給食は診療報酬改定でも問題になっています。

入院医療(その6)

入院時食事療養の収支等に関する実態
課題
平成29年度実態調査の結果、平成29年における患者1人1日当たりの給食部門の収支は、 前回調査時の平成16年に比べて、全面委託、一部委託、完全直営とも悪化しており、中でも全 面委託での悪化が著しい。
その主な原因としては、食事療養費本体や特別食加算の収入の減少、特別管理加算の廃止 (平成18年度改定で入院基本料の栄養管理実施加算に一部置き換えられ、現在、病院につい ては入院基本料に包括化)等による収入の減少に加えて、光熱水費及び委託費の増加等によ る支出の増加による影響が考えられる。
主として市販流動食を提供した場合の食事療養費は平成28年度改定で原則約1割引き下げ られたが、平成29年度実態調査の結果、市販・手製流動食、医薬品扱いの経腸栄養用製品の 提供状況等に大きな変動はない。
そうした中、平成29年6月の市販流動食の費用は、平成28年度改定前の平成27年6月と比べ て、約14%増加している。

給食委託に関する状況
課題
平成23年度から平成28年度の間に委託業者を変更した病院は約2割あり、変更理由として は、委託業者が随時の病院側の要求(個別対応食への対応等)に応じられない、委託業者側 の人手不足、委託金額が折り合わないなどが多い。
そうした病院のうち約5割では、委託業者が行うべき業務を病院側の管理栄養士が補ってお り、その影響として、残業の増加や、病棟栄養管理・給食管理・栄養指導の時間が十分に取れ ないなどの問題が生じているとの調査報告がある。

病院給食の状況
全国2,355病院を対象とした調査では、給食業務を全面委託又は一部委託している病院が約8割 完全直営は約2割であった。
平成23年度から平成28年度の間に、委託業者を変更した病院は約2割であった。

病院給食委託業者の変更の理由
委託業者の変更理由は、「委託業者の運営に問題があった」が4割強と最も多く、次いで「定期的 変更」、「委託業者からの契約の打ち切り」の順であった。
「委託業者の運営に問題があった」と回答した病院における委託業者の変更理由は、「委託業者 が随時の病院側の要求(個別対応食への対応等)に応じられない」が最も多く、次いで「契約どおり の数・職種の委託側職員の確保が困難」と「その他」が同率であった。
委託業者から契約を打ち切った理由は、「契約どおりの数・職種の委託側職員の確保が困難」が 最も多く、次いで「契約金額が低い」であった。

病院側管理栄養士による委託業務のフォローと影響
委託業者が行うべき業務を病院側の管理栄養士が「補うことがある」と回答した病院は、約5割で あった。
そうした病院では、病院側の管理栄養士への影響として、残業の増加や、病棟栄養管理・給食管 理・栄養指導の時間が十分に取れないなどの問題が生じていた。

入院時の食事療養における自己負担と保険給付
課題
平成30年4月以降、一部の入院時食事療養費については、自己負担額が費用の額を超える こととなるため、対応が必要な状況にある。

論点
平成28年度診療報酬改定において、主として市販流動食を提供した場合の入院時食事療養 費を引き下げたが、改定後の食事療養に係る医療サービスの提供への大きな影響は見られな かったことについて、どのように考えるか。
現在、455円となっている入院時食事療養費については、平成30年4月以降の入院時食事療 養に係る自己負担の増額(460円)に伴い、自己負担額が費用の額を超えることとなるため、 460円に見直すこととしてはどうか。