参考まで

  • 1.日時令和5年5月11日(木)14:00~16:00
  • 2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)
  • 3.出席者(委員)増田寛也、大槻奈那、河村小百合、熊谷亮丸、小林慶一郎、武田洋子、土居丈朗、藤谷武史、宮島香澄、上村敏之、小黒一正、木村旬、國部毅、権丈英子、末澤豪謙、角和夫、伊達美和子、田中里沙、中空麻奈、平野信行、福田慎一、堀真奈美、神子田章博、村岡彰敏、横田響子、吉川洋(敬称略)(財務省)秋野副大臣、金子大臣政務官、青木大臣官房長、新川主計局長、寺岡次長、中村次長、前田次長、八幡総務課長、松本調査課長 他

4.議題

  • 事務局説明
  • 財政総論(補足)
  • 財政各論③:こども・高齢化等

5.議事内容

  • 「財政総論(補足)」「財政各論③:こども・高齢化等」について事務局から資料に基づいて説明があった。
  • 各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

【財政総論(補足)】

<委員からの御意見>

  • コロナ対策の正常化に関する取組については、新型コロナが感染法で5類になったため、病床確保料、雇用調整助成金は速やかに見直しをしたほうが良い。また、個別事業だけではなく、全体的に膨大な公費が本当に有効であったかどうかを国民にも分かるようにしていく必要があるのではないか。
  • フューチャーデザインは、熟議民主主義、デリバラティブ・デモクラシーの取組の一つである。熟議民主主義は様々な政策課題をいろいろな立場・視点から論じることであり、将来世代の視点を入れるということも、まさに熟議の一つ。
  • フューチャーデザインは、一般の社会人や大学生、高校生などへの教育の一環としてだけでなく、役所や企業の中などでも活用に取り組んでいただきたい。
  • フューチャーデザインは、社会全体の巻き込みが非常に必要である。今後の進捗をまた共有していただきたい。
  • フューチャーデザインの研修について、参加した人に対し、具体的なインセンティブが何なのかを示せると良いのではないか。

【財政各論③:こども・高齢化】

<委員からの御意見>

(総論)

  • 現在社会保険料の負担だけで30%程度あり、今後、社会保障給付費が引き続き伸び続けると、国民負担は50%を超えてもおかしくない。ここ30年ほど可処分所得が伸び悩んでおり直接税は横ばいないしは微減である一方で、社会保険料は8割ぐらい負担増となっている。中長期的な経済成長率と乖離しないように、社会保障給付費の伸びを微調整するような仕組みについて考えることが必要。
  • 負担について、応能負担、受益者負担をより重視した制度に改めていくことが必要。3割の自己負担となる現役並み所得基準の見直しを早期に実現していただきたい。また、所得だけではなく、資産を把握した上でそれを考慮するような応能負担に踏み込むべき。
  • 全世代型の社会保障について、その負担を検討する際、所得だけではなく資産も含まれるべき。また、これまでの社会保障の充実は、消費税の増税が背後にあったから実施できているわけであり、今後の社会保障の充実を求める際には、消費税を財源の候補から外す必要はない。
  • これまで政府は、2025年を目標年次として社会保障改革に取り組んできたが、何が実現できて、何が実現できていないかを明確にすべき。また、終わった段階で政策を検証して、次につなげる体制を整えるべき。政策体系全体を捉える評価改善スキームも併せて検討すべき。
  • 全世代型社会保障に向かっているという方向性そのものは良いが、実際は必ずしも全世代型になっておらず、年齢に寄与する負担がかなり残っている。年齢だけで説明できないような負担の差については内容を見直すことが必要。
  • 社会保障改革について、長期的に持続可能な制度のトータルビジョンを定める、その財源は税も含めて歳入面を見直す、給付と負担に関して国民のコンセンサスを得るという三つの段階のステップで進められるべきもの。昨年末、全世代型社会保障構築会議が報告書を取りまとめ、トータルビジョンが示されたが、税を含めた歳入面の見直しや国民のコンセンサスはこれから。民間の有識者にとどまらず、与党内の各会派、野党の意見も取り入れながら、国民のコンセンサスを得ることを視野に入れて成案を得ることが必要。
  • こども関連予算は、実は過去9年でほぼ倍増しているが、少子化には歯止めがかかっていない。こうした厳しい現実を踏まえて、効果的な対策を検討しなければ、単なるバラマキに終わってしまいかねない。
  • 費用対効果をよく勘案すべき。児童手当や多子加算は真に必要な世帯に重点化し、効果がより高い施策に重点化して取り組む必要がある。また、未婚率に2倍の差がある雇用格差への対処も重要。
  • 財政支出以外の対策についてもきちんと取り組んだ上で、財政支出の理念を明確にして、効果的な対策に絞って実施することが大事。
  • 異次元の少子化対策について、単に政府の財政支出が異次元であると解釈されないように議論を持っていくことが大事。社会全体の仕組みを抜本的に変えることのほうがむしろ大事。
  • 少子化対策を異次元のものにする上で重要なのが、社会全体の構造、意識を変えること。若い世代の多様な価値観にどう応えていくか、子育て世帯の在り方に対する常識にとらわれず、社会構造の変革を視野に入れて、幅広く議論していくことが必要。
  • 少子化対策について、企業を含め社会・経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で、広く負担していく新たな枠組みをつくることは賛成だが、人口動態的に、今後子育て世帯のウエイトがどんどん減っていく中、負担感に対する忌避感が出てくることが考えられることから、早急に枠組みをつくらないといけない。
  • こども・子育てや教育の分野は、どういったものが効果があるのかエビデンスが出るまでに時間がかかることが難点。早期にできる限りのデータを惜しみなく出すことによって、その効果検証を早くから進めていただきたい。
  • 社会全体で子育てをしていくという認識と、子育てを終えた人たちが知見を生かしていくための投資だと考えてもらうような世論形成が非常に重要。子育ては、子供が生まれて社会人になるまでにはおおむね20年かかるため、若い世代が子を持つことの不安や負担感を払拭するためのプログラムについて20年のスケジュールを共有することが有効。その中で、国の政策・予算と、企業・産業界の連携を考えて制度設計ができれば良いのではないか。
  • 少子化対策は若い人への気持ちの上での働きかけが重要。例えば離婚家庭への養育料の強制徴収を進めたり、婚外子や選択的夫婦別姓の許容など、結婚や出産に少しでもマイナスに働くものを動かすことも必要。その際、若い人や当事者の気持ちに沿ってルールを変えるべき。
  • 少子化対策について、お金をかけないでやれることは随分たくさんある。企業ができることといえば、もちろん賃上げが第一、2番目には男女の所得格差をなくす、正規・非正規の格差をなくす、それから、職場での働き方改革により男性の社員たちが家事育児を分担できるように社内の制度を整える。これらで随分変わると思う。
  • 高校生で金がかかるのは塾代。公教育の在り方を変えて、塾に行かないと勉強できないという体制を解消すべき。
  • こどもが欲しい人が持てるようにするためには、経済的な負担をなくす、将来の不安をなくす。もう一つは、こどもにこの日本を受け継ぎたいと思えるよう社会保障制度の持続可能性も含めて、この国をどんな国にしていきたいかというフューチャーデザインが非常に大事。

(少子化)

  • 児童手当について、国として手当をどう配るかは、国としての姿勢を表す面でもあり、所得制限を撤廃することに賛成。ただ、受け取る側の経済力に差があるというのも事実であるため課税所得に算入するなどバランスを取っていくことができれば良いのではないか。
  • 予想される出生率の改善効果を必要とされる財政支出額と比較して、言わばB/C的な観点から政策の優先順位づけを行うべき。児童手当に関して、定量的な分析などを踏まえて、一律ではなく資金を重点配分していると説明できる形にしていただくことが肝要。
  • 効果的な対策という観点からは、児童手当の増額の対象は、多子世帯、こども3人以上にするというのは有力な考え方である。
  • 児童手当は過去30年で約10倍に増やしてきたが、これだけの資金を投じて、期待した効果が得られたのか。児童手当の更なる拡充に踏み出す前に、また同時に、これまでの政策による効果を検証すべき。
  • 児童手当について、当分科会では令和2年11月の「令和3年度予算の編成等に関する建議」において、所得制限を超える者への特例給付については廃止するべきであると明言している。財審の建議が付和雷同だと言われないような形で今回の建議を取りまとめることが必要。
  • 児童手当の所得制限の撤廃は不要だと考えている。上限額を引き上げてもよいが、対象にすべき人とそうではない人と分けてよいのではないか。経済的に安定している家庭においてこども向けの手当は不要。給付金が増えても少子化に歯止めがかかっておらず、手当をばらまくのではなく、仕組みを考えるべき。そのために、少子化の原因・課題をもっと深掘りして、経済的支援では終わらない異次元の提案をしていただきたい。
  • こどもを持つかどうかは気持ちの問題が大きく、1回つけたものを剝ぐのは、メッセージとしては、つけなかったときよりもマイナスであると考えている。そのため、今回児童手当を拡充するときは、後になって、やっぱり少し減らしますといったことにはならないように、財源や効果を十分に吟味した上で、子育ての安心感と、お金を出す側の納得感のある形になるようしっかり考えていただきたい。
  • 児童手当は、一律に増額する必要はない。ただし、一定の低所得者と多子世帯については政策的な効果が大きいため、そこに絞って考えるべき。
  • 多子世帯は、教育費だけではなくさまざまなコストがかかる。児童手当でも配慮されてしかるべき。
  • 3人以上の子供がいる世帯が非常に減少していることが一番大きいポイント。この部分に集中的に支援することによって全体の出生率を引き上げていくという政策にすれば、財源的な節約もしながら対策ができるのではないか。
  • こどもを希望する方々に阻害要因や躊躇する理由を聞いた内閣府実施のアンケートにおいて、第三子目でようやく第一に経済的理由が挙がる。多子世帯については経済的要因を補助することで、希望する方々が産み育てることが増えていき、少子化対策にもなると考えている。
  • 一人っ子世帯が増えていることにも注目すべき。こどもを一人から二人に移行しないのは、経済的なものよりも、ワンオペ、いわゆる母親だけに家事育児が偏ってしまっていることが原因。男性の家事育児の参加を積極的に促すために、どのように社会の価値観を変えていくのかを考えていくべき。また、こどもたちが小学校以降、両親ともに働いている中でどうやって生活していくのか、社会的なインフラとして対応していく仕組みづくりも必要。
  • 財源について、公費中心でしかるべき。消費税だけでなく、次の世代の格差是正の意味も含めて、資産課税の活用も考えてはどうか。
  • 財源について、まずは歳出全体を改革することが必要。その際、社会保障予算の枠内だけでなく、非社会保障含めて大胆にスクラップ・アンド・ビルドを進めることが大事。その上で、国民に負担を求める場合は、現役世代にその負担が集中しがちな社会保険料よりは、高齢者も含めて広く負担する消費税のほうが望ましい。
  • 今は物価高で家計も苦しくなっている中で、果たして消費税で負担を求めることが妥当なのかどうかという議論もあると思う。当面は比較的余裕のある事業者や富裕層に負担をお願いして、将来的に消費税をという時間軸も考慮した適切な組合せを探ることも大事。
  • 今は子育ては社会全体で支えるという国の在り方を大きく変えようとしている段階にある。新しい財源調達の在り方を工夫することにより、つながりが持てる社会になり、そのつながりに全員が参加しているという意識を涵養することができる方法を是非考えていただきたい。
  • 少子化対策の財源の在り方について、現状がどうなっており、改革の後どうなるのかについて、しっかり国民に知らせていくことが必要。社会保障は制度が非常に入り組んでいて分かりにくい。給付と負担がどのような構造になっているのか、一層の見える化の努力が必要。
  • 財源は、国債に依存するのではなく、子育て世帯にとって負担増とならないよう、消費税を含む税と社会保険料の最適な組合せで捻出すべき。
  • 財源については、国債ではなく、税金、企業からの保険料、優先度の低い予算を削ってそこから持ってくること。高齢者からこどもへ予算をシフトするという考え方だと、世代間の争いが起きてしまう。非効率から効率へという考え方、これまで有効に使われなかった予算を有効に使うという考えで、予算編成に臨んでいただきたい。
  • 子ども・子育て政策の枠を超えた全世代型社会保障改革の視点を堅持しつつ、給付の効率化等によって、医療保険・介護保険制度の改革を断行して、現役世代の保険料負担の増加を極力抑制する取組が極めて重要。

(医療)

  • 医療・介護の制度改革について、既存の社会保障予算の適正化、効率化も徹底していくことが必要。基本的には、大きなリスクは公助、小さなリスクは共助や自助という原則に基づいて、保険の給付範囲の見直しや自己負担の更なる見直しの議論を進めるべき。
  • 高齢者の暮らしについて、介護等だけではなく、住むところや地方で暮らす方々の足の問題、交通網の問題等々、非常に多くの問題が出てきている。将来を見据えた形での政策を考えるときには、生活全体の改革、保障を念頭に考えていくことが必要。
  • 手当を配付するに当たっては、郵便物が来て、それで手続きをするといった形となっており、全くDX化されていないという印象。マイナンバーカードを活用することも含めて、DX化により合理化を図っていくことも必要。
  • 医療の世界は、一般の国民の目から見たら、特別扱いされているのではないかということがコロナ禍であらわになった側面もある。
  • 必要な診療科に必要な医師が回っているかどうかという問題は、コロナ以前からの問題ではあるが、必要なときに必要な医療がきちんと受けられるような体制を国として整えていく必要がある。
  • 医師の報酬は税金と保険料。医療機関や医師の自由度はもう少し狭めた形で国の政策に協力する職業という形の業にするべきではないか。
  • 法律で、病院の義務づけを増やしたり、開業を含めてもっと強力に配置を調整できるようにしたりしないと、今後更に厳しい状況になる医療資源が効率的には配分されないのではないか。若年人口がこれだけ減る中で、医療体制が合理的で適切な形に強制力を持ってできないと、日本全体の人材資源にも大きな悪い影響が出るのではないか。
  • 医療費の財源については、事業主や企業の負担も含めて検討が必要。現役世代との負担の公平性、現役世代の負担軽減という観点から、基本的には後期高齢者医療制度の2割負担についても、前期高齢者と同じ形にするのも良いのではないか。
  • 医療費をこれからどう把握してコントロールしていくかが、今後数十年の財政運営の肝になる。医療機関の経営情報のさらなる見える化が必要。経営情報のデータベースについては、国民への説明責任の観点を踏まえて、職種別の給与や人数の提出を義務化することを財審としてもしっかり求めていくべき。
  • 医療経営の見える化が重要。また、任意提出となっている職種別の給与は、経営の中の一番重要なデータであり、それが共有されず分析ができないというのは、非常に戦略性に欠ける。
  • 経営情報の見える化は当然必要。そのためには、見える化させることで医療機関側にもプラスになるものがあればより速く取組が進むのではないか。
  • 医療統計の整備が必要。それなくしてPDCAやEBPMの取組もできない。
  • 医療政策にかかった費用を統計的にしっかり把握することが重要。OECDの公式統計であるヘルス・エクスペンディチャーの基準に則って、国内の統計情報の集計や区分、推計方法を大幅に見直すことを求めたい。
  • 2015年に次世代医療基盤法が改正され、いわゆる医療情報をビッグデータとして、匿名化をした上で、医療の発展や創薬、新薬の開発等に役立てていこうという話でスタートしたが、残念ながら止まっている。これと全国医療情報プラットフォームとを連携させるとより良くなるのではないか。
  • コロナ禍の予算の検証と見える化が重要。政府として国民に説明責任を果たすためにも、また次のパンデミックに生かすためにも、是非5類になった今こそ総括検証し、次に向けて改善点を整理いただきたい。問題の一つとして、補助金とセットでデータの提出、見える化を求めなかったことがあると思っており、その点を是非今後仕組み化できないか検討いただきたい。
  • 今回のコロナ禍で、世界に冠たると言われてきた日本の医療体制の脆弱性があらわになった。目指すのは、無駄なく効率的かつ危機時にも強靱で、持続可能な医療体制。急性期を中心とする大病院と、かかりつけ医を組み合わせた最適な医療提供体制をまずしっかりデザインした上で、再編に向けて国と自治体がいかにイニシアチブを発揮できるかがポイント。
  • コロナが終わりかけの今こそ、どういう問題があったのかをきちんと検証しなければならない。医療機関の役割分担ができていなかったことを反省し、病院の役割をきちんと法整備まで持っていく必要があるのではないか。
  • 地域医療構想が進まないのは、まだ経営にゆとりがあるからである。しかし、将来必ず医療需要は減少していく中で、競争よりも協調に転じた人たちが模範となるような制度を今後とも検討していってもらいたい。
  • 病院の機能分化は、これまで看護配置に基づいて行われてきたが、看護配置というインプット指標は、病床が果たしている医療機能を代理するにはかなり距離がある指標である。病院の機能分化は、本来果たしている医療機能に基づいて行うべきものであり、患者の重症度などの実績を反映した体系に展開していくことが必要。
  • 今回公立病院の経営が急激に改善しているが、パンデミックの中で大赤字が大黒字になるのはおかしいこと。次の危機に対する備えとして、検証し直すことが必要。
  • 未来の非常時に備えるためにも、医療提供体制の構造課題を解決することは非常に重要。民間の中小規模の病院が多く医療資源が散財しているが、点ではなく面で地域の実情に応じて連携できるという意味では、地域医療連携推進法人はとても良い。場合によっては、地域や地区の医師会も中心になって連携を進める、責任を持たせて進めることもあるのではないか。
  • 地域医療構想について、医療計画の責任主体である都道府県知事にもっとリーダーシップを発揮していただき、全国一律でなく都道府県独自でもできることは進めてもらえるような環境整備が必要。
  • 医師の偏在、診療科の偏在が深刻になれば、日本全体の国民皆保険の維持も難しくなる。対策の更なる検討が必要。
  • 急性期医療について、単純に全国一律の人員配置を基準とするのではなく、急性期で求められる実績あるいはアウトカムに応じたものに転換していくという視点が重要。
  • 医療について地域医療構想、タスクシェア、タスクシフト、リフィル処方箋、DX、規制改革、制度改革などを、予算の手当てと両輪でしっかりやっていっていただきたい。
  • かかりつけ医機能を持つ医療者ないしは医療グループを公的に認定して、そこに責任を持ってもらう。代わりに、しかるべき報酬の枠組みをつくるといった追加的な措置を検討いただきたい。
  • 新薬開発について、薬価に関してもその促進への配慮が必要であることは分かるが、これだけで決める話ではなく、科学技術政策と併せて国としての取組を強化していく必要がある。
  • 医薬品について、グローバル市場で稼げるように産業競争力を持たせていく、そのために産業構造の転換にお金を使うことは投資として非常に重要。流通の近代化や販売データの見える化なども含めて、総合的に医薬品産業全体の構造転換を進めていくことが必要。
  • 薬価制度については、社会保障の持続可能性との両立という視点も重要であり、保険償還の在り方や自己負担、保険給付範囲の在り方も含めて検討が必要。
  • 薬の自己負担について、薄く広く負担増とすることが必要。薬価を財政の観点から取り上げると、どうしても引き下げるとの話になるが、同時に、日本の医療メーカーの競争力をどうするかも考えなければならない。薬価の引き下げによって日本の医療メーカーの競争力がそがれているのではないかということも考えなければいけない。
  • リフィル処方箋について、その活用促進のため、薬剤師から処方医への働きかけを評価する仕組みはもちろん、OTC類似薬の場合薬剤師の判断で切替えをできるようにすることは早急に検討していくべき。また、状況によっては診療報酬へのダイレクトな反映も検討していくべき。
  • リフィル処方箋については、患者・消費者の認知度がものすごく低い。認知向上が生み出す効果を試算して、目標設定をして認知向上に取り組めると良いのではないか。
  • 令和4年度診療報酬本体の改定率がプラス0.43%で、そのうちのマイナス0.1%がリフィル処方箋の普及によって、その分改定率を下げられるということで取りまとめられたにもかかわらず、たかだか0.01%のマイナスにとどまっているということであれば、令和6年度診療報酬改定では、その未達の分は診療報酬を上げないなどしっかり実績を次の診療報酬改定に反映させるような形にすべき。
  • リフィル処方については、広報周知を進めるとともに、診療報酬そのもののDXを進めることで、患者・医療機関お互いにとってメリットが見えてくるのではないか。

(介護)

  • 平均的に保険料負担が増えないようにするには、利用者負担の2割を拡大することが欠かせない。介護事業者の大規模化の働きかけを介護報酬にも織り込みながら、価格面・制度面で進めていくような取組も欠かせない。
  • 介護についても医療と同様、ICTの活用が非常に重要。医療と介護の負担に関して、例えば高額医療・高額介護合算療養費制度があり、制度そのものもトータルで見たときの整合性が必要。
  • 過剰給付を見直すべき。要介護度の認定に関しては自治体ごとのばらつきが大きく、過大認定もある。これを是正することが必要。また、軽度要介護者向けのサービスを介護保険から地域事業に一部移行する案が見送られているが、これも再度検討する必要がある。
  • 全て公の負担で賄うのではなく、民間や地域でやれることは、民間や地域が担うという発想に変えていかなければならない。介護の受皿として地域コミュニティーの能力を引き上げ、介護保険から地域、民間への移行範囲の拡大を目指すべき。

(障害福祉)

  • 今後、平均世帯人数の減少が見込まれる中、家庭内では対応が困難となる。介護や障害福祉のニーズはアウトソースするしかなくなるため、その対応を早急にしていかなければならない。