明日のHMSエリートで話す内容の、ほんの一部です。参考になれば。

2018年同時改定を考える

医療 診療報酬改定

医療の診療報酬改定は、H28年12月の中医協による資料によって、H30年診療報酬改定に向けた主な検討項目は示された。

(1) 医療機能の分化・連携の強化、地域包括ケアシステムの構築の推進
1 入院医療
・医療機能、患者の状態に応じた評価
・DPC制度における調整係数、機能評価係数IIの見直し等
・医療従事者の負担軽減やチーム医療の推進等に係る取組
2 外来医療
・かかりつけ医機能とかかりつけ歯科医機能
・かかりつけ医機能とかかりつけ薬剤師・薬局機能の連携
・生活習慣病治療薬等の処方
・紹介状なしの大病院受診時の定額負担
3 在宅医療
・重症度や居住形態、患者の特性に応じた評価
・訪問診療、歯科訪問診療、訪問看護、在宅薬剤管理指導等
・訪問リハビリテーション指導管理
4 医療と介護の連携
・療養病床・施設系サービスにおける医療 ・居宅等における医療(訪問診療・訪問看護、歯科訪問診
 療、薬剤師の業務等)
・維持期のリハビリテーション

(2) 患者の価値中心の安心・安全で質の高い医療の実現
・アウトカムに基づく評価
・患者や家族等への情報提供や相談支援
・医療機能等に関する情報提供や公表
・患者の選択に基づくサービス提供
(3) 重点分野、個別分野に係る質の高い医療提供の推進
・緩和ケアを含むがん患者への質の高い医療
・認知症患者への質の高い医療
・精神疾患患者への医療提供や地域移行
・地域生活支援
・外来や入院でのリハビリテーション
・口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療
・薬剤使用の適正化に係る薬剤管理業務
(4) 持続可能性を高める効果的・効率的な医療への対応
1  医薬品、医療機器等の適切な評価 ・薬価制度の抜本改革(保険医療材料価格制度の見直しを含む)
・医療技術の費用対効果の観点を踏まえた評価
・新しい医療技術の保険適用
・後発医薬品の更なる使用促進
2  次世代の医療を担うサービスイノベーションの推進
・バイオテクノロジー、ICT、AI(人工知能)などの新たな技術への推進

介護保険サービスの介護報酬改定

2018年介護報酬改定は、2025年の団塊の世代がみな75歳以上になる社会の中で、最大の介護需要に対する、効率的で、かつ、利用者が自分らしく住み慣れた地域で暮らし続けることを目的とした仕組み(地域包括ケアシステム)の深化のための改定と位置づけられている。
社会保障審議会 介護給付分科会において、2017年4月26日より「H30年介護報酬改定に向けた今後の検討の進め方について」によってスタートした。
報酬改定の主な目的
地域共生社会の実現
地域包括ケアシステムの深化
医療と介護の連携
在宅事業のさらなる充実
各サービスの効率化
サービス提供による加算から成果を評価することでの加算への転換

 

社会保障審議会 介護給付分科会の内容
1. 定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の現状
定期巡回・随時対応型訪問介護看護については、制度創設以降、請求事業所数・利用者数ともに 増加している。平成27年度介護報酬改定では、利用者の生活全般に着目し、主治医や看護師等の多 様な主体との意思疎通を図り、適切に連携するための体制構築に取り組むなどの 積極的な体制整 備について「総合マネジメント体制強化加算」を設けるなどの評価を新設し、平成28年4月審査分 では、請求事業所数は約633か所であり、利用者数は約13,800人となっている。【参考資料P8】
一方、サービスの給付実績のない保険者は、平成28年10月時点において、1,579保険者中1,023保 険者(約65%)であり、給付実績のない保険者の第1号被保険者数(平成28年10月末時点)は、約 943万人(約28%)である。なお、給付実績のある保険者については、地域毎にばらつきがあり、 自治体が開設前後の支援を行うことにより、事業所数が着実に増加している自治体もある。【参考 資料P9~16】
また、事業所のサービスに参入した理由としては「法人の方針のため」が約8割である一方、 「保険者の要望があったため」は約1割となっている。【参考資料P28】
また、夜間対応型訪問介護について、請求事業所数は制度創設以降、微増傾向にあったが、近年 は微減しており、平成28年4月審査分では、請求事業所数は約182か所となっている。また、利用 者数については、概ね横ばいであり、約7,900人となっている。【参考資料P33】

2. 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業経営
定期巡回・随時対応型訪問介護看護について、サービスの参入の障壁・課題として、約6割の事業所が「利用者が集中する時間帯の職員体制の構築」を挙げており、また、オペレーターの基準・ 兼務要件に対する要望として、約7割の事業所が「日中においても随時訪問介護員の兼務を認めてほしい」を挙げている。【参考資料P4、24、28】
一方、サービス提供においてICT機器等の活用をしている事業所は、約6割であり、そのうち、 具体的に活用している内容としては「利用者からの連絡用のコール端末」が約8割となっている。 【参考資料P27】

3. 集合住宅に居住する定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用者の状況
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の1事業所あたりの利用者のうち、集合住宅に居住する者は、 併設の集合住宅で約4割、非併設の集合住宅で約2割となっており、特に、集合住宅に併設した事 業所における利用者の1人・1日当たりのサービス提供回数は、定期訪問、随時訪問及びコール件 数のいずれにおいても他を上回っている。【参考資料P25、26】
定期巡回・随時対応型訪問介護看護や夜間対応型訪問介護について、請求事業所数や利用者数の現状を踏まえると、更なる普及が課題であると考えられるが、サービス供給量を増やす観点や 機能強化・効率化を図る観点から、人員基準や資格要件等の在り方についてどう考えるか。
特に、事業者からは、日中のオペレーターについて兼務を求める要望があるが、経営の効率化 を図る観点から、オペレーター等の役割や実態を詳細に調査した上で、ICTの活用等も含めた 人員基準や資格要件の在り方について検討してはどうか。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、そのサービス提供の多くが、集合住宅に居住する利用 者に対して行われているが、地域全体へ必要なサービスが行き届くようにするためにはどのよう な方策が考えられるか。

1. 小規模多機能型居宅介護の現状等
(小規模多機能型居宅介護の現状)
小規模多機能型居宅介護(以下「小多機」という。)については、制度創設以降、請求事業所数・ 利用者数ともに増加している。平成27年度介護報酬改定では、利用者の生活全般に着目し、主治医 や看護師等の多様な主体との意思疎通を図り、適切に連携するための体制構築に取り組むなどの 積極的な体制整備を評価する「総合マネジメント体制強化加算」や在宅生活を継続するための支援 を更に強化する観点から、訪問サービスを積極的に提供することなどを評価する「訪問体制強化加 算」を新設し、平成28年4月審査分では、請求事業所数は約4,984か所であり、利用者数は約 85,200人となっている。
また、平成27年度介護報酬改定で、登録定員の上限を25人から29人へと引き上げた結果、1事業 所あたりの平均利用者数は、平成27年度以降増加傾向にあり、平成28年4月審査分では17.2人と なっている。【参考資料P5】
平成27年4月以降に登録定員を変更した事業所は、平成28年1月時点で34.8%(529事業所)であ り、変更後は最大定員の29名への変更がほとんどで、定員を変更した事業所の変更前の平均登録定 員は24.5人、変更後は28.1人となっている。また、利用者の45%が要介護3以上の中重度者である。 【参考資料P5、7】
加算の取得状況について、平成28年1月時点で、総合マネジメント体制強化加算を取得している 割合は79.8%(1,231事業所)であり、訪問体制強化加算を取得している割合は27.4%(406事業 所)となっている。【参考資料P7】
職員総数平均は14.23人、常勤が8.61人、非常勤が5.83人、常勤換算で11.28人となっている。 また、職員の充足状況では、足りていないとの回答が約4割となっている。【参考資料P8】
小規模多機能型居宅介護の利用者の中には、訪問リハビリ等のサービスを受けている者も一定程 度いる。【参考資料P11】
(小規模多機能型居宅介護のケアマネジメント)
小多機の利用に当たっては、居宅介護支援事業所の介護支援専門員ではなく、小規模多機能型居宅介護事業所の介護支援専門員が居宅サービス計画を作成することとなる。
この点に関しては、利用者の日々の状態に応じたケアマネジメントを臨機応変に行うという観点 から、計画作成に専ら従事する介護支援専門員の配置としているところであり、平成26年の社会保 障審議会介護給付費分科会において、小多機の利用を促進する観点からケアマネジメントのあり方 を議論したところであるが、現時点では見直しを行わないとの結論となった。

その後、「平成28年の地方からの提案等に関する対応方針」(平成28年12月20日閣議決定)にお いて、「小規模多機能型居宅介護に係る居宅サービス計画を指定小規模多機能型居宅介護事業所に 置かれる介護支援専門員以外の介護支援専門員が作成した場合における居宅介護支援費の算定につ いては、議論の必要性も含めてその在り方について検討し、平成30年度の報酬改定に向けて結論を 得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずる」こととされている。【参考資料P12】
(看護小規模多機能型居宅介護の現状)
看護小規模多機能型居宅介護(以下「看多機」という。)についても、平成27年度介護報酬改定に おいて、「総合マネジメント体制強化加算」の新設や登録定員の上限の引き上げなど、小多機と同 様の対応を行った他、利用者の重度化に伴い訪問看護の重要性が今後高くなることが想定されることに 鑑み、「訪問看護体制強化加算」を新設し、平成28年4月審査分では、請求事業所数が約318か所、利用 者数が約5,100人、1事業所あたりの平均利用者が19.0人となっている。【参考資料P21、23】
看多機の開始前の事業としては、小多機が41%、訪問看護が32%とこれらの2つのサービスから の移行が多くなっているが、事業の開始が困難な理由について、「看護職員の新規確保が難しい」 を挙げる事業所が約6割と最も多く、「事業採算の見通しが立たなかった」が約3割と次に多い。 【参考資料P24、25、31】
また、サテライト型事業所の取り扱いについて、看多機が本体事業所としてサテライト型事業所 を設置することは可能であるが、当該サテライト型事業所はサテライト型小多機事業所となる。看 多機にはサテライト型看多機事業所の仕組みがなく、看多機と小多機において異なる点がある。 【参考資料P28、29、30】
(医療ニーズの高い利用者やターミナル期の利用者等への対応)
看多機の利用者は要介護3以上が60%であり、小多機に比べて要介護度の重い利用者を受け入れて おり、特に、開始前の事業が訪問看護ステーションの場合、訪問看護体制強化加算の算定率が高い など、比較的高い機能を有している。【参考資料P32、34】
また、看多機に従事する介護職員のうち、喀痰吸引等の業務の登録認定を受けた従事者(認定特 定行為従事者)の割合は4.9%で、他の地域密着型サービスと比べて高い割合である。【参考資料P 38】
さらに、看多機における過去1年間の利用終了者のうち、施設や入院による利用終了が約半数、在宅 死亡は8%、事業所内での看取りは16%である。過去1年間に在宅死亡(事業所内での看取りを含む) があった事業所は66%である。【参考資料P39】
(事業開始時の一定期間における経営の安定化を図るための評価)
小多機及び看多機については、事業開始後の一定期間における経営の安定化を図るための評価と して、平成26年度末までの時限措置として、「事業開始時支援加算」が設けられ、平成27年度の介護報酬改定の際に、小多機については、予定どおり同加算を廃止した。一方、看多機については、 加算の算定状況や収支状況等を踏まえ、今後も更なる整備促進を図る観点から、平成29年度末まで 延長することとした。【参考資料P40】
看多機について、事業開始時支援加算を算定している割合は、平成28年4月時点で16%と低い水 準にあるが、平成28年度介護事業経営概況調査の結果によれば、集計事業所数が少ないため、参考 数値の扱いであるが、看多機の収支差率は、平成26年度の1.4%から平成27年度の6.3%へと改善し ている。【参考資料P41、42】
小多機や看多機について、請求事業所数や利用者数の現状を踏まえると、更なる普及が課題であると考えられるが、サービス供給量を増やす観点や機能強化・効率化を図る観点から、人員基準や利用定員等の在り方についてどう考えるか。
小多機や看多機について、看護職員の雇用が難しいという声があるがどう考えるか。
(小規模多機能型居宅介護に関する論点)
小規模多機能型居宅介護事業所に置かれる介護支援専門員以外の介護支援専門員が居宅サービス計画を作成した場合の取扱いについてどう考えるか。
小規模多機能型居宅介護と他のサービスとの併用についてどう考えるか。