東芝事件、ついに監査法人への訴訟の動きがあります。

(以下、新聞記事から)東芝の会計不祥事を巡り、個人株主が19日、東芝に対し会計監査を担当した新日本監査法人の責任を問うため約115億円の損害賠償請求を起こすよう書面を送付した。到着後60日以内に同社が提訴しない場合、株主代表訴訟を東京地裁に起こす方針。新日本監査法人は監査において利益の水増しを発見できたのに東芝の役員に説明を求めるなど、日本公認会計士協会が定める指針などに沿った監査を行わず、会計不祥事を見逃した。東芝が納付した課徴金73億円と新日本監査法人に支払った監査報酬30億円を合わせた115億円を請求額とした。

 

ここで見逃してはいけないことは、「役員への説明を求める、、」ということです。会計不祥事の多くは、会社の役員が関与することで起こります。財務会計の計算書の作成過程は結果であって、その前に改ざんを指示する、または改ざんを意図的に求める、改ざんしないといけない雰囲気や環境をつくる人間が存在するということです。会計士は真正面から経営者と向き合う必要があるのだと思います。

先日、1990年代のバブル破綻に際し消滅した銀行の監査を担当した会計士の人と長い時間話しをしました。銀行経営者はある時、あるきっかけから、あってはならない動きを始める。そして、あってはならない動きをごまかすためにさらに大きなお金で次々と不正を行う。そして、この事実を監査法人も知ることとなる。その時、監査法人はどうしたか、、、、、。本当に生々しい話しの連続に、聞いているこちら側が息を飲んでしまうほどでした。

ただ、私は、もし、経営者が監査法人の力を借りて大胆に手を打っていたら、もし、監査法人が経営者に真正面から話しかけ経営者の苦悩に寄り添っていたら、ひょっとして今もその名前のまま地域のために貢献していたのではないかと感じました。監査法人の責任の重さと会計士の気概、使命、責任感がこれからの時代には必要なのだろうと思いました。

 

経営者がその話しに耳を傾ける会計士には、人格、実力、度量、発想力が必要なのでしょうね。生死をさまよっている時にどんなドクターに会うかというのと似ていますね。監査で差別化は難しい。しかし、監査で差別化はできますね。