⑷ 外来医療の機能分化、重症化予防の取組の推進
(1) 紹介状なしで大病院を受診した初診の患者及び大病院において継続的な診療の必要性を認めない再診の患者から定額負担を徴収する責務がある医療機関の対象範囲を拡大するとともに、初診料及び外来診療料の病床数の要件を見直す。
(2) 大病院とその他の医療機関との機能分化を推進する観点から、病床数 500 床以上を要件としている診療報酬の取扱いについては、原則として、病床数 400 床以上に見直す。
(3) 外来医療のあり方に関する今後の方向性を踏まえ、外来医療における大病院とかかりつけ医との適切な役割分担を図るため、より的確で質の高い診療機能を評価する観点から、かかりつけ医機能を有する医療機関における初診を評価する。
(4) 薬価調査が適切に実施される環境整備を図るため、現在検討中の「流通改 善ガイドライン」を踏まえ、初診料、再診料及び調剤基本料等の未妥結減算に係る報告に併せて、単品単価契約率及び一律値引き契約に係る状況の報告 を求めるなどの見直しを行う。
(5) 生活習慣病の重症化予防を推進する観点から、生活習慣病管理料について、 療養計画書の記載項目への血糖や血圧の目標値の追加、特定健診・特定保健 指導との連携及び学会のガイドライン等の診療支援情報等の活用に関する 要件を追加する。(I-2(4) 再掲)
(6) 糖尿病の透析予防を推進するため、糖尿病透析予防指導管理料の腎不全期 患者指導加算の対象患者を拡大する。
I-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保
(1) 在宅患者訪問診療料について、在宅で療養する患者が複数の疾病等を有し ている等の現状を踏まえ、複数の診療科の医師による訪問診療が可能となる よう、評価を見直す。
(2) 在宅医療の提供体制を充実させるため、地域において複数の医療機関が連 携して 24 時間体制の訪問診療を提供する場合の在宅時医学総合管理料等の 評価を新設する。
(3) 介護保険施設等に併設する医療機関の医師が、介護保険施設等の入居者に対して訪問診療を行う場合の評価について、訪問と外来の中間的な診療形態となることを踏まえ、新たな評価を設定する。
(4) 在宅時医学総合管理料等について、患者の状態に応じたきめ細やかな評価とするため、算定患者の状態に係る要件を追加する。また、かかりつけ医機 能を有する医療機関による在宅医療への円滑な移行を推進する観点から、在宅時医学総合管理料等及び地域包括診療料等の取扱いを見直す。
(5) 往診料が算定可能となる場合がより明確となるよう算定要件を見直すと ともに、緊急往診加算について、対象患者に看取り期の患者を追加する。ま た、夜間休日加算の取扱いを適正化する。
(6) 訪問看護ステーションと医療機関等の連携を推進するため、以下のような 見直しを行う。
1 退院に向けた医療機関等と訪問看護ステーションの共同指導や連携に関する評価を充実させる。また、共同指導等の連携に関する評価について、 特別の関係にある関係機関が連携する場合の取扱いを見直す。(I-1(8) 再掲)
2 患者が在宅から療養場所を変更する際に、患者に合わせた療養生活の支 援が継続されるよう、医療機関が訪問看護ステーションと連携して医療機 関等に情報提供を行う場合を評価する。
(7) 訪問看護ステーションと自治体等の関係機関の連携を推進するため、以下 のような見直しを行う。
1 訪問看護ステーションから自治体への情報提供について、利用者の状態等に基づく、要件の見直しにより、適正化を行う。
2 医療的ケアが必要な小児が学校へ通学する際に、在宅での療養生活を支援している訪問看護ステーションから医療的ケアの方法等の訪問看護に係る情報を学校へ提供した場合の評価を新設する。
(8) 喀痰吸引等の医療が継続的に必要な者が在宅で療養生活を継続することができるよう、医師の指示の下、介護職員等が喀痰吸引等の特定行為業務を 実施する場合について、訪問看護ステーションが特定行為業務を行う介護職 員等の支援を行った場合の連携に関する評価を新設する。
(9) 病院に勤務する看護職員の訪問看護への参画や在宅医療への理解を推進 し、地域包括ケアシステムの構築に資する訪問看護の提供体制を拡大する観 点から、病院に併設されている訪問看護ステーションの取扱いを見直す。
(10) 複数の実施主体で行われる訪問看護の効果的な実施を推進するため、以 下のような見直しを行う。
1 1人の利用者に対し、複数の実施主体から訪問看護が行われている場合に、訪問看護の目標や計画等の共有が求められることを明示する。
2 病院・診療所と訪問看護ステーションのうち、複数から訪問看護が行わ れている場合について、ターミナルケアに係る評価の算定について、整理し適正化する。
3 複数の訪問看護ステーションと関係機関との連携に関する加算について、連携を推進する観点から算定要件を見直す。
(11) 地域で生活する障害児・者の支援を促進するため、機能強化型訪問看護ステーションの要件について、以下のような見直しを行う。
1 特定相談支援事業所等が同一敷地内に設置されている場合にも届出可能となるよう届出要件を見直す。
2 訪問看護ステーションが、療養通所介護事業所、児童発達支援事業所又は放課後等デイサービス事業所としても指定を受けている場合、人員の基準を緩和する。
(12) 訪問看護ステーションにおける 24 時間対応体制と 24 時間連絡体制の評価を 24時間対応体制に一本化し、評価を充実させる。
(13) 訪問看護ステーションの理学療法士等が訪問看護を実施する場合、看護職員と理学療法士等が連携することを明記する。
(14) 複数の看護師等による指定訪問看護について、以下のような見直しを行う。
1 複数名による訪問看護加算について、算定回数の制限がない場合の算定方法を見直す。
2 看護職員が看護補助者との同行訪問により訪問看護を実施する場合の利用者の要件を見直す。
(15) 個々の患者のニーズに応じた訪問看護を推進する観点から、障害福祉施設に入所中の複数の者に対し、同時に訪問看護を実施した評価である精神科訪問看護基本療養費(II)及び精神科訪問看護・指導料(II)を廃止する。
(16) 地域で生活する重症な精神疾患患者の支援を推進する観点から、精神科 訪問看護の精神科複数回訪問加算及び精神科重症患者早期集中支援管理連携加算の要件等を見直す。
(17) 長時間訪問看護加算を週3回利用可能な対象者に、医療的ケアが必要な
小児を追加する。また、乳幼児加算及び幼児加算の評価を充実させる。 (18) 住み慣れた地域で療養しながら生活を継続することができるよう、過疎地域等における訪問看護について以下のような見直しを行う。
1 訪問する利用者の居宅が過疎地域等に所在する場合、訪問看護ステーシ ョンが過疎地域等に所在しない場合についても、特別地域訪問看護加算の算定を可能とするよう要件を緩和する。
2 在宅患者訪問看護・指導料等に特別地域訪問看護加算を新設し、過疎地域等において、医療機関が訪問看護を実施した場合に算定することを可能とする。
3 特別地域訪問看護加算の過疎地域等においては、複数の訪問看護ステーションが連携して 24 時間対応体制加算の基準を満たす体制を確保した場合にも当該加算の算定が可能となるよう、要件を見直す。
(19) 複数の医療機関が連携して在宅医療を提供する場合の訪問看護の指示に係る主治医の要件を見直す。
(20) 質の高い在宅歯科医療の提供体制を確保するため、以下のような見直しを行う。
1 歯科訪問診療料及び在宅患者等急性歯科疾患対応加算等の加算について、実態に合わせた評価となるよう見直す。
2 在宅歯科医療における関係者との連携を推進する観点から、地域の医療や介護関係者との連携実績を施設基準に追加する等、在宅療養支援歯科診療所等の評価を見直す。
3 訪問歯科衛生指導料について、「1 複雑なもの」と「2 簡単なもの」による区分を廃止するとともに、以下のような見直しを行う。
ア 1人の患者に対して1対1で 20 分以上の指導を行った場合について、単一建物診療患者の人数に応じた評価に見直す。
イ 複数の患者に対して 40 分以上の指導を行った場合の評価を適正化するとともに、在宅療養患者に対する専門的口腔衛生処置の評価を新設する。
ウ 指導内容に口腔機能に関連する療養上必要な指導を追加する。
4 入院患者や介護保険施設入所者等に対し、関係者間の連携に基づく口腔 機能管理を推進する観点から、歯科疾患在宅療養管理料の栄養サポートチ ーム連携加算について、以下のような見直しを行う。
ア 栄養サポートチームやミールラウンドに限らず、多職種チームや介護保険施設等での関係者会議等に参加し、その結果を踏まえた口腔機能管理を評価する。
イ 要介護高齢者に対する口腔機能管理を充実させる観点から、栄養サポートチーム連携加算2について、認知症対応型共同生活介護等の利用者を対象に追加する。
5 在宅等で療養する患者の口腔機能管理を推進する観点から、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料について、以下のような見直しを行う。
ア 30 分以上の指導管理という時間要件を緩和する。
イ 栄養サポートチーム等と連携して行った場合の評価を新設する。
6 通院困難な小児に対する歯科訪問診療を充実させる観点から、口腔衛生 指導・管理や口腔機能管理等を包括した評価を新設する。
(21) 薬剤師、管理栄養士の訪問指導料について、単一建物診療患者の人数に 応じた評価に見直す。
(22) かかりつけ薬剤師による在宅対応を推進するため、無菌製剤室の共同利 用などの評価を見直す。
I-6 国民の希望に応じた看取りの推進
(1) 訪問診療のターミナルケアに係る評価について、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等も含めた対応をすることを要件とする。また、訪問看護のターミナルケアに係る評価について、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等も含めた対応をすることを要件とするとともに、その評価を充実させる。
(2) 地域包括ケア病棟入院料及び療養病棟入院基本料について、在宅等からの 患者の受入れに係る加算等の要件に、入院時に関係機関と連携し、治療方針に関する患者・家族の意思決定に対する支援を行う体制を構築することなどを追加する。(I-1(11) 再掲)
(3) 医療機関を含む関係機関等が連携し、患者の希望に沿った看取りを患者が 入院した医療機関において行った場合も、入院するまでの間、当該患者に対して訪問診療を行っていた医療機関の看取り実績や訪問看護のターミナルケアの実績となるよう、取扱いを見直す。
(4) 要介護被保険者等である末期のがん患者に対し、訪問診療に係る医学管理 料を算定する場合について、患者のケアマネジメントを担当する介護支援専 門員との情報共有を要件とする。
(5) 訪問診療を提供する末期のがん患者のターミナルケアに際して、在宅で酸 素療法を行う場合の評価を新設する。
(6) 特別養護老人ホーム等の入所者に対して、外部の医療機関や訪問看護ステーションがターミナルケアを含む往診・訪問診療等を提供した場合、施設の 体制に応じて、ターミナルケアに係る診療報酬等の算定を可能とする。
I-7 リハビリテーションにおける医療と介護の連携の推進
(1) 疾患別リハビリテーションについて、末梢神経損傷等の患者や回復期リハビリテーション病棟から退棟後3ヶ月以内の患者等を算定日数上限の除外対象に追加する。
(2) 回復期リハビリテーション病棟専従のリハビリテーション専門職について、一定の要件の下、外来や訪問でのリハビリテーションの提供を可能とする。(I-3(12)3 再掲)
(3) 要介護被保険者等に対する維持期・生活期のリハビリテーションに係る疾患別リハビリテーション料を見直すとともに、算定が可能な期間を平成 30年度末までとする。
(4) 維持期・生活期のリハビリテーションについて、介護のリハビリテーションとの併用に係る施設や人員の要件を緩和する。
(5) 医療機関と介護保険のリハビリテーション事業所で、リハビリテーション実施計画書を共有化できるよう、様式を見直すとともに、介護保険のリハビ リテーションに移行する患者について、医療機関が介護保険のリハビリテー ション事業所にリハビリテーション実施計画書を提供した場合の評価を新 設する。