参考になれば 2

「報告書から」

組織の持続的な成長を導くためには優れた経営企画室の存在は欠かせない。経営企画室のメンバー選定にあたっては、法人の経営と将来に対し、責任と使命感を持った人材を選ばなければならない。そして、学習し努力する能力も求められる。医療法人の理事長は、法人経営を司する。病院長は経営者として医療サービスを司する。事務長が病院の経営実務を司する。経営企画室は、この3者が正しい判断を下すためのエビデンスを用意し、法人内外の関係者へのアプローチを企画する。

医療や福祉の政策は常に変わり、現在のように、さまざまな分野でニューノーマル仕様が入ってきている状況の中では、その新しい知識の習得と病院内への展開は欠かせない。また、病院は縦割り組織であり、介護部門などドクターや病院関係者ではわからない組織もあり、そこに横串を入れるためにも重要である。

法人は、経営推進チームの直轄として経営企画室をおかなければいけない。その創設を強く勧める。経営企画室は組織を1つの方向性に導くためのエビデンスを提示し、戦略的な改善策を提示するトップと現場の調整を行ったり部門間の調整を行ったりするとても大切な仕事を担当しなければならない。平時は黒子に徹し、必要なときには経営推進チームのサポートとして前に出ることが求められる。

高単価を目指すと言う視点は急性期を施行する病院にとっては重要である。しかし、それだけで病院経営が順調に進むと考えルことが許される時代は終わっている。マーケット(医療ニーズ)は20年で様変わりする。また、競合医療機関は常に変化している。

病院経営は、高度急性期の医療を提供すれば単価は上がる。在院日数を短縮し手術の実施率を高めれば入院単価は上がる。そのためには、前方連携及び後方連携へのアプローチがしっかり行われることが絶対条件になる。そためには、マーケティング・マッピング・ポジショニングを把握する必要がある。さらに、介護事業所や障がいサービス事業の内容を理解していなければならない。以上の把握した上で、予定入院と緊急入院のバランスを常に考えて、体制を整えて、効率を考える。その時は、病院のハード、麻酔医と看護師の体制も必須となる。

病院の経営企画室は、法人の経営資源を把握し、最も、最適な体制と受け入れ数をバランスさせながら、絶対収支、絶対要員、絶対力量、絶対チームを設計しなければならない。病院は、部門間での対立は、ある程度前提として考えなければならない。その障壁を崩してチームにしてゆく仕掛けや工夫をせるのも経営企画室の大事な仕事になる。経営企画室で法人内ルールをしっかりと決めて守らせる機能を持たなければいけない。

経営企画室の、最も大事な仕事は、法人の方向性を決めるためのエビデンスを揃え、その仕様に病院を設計することにある。法人がやりたい医療にこだわっていると、地域が求める医療とミスマッチを起こしかねない。地域ニーズとかけ離れた体制をとっていると、いずれ、致命的な欠陥を法人にもたらせてしまう。