どんどん医学は進歩しています。

「国立がん研究センターが12月下旬から、少量の血液で乳がんを見つけられるかどうかを調べる大規模な臨床試験を始める。乳がんはマンモグラフィー検診が実施されているが、痛みを感じる人も少なくない。負担の少ない採血により、早期がんを見つけられるかどうかを検証する。」

 

「膵(すい)がんは体の奥まったところに発生し、見つけにくく手術も難しい。治療法の改善もなかなか進まなかったが、最近になって手術前に抗がん剤を投与する方法で成績が改善することがわかってきた。これを受けて学会もガイドラインを改訂し、実施例が広がると期待されている。」

「膵がんは難治性がんの代表格であり、多くの患者は不安でいっぱいだ。『とにかく手術を』と焦る人が多いという。海野教授は「術前化学療法によって、結果的によい成績が得られる」と丁寧に説明し、理解してもらうようにしている。」

「根拠となるのが、東北大などが2019年1月に発表した臨床試験結果だ。肝臓転移などがなく門脈や動脈に達していないなど、切除可能と判断された膵がんについて、術前化学療法の有効性が明らかになった。試験には同大や国立がん研究センターなど57施設が参加し、364人の患者が登録された。これを同数ずつ、従来通りすぐに手術するグループと、塩酸ゲムシタビンとS―1という抗がん剤の併用療法を実施し約6週間後に手術するグループに分けた。」

「2年生存率も10ポイント以上改善し、63.7%となった。術前の治療によって、死亡リスクは28%減少したことがわかった。今後、患者の追跡調査を通して5年生存率がどの程度高くなるかも、確認する予定だ。」