令和6年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)が発表になりました。

令和6年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)が発表になりました。

令和6年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)

平成30年度の診療報酬、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬の同時改定では、団塊の世代が全て75歳以上の高齢者となる2025年に向けた道筋を示すものとして、医療機能の分化・強化、連携や、医療と介護の役割分担と切れ目のない連携を着実に進める改定が行われ、令和2年度診療報酬改定では、重点課題として医師等の働き方改革等の推進に取り組んだ。

令和4年度診療報酬改定では、これらの取組を更に推進するとともに、新型コロナウイルス感染症への対応や、感染拡大により明らかになった様々な医療提供体制の課題に対応した。

令和6年度診療報酬改定では、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえ、これまでの改定の流れを継承しながら、ポスト2025年のあるべき医療・介護の提供体制を見据えつつ、DX(デジタルトランスフォーメーション)等の社会経済の新たな流れも取り込んだ上で、効果的・効率的で質の高い医療サービスの実現に向けた取組を進める必要がある。

また、診療報酬改定DXの推進に向け、医療機関・薬局等やベンダの集中的な業務負荷を平準化するため、令和6年度診療報酬改定から施行時期を6月1日とする。

(1)現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進【重点課題】

(基本的視点)
2023 年の春闘などを通じて賃上げが行われているものの、医療分野では賃上げが他の産業に追いついていない状況にある。そうした中で、医療分野における人材確保の状況は、目下のところ、高齢化等による医療需要増加の一方、有効求人倍率が全職種平均の2~3倍程度の水準で高止まるとともに、入職率から離職率を差し引いた医療分野の入職超過率は0%に落ち込むなど悪化している状況であり、また、長期的にも、人口構造の変化により生産年齢人口の減少に伴った支え手不足が見込まれる。

このような状況を踏まえ、必要な処遇改善等を通じて、医療現場を支えている医療従事者の人材確保のための取組を進めることが急務である。その際、特 に医師、歯科医師、薬剤師及び看護師以外の医療従事者の賃金の平均は全産業平均を下回っており、また、このうち看護補助者については介護職員の平均よりも下回っていることに留意した対応が必要である。

加えて、医師等の働き方改革を進め、健康に働き続けることのできる環境を整備することは、患者・国民に対して提供される医療の質・安全を確保すると同時に、持続可能な医療提供体制を維持していく上で重要である。診療報酬においてはこれまで、タスク・シェアリング/タスク・シフティングやチーム医療の推進等、医療従事者の高い専門性の発揮と医療機関における勤務環境改 善に資する取組を評価してきたところ。2024 年(令和6年)4月から、医師について時間外労働の上限規制が適用される予定であるが、同規制の適用以後も、引き続き、総合的な医療提供体制改革の進展の状況、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点等を踏まえながら、診療報酬の対応がより実効性のあるものとなるよう検討する必要がある。

(具体的方向性の例)
医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組
・ 令和4年度に実施した看護職員の処遇改善に係る取組や令和5年 11 月の 経済対策も踏まえつつ、医療従事者の賃上げに向けた取組の推進。

各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するための勤務環境の改善、 タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進

業務の効率化に資する ICT の利活用の推進、その他長時間労働などの厳し い勤務環境の改善に向けての取組の評価

地域医療の確保及び機能分化を図る観点から、労働時間短縮の実効性担保 に向けた見直しを含めた必要な救急医療体制等の確保

多様な働き方を踏まえた評価の拡充

医療人材及び医療資源の偏在への対応

(2)ポスト 2025 を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療 DX を 含めた医療機能の分化・強化、連携の推進

(基本的視点)
団塊の世代が全て 75 歳以上となる 2025 年に向けて、医療機能の分化・連携や地域包括ケアシステムの構築が進められてきたが、2025 年以降も人口減 少・高齢化が進む中、患者の状態等に応じて質の高い医療を適切に受けられる よう、介護サービス等と連携しつつ、切れ目のない提供体制が確保されること が重要である。

このため、医療 DX を推進し、今般の感染症対応の経験やその影響も踏ま えつつ、外来・入院・在宅を含めた地域全体での医療機能の分化・強化、連携 を着実に進めることが必要である。
(具体的方向性の例)
医療 DX の推進による医療情報の有効活用、遠隔医療の推進
・ マイナ保険証を活用した、質が高く効率的な医療の提供。
・ 電子処方箋の普及、電子カルテ情報の3文書・6情報(診療情報提供書、 退院時サマリー、健康診断結果報告書、傷病名、アレルギー情報、感染症情 報、薬剤禁忌情報、検査情報(救急及び生活習慣病)、処方情報)の入力・ 管理、入院診療計画書等の電子的な文書提供等の医療情報の標準化・ICT の活用等を通じて、医療連携の取組を推進。

生活に配慮した医療の推進など地域包括ケアシステムの深化・推進のための取組
・ 医療機関間や医療機関と薬局・訪問看護ステーション等との連携、医科歯科連携、医療と介護の連携、医療と障害福祉サービスの連携、その他の地域 の保健・福祉・教育・行政等の関係機関との連携も含め、地域包括ケアシス テムの深化・推進のための多職種連携・協働の取組等を推進。
・ 高齢化する障害者施設における適切な医療提供に向けた取組等の推進。

令和6年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)が発表になりました。

平成30年度の診療報酬、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬の同時改定では、団塊の世代が全て75歳以上の高齢者となる2025年に向けた道筋を示すものとして、医療機能の分化・強化、連携や、医療と介護の役割分担と切れ目のない連携を着実に進める改定が行われ、令和2年度診療報酬改定では、重点課題として医師等の働き方改革等の推進に取り組んだ。

令和4年度診療報酬改定では、これらの取組を更に推進するとともに、新型コロナウイルス感染症への対応や、感染拡大により明らかになった様々な医療提供体制の課題に対応した。

令和6年度診療報酬改定では、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえ、これまでの改定の流れを継承しながら、ポスト2025年のあるべき医療・介護の提供体制を見据えつつ、DX(デジタルトランスフォーメーション)等の社会経済の新たな流れも取り込んだ上で、効果的・効率的で質の高い医療サービスの実現に向けた取組を進める必要がある。

また、診療報酬改定DXの推進に向け、医療機関・薬局等やベンダの集中的な業務負荷を平準化するため、令和6年度診療報酬改定から施行時期を6月1日とする。

(1)現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進【重点課題】

(基本的視点)
2023 年の春闘などを通じて賃上げが行われているものの、医療分野では賃上げが他の産業に追いついていない状況にある。そうした中で、医療分野における人材確保の状況は、目下のところ、高齢化等による医療需要増加の一方、有効求人倍率が全職種平均の2~3倍程度の水準で高止まるとともに、入職率から離職率を差し引いた医療分野の入職超過率は0%に落ち込むなど悪化している状況であり、また、長期的にも、人口構造の変化により生産年齢人口の減少に伴った支え手不足が見込まれる。

このような状況を踏まえ、必要な処遇改善等を通じて、医療現場を支えている医療従事者の人材確保のための取組を進めることが急務である。その際、特 に医師、歯科医師、薬剤師及び看護師以外の医療従事者の賃金の平均は全産業平均を下回っており、また、このうち看護補助者については介護職員の平均よりも下回っていることに留意した対応が必要である。

加えて、医師等の働き方改革を進め、健康に働き続けることのできる環境を整備することは、患者・国民に対して提供される医療の質・安全を確保すると同時に、持続可能な医療提供体制を維持していく上で重要である。診療報酬においてはこれまで、タスク・シェアリング/タスク・シフティングやチーム医療の推進等、医療従事者の高い専門性の発揮と医療機関における勤務環境改 善に資する取組を評価してきたところ。2024 年(令和6年)4月から、医師について時間外労働の上限規制が適用される予定であるが、同規制の適用以後も、引き続き、総合的な医療提供体制改革の進展の状況、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点等を踏まえながら、診療報酬の対応がより実効性のあるものとなるよう検討する必要がある。

(具体的方向性の例)
医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組
・ 令和4年度に実施した看護職員の処遇改善に係る取組や令和5年 11 月の 経済対策も踏まえつつ、医療従事者の賃上げに向けた取組の推進。

各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するための勤務環境の改善、 タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進

業務の効率化に資する ICT の利活用の推進、その他長時間労働などの厳し い勤務環境の改善に向けての取組の評価

地域医療の確保及び機能分化を図る観点から、労働時間短縮の実効性担保 に向けた見直しを含めた必要な救急医療体制等の確保

多様な働き方を踏まえた評価の拡充

医療人材及び医療資源の偏在への対応

(2)ポスト 2025 を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療 DX を 含めた医療機能の分化・強化、連携の推進

(基本的視点)
団塊の世代が全て75歳以上となる 2025年に向けて、医療機能の分化・連携や地域包括ケアシステムの構築が進められてきたが、2025年以降も人口減少・高齢化が進む中、患者の状態等に応じて質の高い医療を適切に受けられるよう、介護サービス等と連携しつつ、切れ目のない提供体制が確保されることが重要である。

このため、医療DXを推進し、今般の感染症対応の経験やその影響も踏ま えつつ、外来・入院・在宅を含めた地域全体での医療機能の分化・強化、連携を着実に進めることが必要である。
(具体的方向性の例)
医療 DX の推進による医療情報の有効活用、遠隔医療の推進
・ マイナ保険証を活用した、質が高く効率的な医療の提供。
・ 電子処方箋の普及、電子カルテ情報の3文書・6情報(診療情報提供書、 退院時サマリー、健康診断結果報告書、傷病名、アレルギー情報、感染症情 報、薬剤禁忌情報、検査情報(救急及び生活習慣病)、処方情報)の入力・ 管理、入院診療計画書等の電子的な文書提供等の医療情報の標準化・ICT の活用等を通じて、医療連携の取組を推進。

生活に配慮した医療の推進など地域包括ケアシステムの深化・推進のための取組
・ 医療機関間や医療機関と薬局・訪問看護ステーション等との連携、医科歯科連携、医療と介護の連携、医療と障害福祉サービスの連携、その他の地域 の保健・福祉・教育・行政等の関係機関との連携も含め、地域包括ケアシステムの深化・推進のための多職種連携・協働の取組等を推進。
・ 高齢化する障害者施設における適切な医療提供に向けた取組等の推進。令和6年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)が発表になりました。

平成30年度の診療報酬、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬の同時改定では、団塊の世代が全て75歳以上の高齢者となる2025年に向けた道筋を示すものとして、医療機能の分化・強化、連携や、医療と介護の役割分担と切れ目のない連携を着実に進める改定が行われ、令和2年度診療報酬改定では、重点課題として医師等の働き方改革等の推進に取り組んだ。

令和4年度診療報酬改定では、これらの取組を更に推進するとともに、新型コロナウイルス感染症への対応や、感染拡大により明らかになった様々な医療提供体制の課題に対応した。

令和6年度診療報酬改定では、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえ、これまでの改定の流れを継承しながら、ポスト2025年のあるべき医療・介護の提供体制を見据えつつ、DX(デジタルトランスフォーメーション)等の社会経済の新たな流れも取り込んだ上で、効果的・効率的で質の高い医療サービスの実現に向けた取組を進める必要がある。

また、診療報酬改定DXの推進に向け、医療機関・薬局等やベンダの集中的な業務負荷を平準化するため、令和6年度診療報酬改定から施行時期を6月1日とする。

(1)現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進【重点課題】

(基本的視点)
2023 年の春闘などを通じて賃上げが行われているものの、医療分野では賃上げが他の産業に追いついていない状況にある。そうした中で、医療分野における人材確保の状況は、目下のところ、高齢化等による医療需要増加の一方、有効求人倍率が全職種平均の2~3倍程度の水準で高止まるとともに、入職率から離職率を差し引いた医療分野の入職超過率は0%に落ち込むなど悪化している状況であり、また、長期的にも、人口構造の変化により生産年齢人口の減少に伴った支え手不足が見込まれる。

このような状況を踏まえ、必要な処遇改善等を通じて、医療現場を支えている医療従事者の人材確保のための取組を進めることが急務である。その際、特 に医師、歯科医師、薬剤師及び看護師以外の医療従事者の賃金の平均は全産業平均を下回っており、また、このうち看護補助者については介護職員の平均よりも下回っていることに留意した対応が必要である。

加えて、医師等の働き方改革を進め、健康に働き続けることのできる環境を整備することは、患者・国民に対して提供される医療の質・安全を確保すると同時に、持続可能な医療提供体制を維持していく上で重要である。診療報酬においてはこれまで、タスク・シェアリング/タスク・シフティングやチーム医療の推進等、医療従事者の高い専門性の発揮と医療機関における勤務環境改 善に資する取組を評価してきたところ。2024 年(令和6年)4月から、医師について時間外労働の上限規制が適用される予定であるが、同規制の適用以後も、引き続き、総合的な医療提供体制改革の進展の状況、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点等を踏まえながら、診療報酬の対応がより実効性のあるものとなるよう検討する必要がある。

(具体的方向性の例)
医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組
・ 令和4年度に実施した看護職員の処遇改善に係る取組や令和5年11月の経済対策も踏まえつつ、医療従事者の賃上げに向けた取組の推進。

各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するための勤務環境の改善、タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進

業務の効率化に資するICTの利活用の推進、その他長時間労働などの厳しい勤務環境の改善に向けての取組の評価

地域医療の確保及び機能分化を図る観点から、労働時間短縮の実効性担保 に向けた見直しを含めた必要な救急医療体制等の確保

多様な働き方を踏まえた評価の拡充

医療人材及び医療資源の偏在への対応

(2)ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進

(基本的視点)
団塊の世代が全て75歳以上となる2025年に向けて、医療機能の分化・連携や地域包括ケアシステムの構築が進められてきたが、2025 年以降も人口減 少・高齢化が進む中、患者の状態等に応じて質の高い医療を適切に受けられるよう、介護サービス等と連携しつつ、切れ目のない提供体制が確保されることが重要である。

このため、医療DXを推進し、今般の感染症対応の経験やその影響も踏まえつつ、外来・入院・在宅を含めた地域全体での医療機能の分化・強化、連携を着実に進めることが必要である。
(具体的方向性の例)
医療 DX の推進による医療情報の有効活用、遠隔医療の推進
・ マイナ保険証を活用した、質が高く効率的な医療の提供。
・ 電子処方箋の普及、電子カルテ情報の3文書・6情報(診療情報提供書、退院時サマリー、健康診断結果報告書、傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報(救急及び生活習慣病)、処方情報)の入力・管理、入院診療計画書等の電子的な文書提供等の医療情報の標準化・ICT の活用等を通じて、医療連携の取組を推進。

生活に配慮した医療の推進など地域包括ケアシステムの深化・推進のための取組
・ 医療機関間や医療機関と薬局・訪問看護ステーション等との連携、医科歯科連携、医療と介護の連携、医療と障害福祉サービスの連携、その他の地域 の保健・福祉・教育・行政等の関係機関との連携も含め、地域包括ケアシステムの深化・推進のための多職種連携・協働の取組等を推進。
・ 高齢化する障害者施設における適切な医療提供に向けた取組等の推進。令和6年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)が発表になりました。

平成30年度の診療報酬、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬の同時改定では、団塊の世代が全て75歳以上の高齢者となる2025年に向けた道筋を示すものとして、医療機能の分化・強化、連携や、医療と介護の役割分担と切れ目のない連携を着実に進める改定が行われ、令和2年度診療報酬改定では、重点課題として医師等の働き方改革等の推進に取り組んだ。

令和4年度診療報酬改定では、これらの取組を更に推進するとともに、新型コロナウイルス感染症への対応や、感染拡大により明らかになった様々な医療提供体制の課題に対応した。

令和6年度診療報酬改定では、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえ、これまでの改定の流れを継承しながら、ポスト2025年のあるべき医療・介護の提供体制を見据えつつ、DX(デジタルトランスフォーメーション)等の社会経済の新たな流れも取り込んだ上で、効果的・効率的で質の高い医療サービスの実現に向けた取組を進める必要がある。

また、診療報酬改定DXの推進に向け、医療機関・薬局等やベンダの集中的な業務負荷を平準化するため、令和6年度診療報酬改定から施行時期を6月1日とする。

(1)現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進【重点課題】

(基本的視点)
2023 年の春闘などを通じて賃上げが行われているものの、医療分野では賃上げが他の産業に追いついていない状況にある。そうした中で、医療分野における人材確保の状況は、目下のところ、高齢化等による医療需要増加の一方、有効求人倍率が全職種平均の2~3倍程度の水準で高止まるとともに、入職率から離職率を差し引いた医療分野の入職超過率は0%に落ち込むなど悪化している状況であり、また、長期的にも、人口構造の変化により生産年齢人口の減少に伴った支え手不足が見込まれる。

このような状況を踏まえ、必要な処遇改善等を通じて、医療現場を支えている医療従事者の人材確保のための取組を進めることが急務である。その際、特に医師、歯科医師、薬剤師及び看護師以外の医療従事者の賃金の平均は全産業平均を下回っており、また、このうち看護補助者については介護職員の平均よりも下回っていることに留意した対応が必要である。

加えて、医師等の働き方改革を進め、健康に働き続けることのできる環境を整備することは、患者・国民に対して提供される医療の質・安全を確保すると同時に、持続可能な医療提供体制を維持していく上で重要である。診療報酬においてはこれまで、タスク・シェアリング/タスク・シフティングやチーム医療の推進等、医療従事者の高い専門性の発揮と医療機関における勤務環境改 善に資する取組を評価してきたところ。2024 年(令和6年)4月から、医師について時間外労働の上限規制が適用される予定であるが、同規制の適用以後も、引き続き、総合的な医療提供体制改革の進展の状況、医療の安全や地域医療の確保、患者や保険者の視点等を踏まえながら、診療報酬の対応がより実効性のあるものとなるよう検討する必要がある。

(具体的方向性の例)
医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組
・ 令和4年度に実施した看護職員の処遇改善に係る取組や令和5年11月の経済対策も踏まえつつ、医療従事者の賃上げに向けた取組の推進。

各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するための勤務環境の改善、タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進

業務の効率化に資するICTの利活用の推進、その他長時間労働などの厳しい勤務環境の改善に向けての取組の評価

地域医療の確保及び機能分化を図る観点から、労働時間短縮の実効性担保に向けた見直しを含めた必要な救急医療体制等の確保

多様な働き方を踏まえた評価の拡充

医療人材及び医療資源の偏在への対応

(2)ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療 DX を 含めた医療機能の分化・強化、連携の推進

(基本的視点)
団塊の世代が全て75歳以上となる2025年に向けて、医療機能の分化・連携や地域包括ケアシステムの構築が進められてきたが、2025年以降も人口減少・高齢化が進む中、患者の状態等に応じて質の高い医療を適切に受けられるよう、介護サービス等と連携しつつ、切れ目のない提供体制が確保されること が重要である。

このため、医療 DX を推進し、今般の感染症対応の経験やその影響も踏ま えつつ、外来・入院・在宅を含めた地域全体での医療機能の分化・強化、連携を着実に進めることが必要である。
(具体的方向性の例)
医療 DX の推進による医療情報の有効活用、遠隔医療の推進
・ マイナ保険証を活用した、質が高く効率的な医療の提供。
・ 電子処方箋の普及、電子カルテ情報の3文書・6情報(診療情報提供書、退院時サマリー、健康診断結果報告書、傷病名、アレルギー情報、感染症情 報、薬剤禁忌情報、検査情報(救急及び生活習慣病)、処方情報)の入力・管理、入院診療計画書等の電子的な文書提供等の医療情報の標準化・ICT の活用等を通じて、医療連携の取組を推進。

生活に配慮した医療の推進など地域包括ケアシステムの深化・推進のための取組
・ 医療機関間や医療機関と薬局・訪問看護ステーション等との連携、医科歯科連携、医療と介護の連携、医療と障害福祉サービスの連携、その他の地域 の保健・福祉・教育・行政等の関係機関との連携も含め、地域包括ケアシステムの深化・推進のための多職種連携・協働の取組等を推進。
・ 高齢化する障害者施設における適切な医療提供に向けた取組等の推進。

リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進
・ ADLの低下の防止等を効果的に行うため、早期からの取組の評価や切れ目のない多職種による取組を推進。

患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価
・ 増加する高齢者急性期医療のニーズや地域医療構想等を踏まえた、患者の 状態に応じた適切な医療資源を効率的に提供するための機能分化を推進。その際、質の高い効率的・効果的な医療提供体制の構築という観点からも、より適切な包括払いの在り方を検討。

外来医療の機能分化・強化等
・ 令和5年改正医療法も踏まえた生活習慣病等の継続的な医療を要する者に対する説明に関する評価の見直し等、外来機能の強化を推進。
・ 外来における腫瘍化学療法の推進。
・ 外来医療から在宅医療への円滑な移行に当たって必要となる連携を推進。

新興感染症等に対応できる地域における医療提供体制の構築に向けた取組
・ 平時からの感染症対策に係る取組が広く実施されるよう、令和4年改正感染症法及び第8次医療計画も踏まえ、個々の医療機関等における感染防止 対策の取組や地域の医療機関と都道府県等が連携して実施する感染症対策 の取組を更に推進するとともに、高齢者施設等と医療機関・薬局の連携を強化。

かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の機能の評価
・ かかりつけ医機能を担う医療機関が地域の介護支援専門員や介護サービ ス事業者と「顔と顔の見える関係性」を構築し、有機的な連携を行うことを推進。
・ ICT等を活用した時間外の対応体制の整備の推進。
・ 歯科医療機関を受診する患者像が多様化する中、地域の関係者との連携体制を確保しつつ、口腔疾患の重症化予防や口腔機能の維持・向上のため、ラ イフステージに応じ、生涯を通じた継続的な口腔管理・指導が行われるよう、かかりつけ歯科医の機能を評価。
・ 患者に対する薬物療法の有効性・安全性を確保するため、新薬・ハイリスク薬等、特に充実した服薬指導が必要な場合の対応も含め、服薬状況等の一 元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導が行われるよう、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価を推進。

質の高い在宅医療・訪問看護の確保
・ 中長期的には在宅医療の需要が大幅に増加することが見込まれる中、在宅医療を担う医療機関と市町村・医師会等との連携、及び医療・介護の切れ目 のない、地域の実情に応じた提供体制の構築等を推進し、専門性の高い看護 師も活用しつつ、効率的・効果的で質の高い訪問診療・往診、訪問看護、歯 科訪問診療、訪問薬剤管理指導、訪問栄養食事指導等の提供体制を確保。
・ 地域における医薬品提供体制を構築。
・ ICT等を活用し、他の医療機関との連携を促進。
・ 非がん患者を含めた在宅緩和ケアの充実。

(3)安心・安全で質の高い医療の推進

(基本的視点)
食材料費、光熱費をはじめとする物価高騰を踏まえつつ、患者にとって必要な質の高い医療を確保する取組を進める。
患者の安心・安全を確保しつつ、医療技術の進展や疾病構造の変化等を踏まえ、第三者による評価やアウトカム評価など客観的な評価を進めながら、イノ ベーションを推進し、新たなニーズにも対応できる医療の実現に資する取組 の評価を進める。
(具体的方向性の例)
食材料費、光熱費をはじめとする物価高騰を踏まえた対応

患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価
・ 患者が安心して医療を受けられ、それぞれの実情に応じて住み慣れた地域で継続して生活できるよう、医療機関間の連携の強化に資する取組等を実施。
・ 人生の最終段階における医療・ケアを充実させるための取組を推進。

アウトカムにも着目した評価の推進
・ 患者の状態に応じた質の高いリハビリテーションの評価など、きめ細かいアウトカムにも着目した評価を推進。

重点的な対応が求められる分野への適切な評価(小児医療、周産期医療、救急医療等)
・ 軽症、中等症の高齢者の救急医療の充実及び適切な搬送の促進。
・ 小児医療、周産期医療の充実。
・ 質の高いがん医療及び緩和ケアの評価。
・ 認知症の者に対する適切な医療の評価。
・ 地域移行・地域生活支援の充実を含む質の高い精神医療の評価。
・ 難病患者に対する適切な医療の評価。

生活習慣病の増加等に対応する効果的・効率的な疾病管理および重症化予防の取組推進

口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進
・ 歯科医療機関を受診する患者像が多様化する中、地域の関係者との連携体 制を確保しつつ、口腔疾患の重症化予防や口腔機能の維持・向上のため、ライフステージに応じ、生涯を通じた継続的な口腔管理・指導が行われるよう、かかりつけ歯科医の機能を評価。(再掲)
・ 病院歯科の役割に応じた評価、歯科診療所との連携の推進。
・ 歯科衛生士が行う指導管理、歯科技工士が関わる技術を含む歯科固有の技術等の適切な評価。

薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換の推進、病院薬剤師業務の評価
・ 患者に対する薬物療法の有効性・安全性を確保するため、新薬・ハイリスク薬等、特に充実した服薬指導が必要な場合の対応も含め、服薬状況等の 一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導が行われるよう、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価を推進。
(再掲)・ 病院薬剤師業務を適切に評価。

薬局の経営状況等も踏まえ、地域の患者・住民のニーズに対応した機能を有する医薬品供給拠点としての役割の評価を推進。

医薬品産業構造の転換も見据えたイノベーションの適切な評価や医薬品の 安定供給の確保等
・ 患者の安心・安全を確保するための医薬品の安定供給の確保を推進。
・ 医薬品、医療機器、検査等におけるイノベーションを含む先進的な医療技 術の適切な評価。

(4)効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上

(基本的視点)
高齢化や技術進歩、高額な医薬品の開発等により医療費が増大していくことが見込まれる中、国民皆保険を維持するため、医療資源を効率的・重点的に 配分するという観点も含め、制度の安定性・持続可能性を高める不断の取組が 必要である。
これまで、団塊の世代が全て75歳以上となる2025年に向けて、医療保険 制度の安定性・持続可能性の向上につながる各種施策を進めてきており、2025年をまたぐ今回の改定では、これらの施策を着実に進めていくという視点が必要不可欠である。

また、医療関係者が協働して、医療サービスの維持・向上を図るとともに、 効率化・適正化を図ることが求められる。
(具体的方向性の例)
後発医薬品やバイオ後続品の使用促進、長期収載品の保険給付の在り方
・ 後発医薬品について、安定供給の確保の状況を踏まえつつ、使用促進の取 組を推進。
・ バイオ後続品について、新たに設定された政府目標を踏まえて使用促進の 取組を推進。
・ 医療保険財政の中でイノベーションを推進するため、長期収載品の保険給 付の在り方の見直しとともに、経済性に優れた医療機器等の診療報酬上の評価や患者が自ら使用するプログラム医療機器等の保険適用の在り方について検討。

費用対効果評価制度の活用
・ 革新性が高く市場規模が大きい、又は著しく単価が高い医薬品・医療機器について、費用対効果評価制度を活用し、適正な価格設定を実施。

市場実勢価格を踏まえた適正な評価
・ 医薬品、医療機器、検査等について、市場実勢価格を踏まえた適正な評価を行うとともに、効率的かつ有効・安全な利用体制を確保。
・ エビデンスや相対的な臨床的有用性を踏まえた医療技術等の適正な評価。

医療DXの推進による医療情報の有効活用、遠隔医療の推進(再掲)
・ マイナ保険証を活用した、質が高く効率的な医療の提供。
・ 電子処方箋の普及、電子カルテ情報の3文書・6情報(診療情報提供書、退院時サマリー、健康診断結果報告書、傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報(救急及び生活習慣病)、処方情報)の入力・管理、入院診療計画書等の電子的な文書提供等の医療情報の標準化・ICTの活用等を通じて、医療連携の取組を推進。

患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価
(再掲) ・ 増加する高齢者急性期医療のニーズや地域医療構想等を踏まえた、患者の状態に応じた適切な医療資源を効率的に提供するための機能分化を推進。その際、質の高い効率的
・効果的な医療提供体制の構築という観点からも、より適切な包括払いの在り方を検討。

外来医療の機能分化・強化等(再掲)
・ 令和5年改正医療法も踏まえた生活習慣病等の継続的な医療を要する者に対する説明に関する評価の見直し等、外来機能の強化を推進。
生活習慣病の増加等に対応する効果的・効率的な疾病管理および重症化予防の取組推進(再掲)
医師・病院薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用等の推進重複投薬、ポリファーマシー、残薬や、適正使用のための長期処方の在り方への対応、リフィル処方箋の活用等、医師及び薬剤師の適切な連携による 医薬品の効率的かつ安全で有効な使用を促進。
・ 医学的妥当性や経済性の視点も踏まえた処方を推進。

薬局の経営状況等も踏まえ、地域の患者・住民のニーズに対応した機能を有する医薬品供給拠点としての役割の評価を推進。

(再掲)
3.将来を見据えた課題

我が国の医療制度が直面する様々な課題に対応し「全世代型社会保障」を実現するためには、診療報酬のみならず、医療法、医療保険各法等の制度的枠 組みや、国や地方自治体の補助金等の予算措置など、総合的な政策の構築が不可欠である。

患者自身が納得して医療を受けられるよう、患者にとって身近で分かりや すい医療を実現していくとともに、国民の制度に対する納得感を高めるため、政府において、診療報酬制度を分かりやすくするための取組を継続していくこと、また、国民に対して医療制度に関する丁寧な説明を行っていくことが必要である。

予防・健康づくりやセルフケア等の推進が図られるよう、住民、医療提供者、保険者、民間企業、行政等の全ての関係者が協力・連携して国民一人一人を支 援するとともに、国はこうした取組に向けた環境整備を行うことが必要である。

今後も、医療情報の活用や医療機関間における連携のための取組等を含む医療DXを推進することにより、地域医療連携の円滑化、個々の医療機関等 の負担軽減を図り、将来にわたって安心・安全で質の高い医療サービスを実現していく必要がある。