたことに、改めて感謝申し上げます。

実際に同行をさせて頂き、あの場の緊張感、空気の張りつめ方は、文字や話では決して伝わらないものであり、「その場に立つ」ことの意味を身をもって痛感しました。

「これって、粉飾って言いますよね。」

あの一言で一気に空気が変わり、思考が止まり、身体が反応する感覚は、まさに「常在戦場」という言葉そのものだったと思います。

経営者の思い、覚悟、決断など厳しい判断を迫られる場面を目の当たりにし、私自身がこれまで先生から学んできた「覚悟」は、まだまだ甘すぎるものであったと痛感しました。

正直、吐きそうになる感覚もあり、帰りの車中で込み上げてくるものがあり、自分でも言葉にできない、複雑でさまざまな感情が巡っていました。

ただそれは恐怖というよりも、自分がこれまで“見えていなかった世界”に、初めて足を踏み入れたことによる強い衝撃だったのだと思います。