医療・介護でございますが、この20年で、オレンジ色の公費だけでなく、青色の保険料負担も大幅に増加しております。今後は、公費だけでなく、保険料負担を抑えるため、医療・介護の給付全体を抑えていく改革が必要かと思います。特に年末には、診療報酬・介護報酬の同時改定がありますが、これらを例えばプラス1%引き上げますと、保険料負担が3,000億円増えるということは念頭に置いておくべきかと思います。
医療のところですが、問題はたくさんあると思うのですが、一つ、私から言わせていただきたいのは、今回の御報告の中でも、それから、主計官の御説明の中でもいろいろ御説明くださっていた医療の世界のというか、一般の国民の目から見たら、やはり特別扱いされているのではないかなというのがコロナ禍であらわになったような側面もあるのではないのかなと思います。
やはりびっくりしますのは、39ページのところにある病院診療所の経費構造のことで、診療所の院長先生の給与費が3,000万円とかいって、「えっ」と、やはりみんなびっくり、目が点になると思うのですが、こうした世界なのだなと。それから、コロナ病棟が足りないとか、必要な診療科に必要なお医者様が回っているかどうかという問題は、これはコロナ以前からいろいろ言われていたことではあったというふうに思うのですが、やはり48ページの辺り、これは権丈先生が別の会議で言われている話ですが、自由開業医制であるとか、自由標榜制であるとかということ、また、フリーアクセスということが条件が重なると、やはりこうしたことになってしまうと思うのですが、こうしたところも含めて、開業規制などに関しても、これは77ページの辺りですか。御指摘くださっていますが、やはりこれだけ社会保障費、特に医療の部分は私たち国民は使う側でもあるが、負担もやはりそれなりにしているわけで、必要なときに必要な医療がきちんと受けられるような体制を国として整えていく必要があるのではないのかなと思います。
「地域医療連携推進法人」、山形県と兵庫県の例を挙げていただいておりますが、私はそちらは両方訪れておりましたが、医療ニーズに見合った提供体制の改革がしっかりと進められているところです。病院経営は、経営者による経営権の保持と、病院の持続可能性の維持との間で選択しているようでして、人口減少などで経営の持続性が危うくなると、連携統合を進め、地域医療構想が描く方向に動くという仮説も立てることができます。つまり、なぜ地域医療構想が進まないのかというと、まだ経営にゆとりがあるからということになります。
しかし、将来、必ず医療需要は減少していきます。誰よりも先に競争よりも協調に転じた人たちは、多方面にわたって、良い面を持っていますので、彼らが模範となるような制度を今後とも検討していってもらいたいと思っております。
最後、59ページでございます。これまで看護配置に基づいて病院の機能分化が行われてきたわけですが、看護配置というインプット指標は、病床が果たしている医療機能を代理するにはかなり距離がある指標と言うことができます。病院の機能分化は、本来は果たしている医療機能に基づいて行うべきものですので、患者の重症度などの実績を反映した体系に展開していくということは当然のことであると思います。
今日あまり出ませんでしたが、障害福祉サービス等の問題で、110ページです。これで、要は10年で2倍になっているという話がありまして、私は、これはある意味当然であると思うのです。なぜかというと、少子高齢化が進んでいると、一方で女性のM字カーブが少し復元しているように、これはつまり日本では共働きが増えてきて、一方で核家族化が進んでいます。2020年に国勢調査が出まして、そこで日本の世帯数は、平均世帯人員が2.21と、世帯数は過去最高です。人口のピークは2008年から2010年ですが、世帯数はずっと今増えていまして、前回の国立社会保障・人口問題研究所の推定によると、今年にピークになると。実は本当は新しい推計が今年出るはずだったのですが、人口動態、将来人口推計自身1年遅れたので、おそらく来年の春になると思うのですが、つまり、まだまだ世帯数が増える可能性があるのです。世帯数が増えるということは、平均世帯人員がどんどん減っていくと。
最後に介護ですが、99ページに社会保障審議会の介護保険部会の意見書が出ています。私も社会保障審議会介護保険部会の委員は2007年から2018年まで、4期の改定にまつわるところで議論に関わらせていただきました。2018年には退任しているのですが、そのときの意見書というのは、こんな腑抜けな意見書だったかなというふうに思うわけです。あまりにも問題を先送りにし過ぎていると言わざるを得ないと。もちろんこれらの99ページにある内容というのは、その当時も問題だったが、しっかり改革せよと応援をしていたが、いろいろな事情で実現しなかった。ところが今回の2022年12月のこの意見書は、もう明らかに先送りするというようなことを明言している部分が多々あって、せめてこの青字や赤字になっているところの、結論を得ると言っているところは、今年きちんと改革する方向で意見をまとめていただきたいというふうに思います。